2-6 ギルドランク特例
「レベル18だとギルドランクは当時Eランクなのか?」
「はい、、ここでのギルドの貢献はまだ無かったので、、」
「・・それは現状のお前の実力では少し歪なランクだな、至急ランク上げも必要だろう?」
「それでだ お前に少し相談がある、、、」
何事かとギルマスは怪訝な顔を浮かべる。
「例の物を、、、」
彼女の指示で魔法袋から大量の魔石が入っている麻袋を目の前のテーブルに出現させる。
「うおっと!これはもしかして、、、」
「そうだ この男が半年間で退治した魔物の魔石だ どうだこれを成果としてギルドランクを上げられないか?」
「・・・中を確認してもいいか?」
麻袋の中から魔石を取り出して手にとって見ていた。
「・・どれも古代の森の立派な魔石だな、、特に此方の小さめの袋の中は特別品だな、、」
「ギルドランク上げに十分ではないか?」
「・・これをギルドに納品するのだな?」
彼女は頷く。
「ふーむ 本来は筋から外れるが、姐さんには昔から世話になっているからな、、、」
このギルマスの新人時代からの知り合いであり、何度となく彼女からの手助けでここまで生き延びてきたのを彼は恩義として感じている。
「・・おーい 誰かいるか?」
部屋のドアに向かいギルマスが少し大きめの声を上げると、それに反応して若い男が入室して来た。
「済まんが この麻袋二つの魔石を至急清算してくれ」
入ってきた男は大量の魔石が麻袋内に入っているのを知ると目を丸くしながら魔石を運び出す。
「・・仕方ない ギルマス特例でいいか、、D いやCランクでいいか?それ以上は儂の力では無理だがな」
「ほう Cランクをくれるのか?大盤振る舞いだな」
「ははは 本来は色々と問題があるが姐さんに免じてここは強行認定としよう」
「あ 有難うございます、、、」
タローとしても2ランク上がるとは思わなかったので少し狼狽えてしまう。
「うむ 礼は姐さんに言え、俺も昔世話になったからな、、」
ニヤリと笑いながらギルマスは彼女へ軽く頭を下げた。
「ふん あの泣き虫でヘタリが今では立派なギルマスになったからな、、」
そ それはないぞ、、 慌ててギルマスは文句を言うが 二人は次に互いに大笑いとなる。
「し 失礼します、、魔石の価格見積もりが、、、」
部屋に再び訪れた職員からその見積もりを手に取ると笑いながら彼女へと見せる。
「・・ほう 金貨355枚か、、凄いな」
「下の金額は丸めたぞ いいな? おう そうだ この男のランク変更をしてくれ Cランクにな、、」
タローからEランクの認定プレートタグを預かると彼は再び金の用意と変更設定をすべきあたふたと出て行く。
「・・まったく 偶に来たと思えば大騒動だな姐さんは、、、」
「そう言うな 何かあれば連絡をくれれば支援する」
「有難い、、その時には宜しくお願いしたい。 そうだ一つ提案だが定期的に若い冒険者を姐さんに預けて鍛えてもらうのはどうだろう? 無論ギルドからも礼金を考えて、、、」
「おいおい 一人を面倒見るのにも結構疲れるものだぞ、勘弁してくれ。それにいつ緊急依頼が入ってあの森から居なくなるかも知れないだろう?」
それもそうか、、、ギルマスも少し残念そうに頷く。
暗くなってギルドから宿屋へと向かいながら彼は師匠に話しかける。
「師匠 ギルマスとはかなり親しいのですね?」
「うん 嫉妬か? ははは まぁ少し話題にも出たが、あの男の新人時代はイケイケドンドンの無鉄砲な男でな、たまたま現場近くに居て何回かあいつのパーティを支援した事があるのを今でも義理堅く覚えておってな、、、」
泣き虫でヘタレではなかったんだな、そんなイメージでは確かに無いな、、、
顔の傷やふてぶてしさは歴戦の冒険者としての面影が見られたのだ。
「さて 宿屋でゆっくりして明日は買い物に集中だ、、」
嬉しそうに彼女は大きく背伸びをして早足になり宿屋へと歩を進める。
「何だと 個部屋がいっぱいなのか?」
「済みません 今回は何故か予約が多くて、、、キャロルさんならば特別室をお安く提供できますが、いかがでしょうか?お二人でお願いできませんか?」
「・・ああ あの特別室か、、ふむ私は大丈夫だ、お前も良いな?」
私は師匠がOKなら問題ありません。
ならばと二階の奥にある特別室へと二人は案内される。
「・・へぇー こんな辺境の町の宿屋にしてはそこそこにこの部屋は、、、」
「極まれに身分の高い者達用にあつらえているのでな、普段は使用していないと聞いている」
つまり師匠だから優先して店主が部屋を解放してくれのだ、普通の客なら大部屋に案内されるのだろうな。
「さて 食堂に行こう」 食事をまずは済ませねば、、
「「おっ 姐さんお久しぶり 元気かい?」」
「ははは 先ほどの武勇伝見ていたわよ 気分がスカッとしたわ」・・・
師匠を見つけて多くの冒険者達が遠くのテーブルから気軽に声をかけて来る。
それらの声に師匠も笑みを浮かべて片手で挨拶を返す。
・・やはり師匠の人気は凄いんですね
「あん?長い間の付き合いだからな、、昔の彼等の新人時代を知っているのが強みかな?」
ははぁ 今ではいっぱしの冒険者達の新人時代を知っているのは確かに強みか?恐らくは皆も一回や二回は師匠に世話になった記憶があるのだろうな。
「あっ そうだ、こんな席で何ですが、部屋に帰ったら先ほどの魔石清算金をお支払いしますので、あんな金額預かっているのは怖くて、、、」
「何だ私にも分け前をくれるのか太っ腹だな?」
「手強い相手の殆どが師匠によるものじゃないですか?殆ど私は止めを刺しただけで、、」
「それでも倒したのはお前であるが、、了解 有難く分け前を頂く だが端数でいいぞ、後はお前が持っておけばいいからな」
そうは言っても金貨355枚はある、それと一件目の薬草関連の金額もある。考えればとんでもない金額を稼いだことになる。
「・・あの森は豊かな森なんだ、、ただ入る人間を選ぶがな、、、」
御尤も、、冒険者達も二の足を踏む森でもある、殆どの者は森の入り口近くでの活動でしかない。それとこの町の近くにはダンジョンもあり、結構稼げることが可能な町でもある。
「確かに無理して森に入らずとも、そこそこ安全で稼げる場所があるのは強みですね」
「だな お陰で私としては静かに森で暮らしていける と言う事だな」
でも、、師匠は一人で寂しくないのかな?
