第六話
僕が5歳になった年、師匠に連れられて、賢者学園の入学試験を受けることになった。
「ルークちゃんなら、絶対合格だよ。」
筆記試験は、意外に苦戦した、特にこの国の歴史とかは、師匠に聞いていたのと随分違う気がする。
「そか、これが歴史の改編ってやつだね。」
呟きにしてはおっきな声が出ちゃった。
魔法理論に関しては、前世の物理学の知識を組み合わせたらなんか、新たな理論が生まれたらしくて、試験監督の人が右往左往している。それでも、なんとか筆記試験は合格できたらしい。師匠が不満げな表情を浮かべていた。
大したことじゃないと思うんだけど・・・
「師匠?」
「ルークちゃんが、満点じゃないなんて……!待っててねアイツら絞めてくるから。」
あ、それは・・・
「師匠、筆記試験はもう終わったんですから、気にしないでください・・・師匠が居なくなったら僕どうしたら」
「・・・そ、そうね、今日はやめとくね、じゃ、次は実技がんばってね!」
いよいよ実技試験が始まった。
「師匠、頑張りますね」
実技試験の会場は、巨大なドーム状の魔法空間だった。試験官は、学園の教授たちが務めていました。何やら、期待されてる?なんか、キラキラした目で注目されちゃってます。
「さあ、そこの少年。簡単な魔法でいい。君の力を示しなさい」
試験官の一人が、僕に声をかけてきました。なんだか、表情がウキウキです、これは期待に答えた方がいいのだろうか?
僕は、少し緊張しながらも、杖を構えた。
「氷よ、我が手に!コキュートしゅ」
氷魔法を放った。ただ氷を出すだけの魔法じゃないんですよね。前世の知識を応用した、熱力学の概念に基づいた魔法なんですよ。
瞬く間にドーム状の空間から熱を奪い、空間全体を氷結させちゃいました。
ちょっと、力んじゃったかな。
てへ、ぺろ
「な、なんだ!?」
「魔法障壁もものともしないなんて」
「これが、5歳の子供の魔法だと……!?」
「こんなことは、今まで前例がない……!」
「さすがは、不老の魔女の弟子だ」
試験官たちが騒然となる中、師匠の方をみた。
「師匠、二つ名もちだったんですね、すごいです、かっこいいです」
「あらあら、内緒にしてたのに。それよりルークちゃんの魔法の方が、綺麗でとっても素敵だったわよ」
師匠は、僕の頭を撫でながら、ご満悦な表情を浮かべている。
会場の試験官たちは、試験会場を元に戻す方法を話し合っていた。しかし、誰一人として、その方法を知らない。
「あ、ごめんんさい。氷、溶かします」
僕は、再び杖を構えた。
「熱くなれ!」
氷結した空間から熱が戻り始め、あっという間に元の状態に戻っていった。
「な、なんだってー!?」
今度は、氷魔法を解除する魔法に、試験官たちが再び驚愕した。
「ごめんなさい、びちゃびちゃになっちゃった、乾燥しますね。ドライ」
「なんだ、これは、こんな使い方・・・魔法の常識を超えている……!」
「いや、これは我々の慢心だ、きっと」
「すごかったわ、さすが、ルークちゃん!」
師匠は僕をを抱きかかえ、頭を胸に押し付けた。
「ルークちゃん、本当にすごかったわ!みんなルークに夢中よ!でも、ダメよ?ルークちゃんは私のものなんだから!」
「先生、苦しいです……」
「あら、ごめんなさい。でも、ルークちゃんが可愛すぎるのがいけないのよ!」
師匠の過剰な愛情表現に戸惑いながらも、師匠から誉めらるのは悪い気がしない。っていうか、日頃の成果を見せられてうれしい。
合格発表の時が来た。もちろん僕は、賢者学園への入学を許可された。
「ルークちゃん、おめでとう!」
師匠に再び抱きしめられて、頬にキスされちゃった。
「師匠、僕、賢者学園に入ったんですから、もう子供じゃないですよ」
「なに言ってるの?まだまだ、子供よ。っていうか、そのまま子供で居て欲しい。あ、でも、それじゃ子作りできかないか」
後半は、よく聞こえなかったけど、なんだかぶつぶつ言い始めた。こういう時はしばらく放っておくにかぎる。