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クラス転移で俺だけ勇者じゃないのだが!?~召喚した配下で国を建国~  作者: kame
第二章 〜フューズ王国〜

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第22話 野外訓練

「ふんっ!」


「ギャォッ」


 俺の斬撃によって、ゴブリンはその場に崩れ落ちる。


水刃(ウォーターウィップ)!!」


 ──バシャン「ギャッ!」


「おい、そっちからも来てるぞ!」


「ああ! こっちは任せとけ」


 俺たちは緑が生い茂る森の中で、ゴブリンの群れに囲まれていた。

 なぜこうなったかというと……



 ◆ ◆ ◆


 〜3日前〜



「トウマたち、おーっす!」


「おう、おはよフィリップ」


「おはようございます!!」


「おはよ、フィリップ」


 俺たちが学園にきてもう3日が経ち、だいぶ学園の生活にも慣れて来たし、みんなとも普通に喋れるようになってきた。


「あ、そうそう、先生からこれ渡しとけって」


 そう言うと1枚の小さいメモ用紙のような物を渡してきた。

 ……野外訓練のお知らせ?


「なぁ……フィリップ。野外訓練ってなんだ?」


「あ、もうそんな時期かぁー!!」


 何やらフィリップが苦々しい顔をしている。っていうかフィリップも内容知らなかったのかよ。


「そんな大変な訓練なのか?」


「大変ってもんじゃないよ……なにせ魔物がうじゃうじゃいる森に投げ込まれるんだからな……それにご飯美味しくないし……」


 どうやら本人的にはご飯が辛そうだな。まあ俺らはカンナがいるから問題ないんだが。

 メモ用紙には必要なものや注意事項などが書いてあった。必要なものに関しては、前買ったもので大丈夫そうだったので、特に買い足すものもないだろう。



 ──ゴーンゴーンと、ちょうど席に座ったタイミングで鐘が鳴る。


「おーい、席つけよ」


 ガララッとドアを開けながら先生がそう言う。


「あ、そう言えばもうそろそろ野外訓練の時期だから用意しとけよ。まあ用意はすぐ出来るだろうからするのは心の準備だな」


「うわぁぁぁ」


 そう言いながらフェルトが頭を抱える。毎回思うんだけど、反応がオーバーじゃないか?


「そう言えば、トウマ。紙には何が書いてあったの?」


「ああ、野外訓練で使う道具とか、注意点が書いてあったよ、ほら」


 そう言いながら、俺はリアンに紙を渡す。ちなみに教室での俺たちの席は、カンナ、俺、リアンになっている。


「んー、特に買い足さないと行けないものはなさそうね。強いて言うなら食材とかかしら?」


「そうだな」


「おーし、それなら授業始めるぞー、まず昨日の復習からだ。昨日話した通り…………」



 ◆ ◆ ◆

 


 そう、俺たちは野外訓練のために多くの魔物が棲息する森、エルダイ大森林に来ていた。

 エルダイ大森林、それはフューズ王国と死の大地を挟んでそびえ立っている山脈の目下にある森林である。

 エルダイ大森林が誇る広大な森には、お馴染みのゴブリンからAランクの魔物である木龍までと様々なランク、多種多様の魔物が存在している。


 森は、難易度別にエリアが定められており、森の入口付近はFランクの魔物ばかりが出てくる通称エリア1。そこから最深部に行くにつれ、出てくる魔物の強さも上がっていくらしい。


 野外訓練では、その森の中のエリア1、2に跨るルートを通って、実際の戦闘訓練を交えながら森の外を目指すことが目的だ。


 予定では3日間なのだが、エルダイ大森林は魔物も多く、頻繁に襲撃されるため睡眠不足や疲労が溜まりやすいらしい。

 現在、森に入って4時間で3回目の襲撃を受けている。


電球エレキボール!!」


 ──バチッ「ギギギギッ」


 フィリップが放った雷鳴魔術によってゴブリンが膝から崩れ落ちる。


「はぁー、疲れたぜ。今日これで3回目だぞ……やっぱ地獄だー!!」


「よし、一旦休むか」


 フィリップが頭を抱えて喚く様子を見て先生が休憩の指示を出す。

 魔物への認識阻害が働く天幕のようなものを張り、切り株を椅子替わりにして腰を下ろす。どうやら、この天幕のようなものも魔道具のようで、魔力を流している間は魔物から認識されないらしい。


「ぷはぁー!! 水が美味しいなぁ」


 恍惚の表情を浮かべながらごくごくとフェルトは水を飲んでいる。


「疲れたわね……休憩もなかなかないし、魔物の襲撃も多いし大変だわ」


「そうですねっ、私も疲れました!」


 リアンは肩で呼吸してるようで大変そうだが、どう見てもカンナは他の人に比べたら疲れているようには見えない。これがステータスの違いなのだろうか?ちなみに俺はヘロヘロである。