ふと沸いた疑問であるが 流石にその質問をするのは憚れた彼であった。
師匠みたいに美人で胸は少し小さいがスタイルも良くそして腕も立つのに長い間独り身とはどんな心境なのだろう。無論性格も面倒見が良くて問題なく皆から慕われているように見えるのだが、、
あっ、、チラリと聞いた幼い頃から一人でこの森に棲んでいる、、それも何か気になるな、、
「・・うん どうした?私の顔を見て何か試案顔だが?」
「あっ いえ、、どうして素敵な師匠が一人で森に棲んでいるのかと、、」
「ぷっ、、お前は、、、この半年ではっきり言うようになったな。まぁ いつか機会があったら話す事もあるかな?今は一人が一番だと言う事だ。さて部屋に帰るぞ」
何となくはぐらかされた気がするがこれ以上は踏み込んではいけない事なんだろうな、、
「おい 早くしろ、置いて行くぞ?」
慌てて師匠の後を追いかけるタローがいた。
「えーと これが初めの店での金額でこちら側がギルドでの精算分です」
「ふーん こう見るとかなりの金額になったな、、、」
「いつも町に来るときはこんな感じなんですか?」
「いや、、薬草がメインだが こんなに採取しないな。森ではその気になれば稼げるが使う場所もないからな、、」
年に数回の町への訪問は最低限の必要品だけ揃えるだけらしい、また作業着代わりの服を年に何着か購入すれば良く、左程に金は使わないと言う。
「・・そんな 美人の師匠が勿体ない、もっと着飾って、、あれ?」
「馬鹿者 気づいたか?綺麗な服を買って誰に見せるのだ?魔物か?」
愉快そうに彼女は笑い転げる。
「うーん そうですね、、思い切って人族の町に住めばどうですか?失礼ですが今迄この調子ならかなり金額も貯まっているのでは?家でも買って都会生活を楽しむ手もありますよ?」
「ふむ 一時そう考えた事もあったな、都会とこの家との往復で住んでみようかと、、しかし少し面倒になってな、やはりこの地で150年近く住んでいると愛着もあるし都会は偶に行くから良いので長く住む場所ではないと、、あっ 年数の事は忘れるように いいな?!」
・・了解です ビック マム、、、
その後はこの金貨を巡って揉めに揉める、、
「本当にいいのですか?薬草代の金貨150枚で?!いや 納得されても困ります、私は残りの金貨355枚なんて恐ろしくて受け取れません!」
「しつこい男だな 正直あの家の中にはその数倍以上の金貨を隠してある。面倒で正確な管理もしていないがな、、今の生活水準なら後百年ぐらいは困らずに生きて行けるわ、、」
「そうは言ってもですよ こんな金額を受け取ったら間違いなく私は堕落の生活に移行する事が明らかです。恐ろしくて受け取れません!」・・・・
二人による堂々巡りの展開が暫くは続いていた。
「うーむ、、、よいか 良く聞け、お前の今後のスキル付与次第でもしかして冒険者から違う道へと進む可能性がある。その時に頼りになるのはその金額だ、例えば店を構える 女房を持つ等、、お前の今後に必要になるのは金であろう?その程度の金額で堕落の道?とは片腹痛いわ!しっかり稼いでしっかり備えよ 今後は幾らでも大金を動かす可能性もあるのだぞ、今の内から金に慣れておけ!」
・・言われてみれば前世の世界では金に追われる生活であった気がする、、はっきりとは覚えていないが毎日長時間勤務に耐えていたのも目先の金が欲しかったのが原因だったような、、、、
「・・・承知しました なれどこの金額の大半はあの家に隠させてください。私は感じるにどうも金に使われそうな気がします。最初からないと思えば我慢も出来ますが、手元に置いておくと行動がブレそうな気がしますので、、、」
「・・何とだらしない性格なんだ この先が少し不安になるぞ、、まぁ いい あの家に隠しておけ、何か必要になればまた取りに帰ってくればいいからな、、ふう 疲れたわい もう寝るぞ 明日買い物をして帰宅準備をしなければな」
長い論争もようやく落ち着くところに落ち着いたようだ、明日も一日店屋巡りをして帰宅の準備をせねばならない。




