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第4話 永遠という名の

  ・・・・・・・・・・・・

  ・・・・・・・・・

  ・・・・・・さまっ!」

  ・・・人様っ!」

「ご主人様っ!」


「……ん」


「あ、良かった……意識がもどって」


  あれ? なんだ? なんで俺ぶっ倒れてんだ?

 ……あ、そうか……召喚を行使した時、魔力を限界まで込めたせいで魔力枯渇状態になってしまったのか。

 女神様に気をつけろって言われてたのに早速やらかしてしまったな。

 そういえば、召喚したキツネちゃんはどうなったんだ?


 意識が戻った俺は、少し目を擦りながら目を開ける。

 少しぼやけてはいるが、目の前には紛うことなき天使がいた。


 腰まで伸びたサラサラのブロンドヘアに、頭にはぴょこんと左右対称のきつね耳が付いている。顔は美しいと言うよりかは可愛らしいと言った感じで、モデルのように整っている。儚げで、思わず守ってあげたくなってしまう。

 腰の付け根からは、フサフサの尻尾が伸びており、時折ぴくぴくと動いている。

 年齢は俺よりちょっとしただろうか……? 15歳くらいに見えるな……地球基準だからなんとも言えないけど。

 一言簡潔に言うとすっごい可愛い。今すぐにでもそのフサフサの尻尾に飛び付きたい! 


「ご主人様、だいじょうぶですか?」


 キツネちゃん(仮)がきょとんと首を傾げ、上目遣いで尋ねてくる。


 俺の瞳の向こうを覗きこむかの様に、彼女は顔を近づける。

 目と目が合い、視線と視線がぶつかる。彼女の長いまつ毛が、くりくりとした大きな瞳が、俺の目に焼き付いて離れない。

 このまま起き上がれば、彼女の潤んだ唇が、俺の唇に触れてしまいそうになる。そんな距離だ。


 こ、これは危険すぎる。

 世の男をメロメロにしてしまう上目遣いだ。まるで頭にハンマーをぶち当てられたような衝撃を受ける。これは可愛さの暴力だ。


 なにかに負けてしまいそうな欲求を必死に振り払いながら、俺は彼女の肩を掴み、優しく離した。


「ああ、大丈夫だ。君は俺が召喚した子というのであってるかな?」


「はいっ! そうですっ!」


「ええっと、名前はなんて言うの?」


「名前はないです。ご主人様が決めて欲しいです」


 ん? なんで名前がないんだ? 召喚ってことはこの世にあるものを召喚するってことじゃないのか? そう思い俺はホーリーサモンに強く意識して鑑定した。


 神聖召喚魔術( ホーリーサモン)Lv1


  ランクAレベルまでの人や亜人、魔物を召喚し、使役することができる。ランクが高くなればなるほど必要魔力量は大きくなる。送還にも同様の魔力量が必要になる。

 既存の召喚した個体でも魔力を追加することでランクAまで上げることができる。存在していたが既に絶滅しているものなどは魔素で生成することが出来る。

 なお過去にいた人物の記憶までは再現することは出来ない。


 つまりキツネ獣人は元々この世にいたけど、絶滅してしまったという事なのか。ってことは存在するってことがバレると色々とめんどくさいかな。

 取り敢えず、なんで絶滅したとか、いつ絶滅したのか冒険者ギルドとかで調べてみるか。なんか図書館っぽいのもあるかもしれないし。



 次に俺はキツネちゃん(仮)を鑑定してみることにした。



 名称 :未設定 年齢:17歳


 種族:キツネ獣人


 職業:灼炎魔戦士


 状態:使役(楠木斗真)


 ステータス レベル:1


 HP:1908 MP:823 腕力:1109 体力:1209 敏捷:1327 知力:1176 魔力:1092 器用:892


 スキル

 剣術LvMax、剣聖

 術Lv3、火魔術LvMax、火炎魔術Lv3、危機察知Lv6、魔力感知Lv5、気配察知Lv5、物理攻撃耐性Lv1、魔法攻撃耐性Lv3、状態異常耐性Lv2、詠唱短縮Lv2、空中跳躍Lv3、身体能力上昇Lv4、回復速度上昇Lv6、解体Lv7、料理Lv9、変化Lv6



