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第十一話


王都アウレリアの衛兵詰所。僕は何人もの屈強な騎士たちに囲まれ、身動きが取れない。いや、正確に言えば、魔法を使えば、どうにかなるんだけど。状況がわからない状態でそんなことしたら、事態がますます悪化しそうだし。いざとなったら、師匠がなんとかしてくれる。・・・と思う。


「お前が『氷の賢者』ルークだな!観念しろ、指名手配犯め!」


騎士団長は、僕を睨みつけ、そう言い放った。


「指名手配?なんのことですか?僕は何もしていません!」


なんのことか、わからない?指名手配って?なんで?


騎士たちは


「しらばっくれるな!お前は王女殿下を誘拐した重犯罪者だ!」

「へ?王女殿下って?」

そんな、会ったことも見たこともないのに


「しらばっくれるな、すぐに連れて行け。抵抗してもいいぞ、くくく」


僕は、魔術封じの手枷と、黒い布を被せられて、窓のない馬車に乗せられた。

「この馬車も、魔封じが施されているからな、魔術で逃げようとしても無駄だぞ」


*****


王城では、エリスが晩餐会の準備に胸を弾ませていた。


「お姉様!ルーク様を見つけたんですって!さそっく、お城に来るらしいの、ああ、どんなドレスを着たらいいかしら!?」


エリスは、鏡の前で色とりどりのドレスを合わせながら、楽しそうにアメリアに話しかけた。


「ふふ、エリス。ルーク様は、あなたの王子様だものね。でも、あまりはしゃぎすぎないようにね?」


アメリアは、妹の無邪気な姿をほほえましく、見ていた。

「ルーク君はどんな子なのかしら、楽しみだわ」


その時、侍女が慌てた様子で部屋に入ってきた。


「エリス様、アメリア様!大変でございます!ルーク様が、衛兵隊に捕らえられました!」


「え!?どういうこと!?」


エリスとアメリアは、驚愕の表情を浮かべた。


「なんでも、重大犯罪者として指名手配されていたようでして……」


侍女の言葉に、エリスは混乱した。


「指名手配?どうして?私がルーク様にお礼をするために、王宮に招くようにお願いしたのに……」


アメリアは、侍女の言葉を聞いて、すぐに事態を察した。


「これは……お父様とお母様も丁重にルーク様を招くように命じていたはず。どうして指名手配に?」

(なんか、手違いではないような、高位貴族の誰かが?)


「衛兵に支持できる、高位の貴族を調べてちょうだい。特にエリスの行方不明の件を知っている人間を」

アメリアは、そう言うと、どこから現れたのか、黒服の執事姿の男が一礼して、再び消えた。


アメリアは、エリスを連れて衛兵隊詰所へと向かった。

(取り返しのつかないことにならなければ、いいけど)

「エリス、立ちなさい。泣いていても事は解決しないわ!」


途中すでにバステン拘置所に送られた。と情報があり、更に重犯罪刑務所に変わったのでそちらに向かった。


*****

刑務所の門では、衛兵隊と近衛の騎士が問答していた。


通せ、通さないで揉めていらしい。

「王命です!捕らえた王の客人を引き渡しない!」

アメリアが叫ぶと、一同が跪いた。

「されど、奴は一級重犯罪の疑いが」

「なんですって、王命に逆らうと?」

「いえ、それは・・・ご案内します。こちらです」


案内されたのは、拷問部屋しかも、死刑が確定している。重犯罪者が送られる部屋だった。扉が開くと、そこには、血と泥にまみれ、顔には大きなアザができたルークの姿があった。彼は、拘束され、ぐったりと項垂れている。


「ルーク様!」


エリスは、その光景を目にして、悲鳴をあげた。


「いやああぁぁぁぁぁぁぁ!ルークさまー!」

エリスは、ルークの顔にできたアザを見て、卒倒しそうになるが、次の瞬間、彼女の瞳は怒りに燃え上がった。


「誰が……誰が、ルーク様にこんな酷いことをしたの!?」


エリスは、ルークの無残な姿に、人生で初めての激しい怒りを覚えた。


「エリス、落ち着いて!」


アメリアがエリスを制止するが、エリスの怒りは収まらない。


「お姉様!見て!ルーク様は、私のために、ワイバーンと戦ってくれたのよ!?なのに、どうしてこんな酷い仕打ちを受けなくちゃいけないの!?」

エリスに体からオーラが吹き出していた。魔力の過剰反応である。


その時、衛兵隊長がエリスたちの前に現れた。


「王女殿下!こいつは、王女殿下を誘拐した重犯罪者です!拷問して、全てを……」


「黙れ!」


エリスは、隊長の言葉を遮った。


「ルーク様は、私を助けてくれた、私の英雄よ!あなたたちがしていることは、英雄への裏切りだわ!」


エリスの言葉に、隊長は驚愕した。


「しかし、国王陛下から指名手配の命令が……」


「お父様とお母様は、ルーク様に、お礼がしたいって言っていたわ!指名手配なんて、絶対に嘘だわ!」


エリスは、そう言い放ち、ルークに駆け寄った。


「ルーク様……ごめんなさい……。私が、私が、ちゃんと言っておけば……」


エリスは、ルークの冷たくなった手を握りしめ、涙を流した。


その時、大爆発共に一人の女魔術師が、拷問部屋を破壊し、更に建物の一角をもはかいしていた。


「ルークちゃん……ルークちゃんはどこ!?」


ルークの師匠、怒れるショタコンリリアーナだった。


リリアーナは、ルークの無残な姿を目にして、瞳を怒りで燃え上がらせた。


「誰が……誰が、私の可愛いルークにこんな酷いことをしたの!?」


リリアーナは、そう言って、近場の騎士たちを睨みつける。


「覚悟なさい……!私の可愛いルークを傷つけた罪は、死を持って償ってもらうわ!」


リリアーナの全身から、凄まじい魔力が放出され、辺りの空気さえ震わせたを震わせた。

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