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ー1ー

※女主人公の恋愛小説ですが、BL的な要素が出てきます。要素程度ですので、そこまで気にはならないと思います。


「おはようございます!」

私、大和ヤマト ミコトは学年トップで学級委員で見た目も可愛らしい女の子で、高校生としては誰もが羨む存在であるはずなのに、言動が少しばかり男の子っぽいことだけが、自分でもほんの少しだけ残念に思っていた。

 そんな年頃の私が、恋をしている相手は、隣のクラスの担任の先生のことだ。

「おはよう。ミコト、今日も元気だね」

 先生は身長が高くて、皆に慕われていて人気者で嫌いな人なんていないんじゃないかと思う。

 この先生が、バスケ部の顧問の先生だったので、高校1年生の時には、人生で初めて運動部に入り汗を流したものだ。

 始めは、会える時間をもっと増やすために近くにいたい、ずっと傍にいたいと思ったから、バスケ部に入ったのに、逆にそれが先生の裏の顔を知ることになってしまったんだ。


 それは、1年生の夏の合宿の事だった。

学校全体の人数が少ない我が校では、バスケ部の男子も女子も普段は同じコートで練習をしていた。なので、合宿ももちろん男女一緒だった。民宿のような場所に3日間滞在して、砂浜のあるビーチような所で、走り込みとか体力づくりをした。

 夜になると、先生達が買ってきた花火でみんなで手持ち花火大会をしているときに、私は木の根元にいた毛虫に気づかず素手で触ってしまい、毛虫のトゲが刺さり手がかぶれてしまった。そんなに慌てなくても、痒みとかすぐに引くだろうと思っていたのに、ズキズキとした痛みが全然取れてくれなかった。

 自分が小さな頃に皮膚が弱かったことを思い出して、少し怖くなった私は、花火を楽しんでいる先生の元へ走った。

「あの、虫に刺されたっぽくて…」

「あー俺の部屋に薬とかあるから、行って探して?」

 先生にそう言われて正直な話、生徒の手当てとかしてくれないんだ…。って思った。

 一人でとぼとぼと歩きながら、民宿の先生の部屋までやってきた。途中で、なんだか涙が出てきてしまって、それでも好きな人を悪く思いたくなくて、先生も花火を楽しんでたのに話しかけて悪かったな。と一人、自分を責めた。

 窓の外では、みんながまだ楽しそうにキャッキャしている。

「えっと…薬箱?かな」

 薬があると言われて、すぐに思いついたのが救急箱だったけれど、部屋から救急箱を見つける事ができず、私は先生の部屋のカバンを確認してみることにした。

「(パンツとか出てきたらどうしよう…」

 と、思っていた私に、もっと衝撃的なものが飛び込んできた。先生のカバンからは虫刺されの薬が見つかった。それと一緒に出てきたのが、四角いぺったんこなアレだった。

「…………ゴムがなんで…?」

 頭の中がパニックになり、虫刺されの成分表に毛虫が入っているか確認することすらせず、自分の手のかぶれた部分に薬をつけると、走ってその部屋を出た。

 顧問の先生は二人いるが、どちらも男の先生だ。男子と女子は別々の部屋で、畳の部屋に布団を敷いて修学旅行気分だとか思っていた気持は、もうどこかへいってしまった。

 …先生はいったい、今夜誰を自分部屋に呼ぶつもりなんだろう?

 発見してしまった物が衝撃的すぎて、友達に相談することも出来そうになかった。

 花火が終わり、明日の体力づくりのメニューの発表があると、それぞれ各部屋に移動していく、そんな中で男子バスケ部のエースが

「先生ーまだ俺等寝たくないー」

「じゃ、俺の部屋でゲームでもするか?」

と、何人かの男子が先生の部屋へと消えていってしまった。

 よく分からない決めつけがあったわけではないが、女の勘みたいなものだろうか、私はこの時に悟ってしまったんだ。

 ああ、この先生が好きになる人は女子ではないのだろう。と……。




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