 ユニークスキル

 獣化、鑑定偽造


 固有スキル

 キツネの魅了



 称号

 斗真の眷属



 装備なし



 わーお、えっぐ。ほとんどのステータスが1000超えじゃないか。これでBランクだったらSランクとかどうなんだよ。

 剣聖術や火炎魔術とかどう見ても上位のスキルだよな? 職業名も灼炎魔戦士だしな。


 そういえば名前をつけてって言われたんだった。どんな名前が似合うかなぁ? てか、同い年だったのか。

 つけるならやっぱ可愛い女の子らしい名前がいいと思うんだ。女の子の名前ってどんなんだ? ユキ? ハナ? んーしっくりこないなぁ。

 俺が悩んでいるのを見ると、キツネちゃん(仮)が寄ってきた。


「私、ご主人様がつけてくれた名前ならなんでも嬉しいですっ!」


 目をキラキラとさせて期待の眼差しでこちらを覗き込んでくる。

 あーもう、上目遣いでそのセリフはあかんて。可愛すぎてもはや口調も安定しなくなってきた。可愛い上に気遣いも出来るとか最高かよ……oh神よ天使がここにいる。


 おっと、危ない危ない、思わず脱線しかけてしまった。

 彼女の名前。これからその名で呼ぶわけだし、そう適当に付けていいものではない。頭をフル回転させて、なにかいい名前がないかを考える。


 その時、ふと部屋にある花に気づく、赤銅色のチューリップのような綺麗な花だ。それを見て、ある花の花言葉を思い出す。


 それは、この子にぴったりの名前。


「カンナ……君の名前はカンナだ」


 カンナ……花言葉は永遠。

 最初に召喚した子だからこそ、これからもずっと俺の隣にいてほしいと願ってこの名前をつけた。

 だいぶ昔に、知ってたらカッコイイと思って覚えた花言葉が初めて役にたったな。


「カンナ……私の名前はカンナ! ご主人様これからよろしくお願いします!」


「よろしくな」


 カンナは満面の笑みで「カンナ……カンナふふっ」と言いながらキツネ尻尾を振っている。名前を付けた瞬間、何かがカンナと繋がった気がする。気のせいだろうか? よくある名付けで繋がる的な感じなのかな? まあ可愛いからなんでもいいや。


 そういえば、俺ってどのくらい意識がなかったんだろう。今もまだ軽く頭が痛い。


「なあカンナ、俺ってどんくらい寝てたんだ?」


「えっと、だいたい5時間くらい……ですかね?」


 そんなに長かったのか、そういえばカンナの声で俺は起きたんだよな? カンナ5時間も起こそうと声をかけてくれていたのか。健気かよ、天使がここにいる。(2回目)

 5時間も意識を失うってのは怖いな。むやみに全力で魔力を込めて魔力枯渇になったら大変だな。

 今はだいたい昼過ぎくらいか。そういえば今所持金2000ゴールドしかないんだよなぁ。カンナ強いし、依頼でも受けてみようかな。

 でもキツネ獣人って絶滅して結構、てかだいぶ珍しいよね。どうしたもんか……

 そう思っていたら、カンナのスキルで変化というのを見つけた。キツネが化けるのをスキルで再現しているみたいだな。


「カンナ、カンナの変化で人間に変化することは出来るか?」


「はい、できますよ!」


「じゃあ早速人間に変化してくれ、あと鑑定偽造でステータスも俺の偽造したステータスと同じくらいにしといてくれ」


「わかりました〜」


 そう言ってカンナは薄く光ると、人間姿のカンナが現れた。可愛いしっぽとキツネ耳がなくなっている。まあ、なくてもうちのカンナは可愛いんだけどね!

 カンナのステータスも偽造出来たようなので、俺たちは冒険者ギルドに行くことにした。


 宿を出た瞬間、周りの人がこっちを凝視してきた。いや、正確には可愛すぎるカンナをか。絡まれるのもめんどくさいので駆け足で冒険者ギルドいくことにした。


 冒険者ギルドは前来たときと同じようにガヤガヤと賑やかだった。俺らが入るまでは……。俺らが入っていくと、男の冒険者はほぼ全員がカンナを凝視している。

 可愛いって罪だな。しばらくするとまたガヤガヤと賑やかになっていった。

 いや、どちらかといと、ヒソヒソ喋ってる感じかな?

