表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス転移で俺だけ勇者じゃないのだが!?~召喚した配下で国を建国~  作者: kame
第二章 〜フューズ王国〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/42

第28話  決闘

1/21 最後の方に少し加筆したので再投稿致しました

「えーっと、これはどういう状況?」


 俺たちは午後の授業を終えたあと、先輩(?)に言われた決闘場に向かうことにした。

 決闘場は演習場に近い場所にあるが、作りが異なっている。アンフィテアトルムと呼ばれる円形の闘技場はまるで、コロッセオを彷彿とさせる。まあ、アリーナはコロッセオと違って石畳だがな。滑らないのかな?

 観客席と思われる場所には、30人くらいの野次馬がワーワー騒いでいた。まるでお祭り騒ぎだ。てか、観客いるって聞いてないぞ!


「あー……決闘は数少ない娯楽として人気があるの。だから、決闘があるときは毎回こうやって野次馬が集まるのよね。これでもだいぶ少ない方だと思うわよ?」


 まじか……こんな人がいる中で戦わされるのか。

 負けたらカンナ達を取られてしまうし、勝つと平民が貴族に勝ったとかでうるさそうだし面倒臭いな。

 それに戦う時に実力を隠そうにも、相手が強いから手を抜くことも出来ないしな。


「ふん、逃げずに来たか平民」


 ニタニタといやらしい笑顔で、見下す様にこちらを見ている。

 もうここまで見下してくると、怒りよりも呆れが先に来るんだが……


「きゃー! タルトさまぁ〜!」


 あの貴族の名前タルトって名前なのか。女の子の名前みたいだな。

 タルトは、済ました顔で手をヒラヒラと振る。


 ナンパ野郎だけあってモテモテのようだ。


 施設に入ると、授業の時にローブを着る場所だった更衣室と同じような場所がある。どうやら、そこで準備をするらしい。

 あ、そうそう、準備室に行く前にあいつのステータスを確認しないとな



 名称:アースレン・フォン・タルト  年齢:18歳


 種族:人族


 職業:剣闘士


 状態:平常


 ステータス レベル:23


 HP:672 MP:230 腕力:406 体力:210 敏捷:452 知力:211 魔力:102 器用:180


 スキル

 剣術Lv7、火魔術Lv2、騎乗Lv4、宮廷作法Lv3



 称号

 騎士見習い、ナンパ上手



 装備

 レッサードラゴンのスケイルアーマー



 うげぇ、これはキッついな。剣術Lv7か、俺が5だから2個も上だな。それにHP、筋力、体力、敏捷は俺を大きく上回っている。敏捷も高いし、懐に入り込まれないようにしないとな、接近戦に持ち込まれたらかなりキツイだろうし。

