表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

第十六話

ちっちゃい賢者 第十六話

舞踏会の会場は、ルークとエリスのファーストダンスによって、一時的な静けさに包まれていたが、すぐに活気を取り戻した。エリスはルークの手を引いて、国王一家が座る席へと向かった。


「お父様、お母様。わたくしの英雄様です」


エリスは誇らしげに僕を紹介した。国王アウグストゥスは温かい眼差しでルークを見つめ、王妃ソフィアは僕の手を優しく握りしめた。


「ルーク様。そなたのおかげでエリスが無事に戻れたこと、感謝してもしきれない。本当にありがとう」


「いえ、当然のことをしたまでです」


ルークは慣れない貴族の作法で返事をした。


続いて、第一王子レオンハルトとその婚約者、そして第一王女アメリアと彼女の婚約者がルークに挨拶をした。


「ルーク殿。そなたの勇敢な行い、レオンハルトとしても、兄としても、心から感謝する。」

「恐れ多いことです」

「なに、これからは、兄と思ってくれていいのだぞ」

「え?」

「エリスと一緒になるのだからな、俺のことは本当の兄だとおもってくれていいぞ」

「え、そんな」

「お兄様、まだ、気が早いです」

「はははは、いいじゃないか。エリス」


アメリアはルークの頭をくしゃくしゃに撫で、

「エリスの英雄様が、こんなに可愛いなんて、ねぇ?エリス放しちゃだめよ」

「ルーク、エリスをよろしくね」


一連の挨拶が終わり、ルークをめぐるわだかまりは完全に解け、和やかな雰囲気に包まれた。


しかし、その和やかな空気は長くは続かなかった。


「おい、見たかよ。平民のガキが王女殿下と踊るなんて、身の程を知らないにも程がある」


「まったく、王族の方々もどうかしてるぜ」


そんな貴族たちの不平が、ルークの耳にも届いた。国王とレオンハルトがその言葉を耳にし、彼らを諌めた。


「無礼な!客人に対して、そのような発言は慎め!」


「エリス王女殿下は、ルーク殿に命を救われたのだ。その恩人に敬意を払うのは当然であろう。それにルーク殿は賢者の称号をいただいている、これは子爵に相当する称号であるぞ」


「あ〜、そうそう、ルークにはこののち王女を救った功績により、伯爵に陞爵することが、貴族院で決まっておる。みな、無礼のないようにな」


国王とレオンハルトの言葉に、貴族たちは黙り込んだ。しかし、納得のいかない様子で、顔を顰めていた。


「はははは、陛下も殿下も冗談がお上手ですな」


その中の一人、ふてぶてしい顔つきのボンレス伯爵令息が、五人ほどの取り巻きを引き連れてに現れた。


「おい、平民。王女殿下に色目を使うのはやめておけ。お前のような身分の低い者が、王女殿下に近づくなど許されることではない」


「エリス王女殿下は、貴族の婚約者となるべき存在だ。お前のような平民が、しゃしゃり出る場所ではない」


僕は冷静を保ち、返事をしなかった。

僕の心は決まっているのだ。

一緒にいてくれる、エリスの手をぎゅっと握る。

(エリスを誰にも渡すもんか)


「フン、聞く耳も持たないか。それならば、この場で決着をつけてやろうじゃないか」


ボンレス伯爵令息は、右手の手袋を投げつけてきた。これは決闘を申し込みだ。


「俺に勝てたら、王女殿下をくれてやる。だが、お前が負けたら、二度と王女殿下に近づくな」


「何を……!」


ボンレス伯爵令息の言葉に、怒りがこみ上げてきた。

「くれてやるって、なんだよ。まるで自分の物みたいに、エリスは僕の大事な人だ、お前なんかに渡さない!」


「エリスに対する侮辱するような発言、取り消してもらうからな!」


「ルーク様」


ほんとに腹がたった。ボンレス伯爵令息の決闘の申し出を承諾した。


「分かった。お前たちとの決闘、受けて立つ!」


こうして貴族令息たちの決闘が、舞踏会の場で始まることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