「あの子めちゃくちゃ可愛い……」とか、明らかに男冒険者の連れであろう女冒険者が頬膨らませて「なにあの子を凝視しちゃってんのよ!」などと聞こえてくる。可愛いって罪だな。(2回目)


 前と同じようにカウンターに並び、カンナのギルドカードを申請する。これといった問題もなくカードは無事発行されたので次は依頼を見るとするか。


 依頼掲示板には様々な依頼の書いた紙が貼ってあった。これをとってカウンターに持っていくと依頼を受けることができるらしい。

 カンナと二人で、Fランクで出来る依頼を探す。

 んーFランクだと清掃とか、配達とか明らかに雑用と思えるような依頼しかないなぁ。そう思ってたら、カンナがある1枚の紙を持ってきた。


「ご主人様、これなんてどうですか?」


 カンナが持ってきた依頼は近くの森に出現するゴブリンの討伐依頼だった。確かゴブリンは成人男性なら勝てるぐらいの比較的弱い魔物なはず。

 ふむ、一匹500ゴールドか。結構ゴールドが心もとないから頑張らないとな。そう思いカウンターに依頼の書いた紙を持っていく。


「かしこまりました。ゴブリンの討伐ですね。その依頼は常時依頼なので、また掲示板に戻しておいてください」


「わかりました」


 俺はカウンターのお姉さんに言われた通りに掲示板に戻す。


「じゃあ早速行くか」


「はい!」


 冒険者ギルドで注目は浴びたもののなんとか絡まれずに出ることが出来た。……と思っていたのだが。

 冒険者ギルドを出て、ちょっと進んだところで絡まれた。


「よーそこの可愛いお嬢ちゃん、金が必要なんだろ? いい仕事紹介するぜ。なんと俺に1晩抱かれるだけで1万ゴールドだ。悪い話じゃないだろ?」


「……はぁ……他を当たって下さい。うちのカンナをそんなふうに見ないでください」


 俺は即答した。こんな奴にカンナを抱かせるとかありえない。ギルド内だと罰せられるから外に出てきたところを狙ったのか? 万が一逆上したら、敵対するかもしれないので俺は鑑定を使った。



 名称: エムナタ 年齢:23歳


 種族:人族


 職業:剣士


 状態:平常


 ステータス レベル:23


 HP:42 MP:30 腕力:91 体力:102 敏捷:83 知力:35 魔力:26 器用:57


 スキル

 剣術Lv2、腕力上昇Lv2、回避Lv1


 称号

 Eランク冒険者



 装備

 鉄の剣、レッドボアの皮鎧



 思ったより弱いな。こんなの瞬殺できる。にしてもHP低くないか?

 そう思ってたらエムナタがイラッとしたのか青筋を立てている。


「おめーには聞いてねぇよ。そこのお嬢ちゃんに聞いてんの。だいたいFランクの癖に偉そうなんだよ! こっちはEランクの先輩なんだ。敬えよ」


 うわー、もっとちゃんとした先輩なら敬意払うけど、こんなん先輩って呼ばないわ。ただありもしない権威を振り回してるゴミだろ。


「俺はカンナの保護者だ。もう一度言います。他を当たって下さい」


「はぁぁあ? 調子乗ってんじゃねーよ。Fランクごときがぁ!」


「さっきから黙って聞いていれば、ご主人様を侮辱しやがって。ぶっ潰しますよ?」


 そう怒りの籠った震えた声でカンナが言った。カンナさん怖いっす。


「はぁ? お前も調子乗ってんじゃねーよ。大人しく俺に従えよ!」


 エムナタはそう言うとカンナに手を出そうとする。

 その行為がカチン、と頭に響いた俺は、次の瞬間、拳で相手を吹っ飛ばしていた。


「がっ、はぁ」


 吹っ飛んだエムナタは白目を向いてピクピクしていた。


 ついカチンと来て手が出てしまった。やべぇ、やりすぎたかもしれん。

 そう思っていたのだが、カンナがすごいすごーいとはしゃいでいて可愛かったので、どうでもよくなった。

 まあ、仕掛けてきたのあっちだし、ざまぁみやがれってんだ。たぶんこれなら正当防衛になるはず……なるよね? 心配になってきたわ。

 そういえば俺とカンナ武器も持ってないじゃないか。

 まあ、拳でもそこそこ戦えそうな気はするけど。そういうのは先に買いに行かないとな。そう思い、カンナを連れて武器屋によることにした。

読んでくれてありがとうございます!ぜひぜひ面白いと思ったらブックマーク、評価をお願いします!

良いところは伸ばして、ダメなところは改善していくのでどしどし意見ください!



8/25変身⇒変化に変更




カンナのイメージ画像です!かわいいでしょ!

※服は適当に選びました。

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] カンナちゃん可愛いです! 気になる点というかそこまででは無いのですが、前話でモデルがブサイクに見える〜と神様を表現していますので、カンナちゃんをモデルのよう〜としてしまっては可愛さが薄…
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