 これは簡単には帰らしてはくれなさそうだ。なんたってナンパ上手だしな。



「そういえば、どうやって勝敗を決めるんだ? まさかどっちかが死ぬまでとかないよな?」


「ええ、それに関しては問題ないわ。決闘場にある専用の魔道具を使えば問題ないわよ」


「魔道具?」


「ええ、致命傷になり得る攻撃を自動ガードしてくれる魔道具よ。その魔道具が発動した時点で負けになるわね。それ以外にも相手が降参すれば勝ちになるわ」


 ふむ、それなら安全……そうでは全然ないな。致命傷ってことは致命傷以外の攻撃はバンバン入りそうだしなぁ……


 俺は、先日買ったワイバーンの革で出来たレザーアーマーや、ガントレットをアイテムボックスから取り出し、装着していく。

 まさか、この防具を最初に使うのが決闘になるとはな。買っといて良かった。


「やっちまえ! タルトさま!」


「頑張れ〜! タルトさま」


 広いアリーナに出ると、ワーワーと歓声があがる。まあほとんど相手の歓声でめっちゃアウェイなんだが……

 そんな中カンナ達を見つけた。周りの歓声で声はあまり聞こえないが、一生懸命応援してくれてるのが分かる。


 気を引き締める。

 大きく深呼吸をして、円状のアリーナの中心でお互い剣を構え、一礼する。

 なんとも言えない高揚感が、緊張が俺の脈打つ鼓動から伝わってくる。



 ──審判が大きく旗を振り上げる。バサッと布が掠れる音がする。



「──初め!」



「歯食いしばっとけっ──すぐに沈めてやる!」


 そうタルトは言い捨てると、地面を蹴りあげ──距離を詰めてくる。

 流れるような動作で、装飾がされたロングソードを薙ぐ。

 耳に響く金属音と共に、両手にはずっしりとした重みが伝わってくる。


「い……っ!」


 重い、ひたすらに重い一撃だ。今は何とか耐えれたが、若干腕が痺れている。何回も正面から受けると危ないな。


 俺は剣を押し返し、そのままバックステップで距離をとり、二つの魔術を組み合わせ、擬似的に石弾ストーンバレット を再現し──行使する。


「チッ、小賢しいっ!」


 ゴンッという鈍い音をたてながら、タルトは剣の腹で石を弾き、再度距離を詰めてくる。


「うおおおお!」


 ──キンと金切り声のように周囲に金属音が響く。

 1撃、2撃。間を置いて3撃、4撃。


 それまでワーワーと騒いでいた観客も、せめぎあう攻防に固唾を飲んで戦いを見守っている。

 俺は、何とか重心をズラしながら、攻撃をいなし、機を伺う。


 ──5撃目、タルトの顔に焦りが見えた。


 俺は何とか距離を取ろうと、比較的詠唱が短い火球(ファイヤーボール)を行使する。

 至近距離では避けきれなかったようで、肩に直撃し、よろめいた。


 俺はそのうちに距離を取り、耕作 (ランドプラウ)土壁(アースウォール)により、地形を凸凹に変化させていく。


 こうして距離を取って、地形を変えれば簡単には近づけないだろう。──そんなことを思っていた。


「うおっ!」


 ガガガッと何かが削れるような音がしたかと思うと、進路を塞いであった石の壁が崩れ落ち、砂埃が舞う。一瞬薄らと影が見えたかと思うと、鋭い刀身が姿を現す。


「うおおおぉお!!」


 ──腕をしならせての鋭い突き。



 咄嗟に避けようとするが、不意うちだったのもあって、避けきれず、横腹を掠る。


「う"っ…!」


 腹に冷たい何かが触れたと思った次の瞬間、まるで焼印を押されたのかのような痛みが走る。

 この世界に来て、初めての怪我だ。

 ゲーム感覚で勝てていた今までと違って、命を懸けた戦い、死ぬこともあるのだ、と実感する。




 怖い……死ぬのが、怪我をするのが怖い。



 ……だけど負ける訳にはいかない……!


 痛む横腹を押さえつつ、水球(ウォーターボール)を相手の顔にぶつける。


「ぬぁっ」


 視界を遮られたタルトの腹を思いっきり蹴飛ばし、距離をとる。


 今のままでは、ジリ貧で不利だ。今はまだ興奮状態のせいか、腹の傷もそこまで気にならないが、集中が切れたら後々響いてくるだろう。


 出し惜しみをしていては勝てない、タルトは当初の見立てよりも何倍も強かった。


 打開策はただ1つ。


 つけ刃だが、試すしかない……


「──才幹接続(ステータスコネクト )


 詠唱を行うと、頭の中にカンナとノアのステータスが浮かぶ。


 それは、神聖召喚魔術(ホーリーサモン)のレベルが上がって使えるようになったトレース機能。


「──模倣(トレース)


 2人のステータスからひとつずつ、選択し、トレースしていく。


 今回、俺が選んだのは……カンナの聖剣術、そして、ノアの筋力だ。

 今の俺は、タルトに技術も力も及ばない。だが、2人に力を貸してもらえば、上回ることが出来る。


「2人とも……力を貸してくれ……!」


 その時、頭の中に音声が流れてきた。


 ──データベースに接続──完了致しました。

 個体名"カンナ""ノア"の一部ステータスをトレース致します。


 機械のような声だが、どこか心地いい。


 ──トレース、完了致しました。


 ……分かる、剣の扱い方が。分かる、つい先程とは明らかに違うことが。

 俺は再度剣を構え直す。


「……さぁ、ここからが本番だ」


「なにをっ小癪な!」


 タルトが体制を立て直し、此方へと飛びかかってくる。

 剣が軽い、先程とは別のものを持っているようだ。


 剣を薙ぐ。


「なっ!」


 俺が振った剣は、相手の剣を斬っていた。叩き折られた剣先は、地面へと転がり、キンッと音が鳴る。


「そんな……くっ!」


 それでも諦めた様子もなく、再度襲いかかってくる。


 俺は1度剣を受け流した後、剣の面で、タルトの掌を叩く。


「うがっ!」


 あまりの痛さにタルトは剣を手放してしまった。

 明らかに動揺しているタルトの首筋に、俺は剣を突き付ける。


「降参しろ。もういいだろ」


「は、はひ……」


 固唾を呑んでいた審判が旗を上げる。


「そこまで! 勝者トウマ!」


 うおおおおお! という歓声が上がり、やるな! とかいい試合だった。などの言葉をくれる。思っていたような嫌な奴らではなかったようだ。偏見を持っていたのは俺の方かもしれない。


「ほらっ、手貸してやるよ。立て」


 俺はタルトに手を差し伸べる。経緯、動機はどうであれ、相手も真剣に戦ったんだ。敬意を払わないとな。


「お、おう」


 一瞬、戸惑ったが、差し伸べた手をとってくれた。

 何故か目がトロンとしているのだが、なにも見なかったことにしよう。俺にそっちのケはないからな。


「お前……強いんだな。平民だからって侮ってたよ」


「ははっ、過ぎたことはもういいよ。いい試合だったな」


「最後は完敗だったけどな」


 握手を交わして、アリーナから退場をする。


 外にはカンナ達が待っていてくれた。


「ご主人様、カッコよかったですっ!」


「トウマ、いい試合だったわ」


「勝てたのだと思うと、安心して少し腹が減ってきたな」


「じゃあ、みんなでスイーツでも食べよ♪」


 俺たちはいつもより軽い足取りで町へと繰り出す


「うーん、美味しい!」


「美味しいですね!」


「……システム……か」


 試合中は気にする暇がなかったシステムとは何か。


「ん……どうしたんですか?」


「いや、なんでもないよ」


「ふーん」


 そう思いつつも、目の前にある笑顔を見て、「まあ勝てたんだからいいか」とトウマは呟いた。

やっぱり戦闘シーンは難しいですね笑

面白いと思ったら、ブクマ、評価、感想お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