第七話
無事、賢者学園に入学する事ができた僕は、たちまち注目の的となっちゃった。そうだよね五歳という若さで賢者試験に合格した天才児。・・・・怖い人がいないといいな。
「おい、あれが首席だってよ。五歳のガキだぜ?」
「馬鹿にするな。まさかあんな子供が合格するとは……」
「どうせ、どこかの有力者のコネだろう?」
「リリアーナお姉様の身内らしいわよ」
生徒たちの視線は、好奇心と、そして、嫉妬、好奇心っていうか、師匠お姉様t呼びなんだ。
人気あるんだね。
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「いい?ルークちゃん。あんな人たちの言うことなんて気にしなくていいのよ?」
師匠は、僕の頭を抱きしめ、頬擦りをした。
「師匠、苦しいです……」
「あら、ごめんなさい。でも、ルークちゃんが可愛すぎるのがいけないのよ?」
なんか、女生徒から羨望の眼差しが、
(わたしにも、すりすりしてぇ)
心の声が漏れていた。
「でも、師匠。僕、ちゃんと勉強して、魔法の腕を磨きたいんです」
「あら?私の授業だけじゃ不満?」
「僕、自分を証明したいんです、そして、いつか最愛の師匠、不老の魔女リリアーナの一番の弟子ですって、言うんです」
「うん、その不老って言うのは言わないでね」
一瞬なんか、怖かった。
僕は、自分の実力を証明するために、お鍋の水を沸騰させてみたり、氷を大量にかき氷にして出してみたり。
魚を、瞬間冷凍してみたり。
ある日の魔法実習の時間。アルフレッド先生から魔法陣の構築を命じられた。火魔法と風魔法を組み合わせて、熱風を発生させるというものだった。火の魔法って得意じゃないんだよね、でもやらないと思ったら、案の定火の制御に失敗しちゃった。
でも。空気の分子構造の移動を早くすれば、空気が熱くなるよね、空気中の分子の振動を加速させることで、熱エネルギーを生み出す魔法を構築した。
「な、なんだ、これは……!?」
先生は、ルークの魔法に驚愕した。
「なぜ、魔法陣なしで、熱エネルギーが発生するんだ!?」
ルークの魔法は、この世界の魔法理論の常識を覆すものだった。
「先生、どうしましたか?」
ルークは、首を傾げた。
「いや、なんでもない……。今の魔法の構造術式と機動理論を提出してくれたまえ」
そんなに、すごい魔法でもないんだけど。
遠くで師匠の笑う声が聞こえた。
僕の魔法が規格外だってことは、すぐに生徒たちの耳にも届いたみたい。
「あのガキ、本当にすごいのか……?」
「ああ。魔法実習で、魔法陣なしで熱を生み出したらしいぞ」
「そんなこと、俺たちにはできない……」
「なんか、殺気を感じるけど」
「おい、ルーク!俺と勝負しろ!」
休憩時間に、年上の生徒たちに呼び出された。
「勝負って……?」
「魔法で勝負だ!お前が本当に賢者なら、俺たちに勝てるはずだ!」
ため息を出ちゃった。
「わかった。でも、怪我はしないでくださいね?」
「行くぞ、覚悟しろ」
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「ルークちゃんったら、また無茶をして……!」
師匠は、僕が他の生徒たちと魔法勝負をしているという噂を聞きつけ、慌てて現場に駆けつけた。
「ルークちゃん!危ないわ!それはダメよ!」
師匠の声が聞こえた時には、すでに勝負は終わっていた。
大丈夫、ちゃんと手加減できたよ。
相手の魔法は、氷の壁で簡単に受け止め、そして、一瞬にして凍らせた。
「コキュートす、(劣化版)」
相手は、身も凍る冷気に包まれた、実際凍ってるけど
「な、なんだと……!?」
あ、よかった、ちゃんと生きてるみたい。
「もう終わりでいいですか?」
そう言って、僕は氷の壁を溶かした。
「う……」
なんか、周りが静かになっちゃった。
「ルークちゃん、怖かったね、もう大丈夫だからね、こいつらにはちゃんとお仕置きしておくからね」
師匠は、みんなを睨みつけながら、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「あら、ルークちゃんのの才能に嫉妬しているのね?でも、ルークちゃんは私だけのものなんだから!」
こうして僕の賢者学園での生活は、周囲からの嫉妬と、師匠からの溺愛に満ちたものとなったのだった。