 俺は元々のMPの量が多いので大丈夫だったが、中には戦闘中に魔力枯渇で倒れた人もいた。MPが回復するポーションを飲まされて無理やり戦線復帰させられていたけど……



 俺たちが進んでいる道は、一応道ではあるのだが、学園がこのためだけに開拓したルートなのでとても歩きづらい。街道など、ある程度道が踏み固められているところでさえ、日本の歩道よりとても歩きづらいのだから、大変さがよく分かるだろう。


「とりあえず、ここら辺で1回昼食を取るか。各々準備して食べてくれ」


 そう、これは冒険者としての訓練でもあるため自分たちでご飯も用意しないといけないのである。

 8人ずつのグループを作り、お互いに分担し合いながら作業をしていく。グループの中でカンナが1番料理経験があるので、今回はカンナに指示を出してもらいながら料理を作っていく。


「おーい、小枝持ってきたぞー!」


「ええ、ありがとうフィリップ。………燃えよ!篝火 (トーチ)!」


 フィリップが持ってきてくれた小枝にジェシカが呪文を唱えて火をつける。


「これはどうしたらいいんだい? カンナ君」


「あー、それはそのまま乱切りにしちゃって下さい!」


「乱切り……?」


 どうやら、グラック君は乱切りを知らないらしい。


「グラッグは、ばっかだなぁ。こうやってやるんだよ」


「……フェルト、それはぶつ切り……乱切りはこう……」


「ん……何が違うんだ? 同じじゃないか!」


「……こっちの方が火が通りやすくなる……」


「はっはーん、わからん!」


「……フェルトは……ばか」


 ユーユに馬鹿呼ばわりされたフェルトは顔を真っ赤にしている。

 まるでコントのようだ。


「口より手を動かしてくださいませんか?」


 そう笑顔でいうジェシカの顔は怒気を含んでいる。

 ジェシカに怒られた後、テキパキと動くようになっていたのが面白かったな。

 俺は肉を切ったり、カンナの指示に従って調味料を入れていく。

 調味料は、どうやら甘辛いタレのようなものがあるらしく、それで味付けをした。

 肉は襲撃してきた魔物のものだ。あ、ゴブリンじゃなくて、イノシシみたいなやつだからな?



「よっしゃー! 出来た!」


「ふー、料理もなかなか大変ですね」


 出来た料理を皿に盛り付けていく。メニューは、野菜炒めのようなものと固めの黒パンである。


「「「頂きます!!」」」


「モグッ──うめぇー!!」


「美味しいわね」


「やっぱり、自分たちで作ったご飯は美味しいよな」


「うめぇ……うめぇよ」


 そう言いながら、みんなパクパクと食べていき、あっという間に完食した。


「ふぅ、食った食った」


 そう言いながら、フェルトはその膨れたお腹をポンポン叩いている。

 もう1つのグループも食べ終わったあと、しばらくして出発することになった。



 ◆ ◆ ◆


「はぁ、はぁ、苦じい……」


「あんな食べるからだな、歩くことも考えて食べる量を調節しないといけないぞ」


 案の定フェルトは苦しいようで、今にも吐きそうである。


 木が鬱蒼と生い茂る森の中を、1歩、また1歩と歩いていく。歩き始めた時はみんな喋っていて騒がしいくらいだったが、今はもう、ただ鳥のさえずり、葉っぱの擦れる音が聞こえるだけだ。



 その刹那、轟然なる大音響が地面をつんざいた。

 森の中から出てきたのは、緑色の巨大生物。

 それはまるで醜い豚を彷彿とさせる。ゴブリンでもない、ル〇ージでもない。

 そう……オークだ。


「オークだっ!!」


「距離をとれっ! あの棍棒で殴られたら一発でミンチだぞ!」


 オークは単体でDランクである。その大きな図体と圧倒的な力で、木々であろうと粉砕してしまう。ただ、動きは鈍いため攻撃を避けるのはさほど難しいわけでは無い。


火球ファイヤーボール|!!」


「ゴガァァァ」


「くそっ、効かないか」


 どうやらオークの皮膚は魔術耐性が高いらしく。生半可な攻撃では通らないそうだ。


「オークは腱を狙え! 動けなくなったところで首を掻き切るんだ!」


 先生がそう叫ぶ。


通電(エナジャイズ)!! これで感電して動けなくなるはずだっ!」


 フィリップが放った電撃はオークの動きを一瞬だけ止めた。そう、ほんの一瞬だけ。


 ──ブゥン、ガンッッ!!!


「うお、危なねぇ!」


 すんでのところで、カンナの剣がオークの棍棒の攻撃を受け流す。


「大丈夫ですかっ?」


 危ない、もうほんの一瞬カンナが助けてくれなかったら、今頃フィリップはミンチと化していただろう。オークは攻撃を受け流したカンナにターゲットを絞ったようだ。


「ガァァァ」


 今にもオークはカンナに襲いかかろうとしている。


(今だっ!)


 カンナに意識を向けている今がチャンスだ。俺は怖いという気持ちを打ち消すように歯を食いしばりながら、オークのアキレス腱に向かって斬撃を放つ。


「ゴアァァ」──ドスンッ


 剣先に肉を断ち切るときの嫌な感触が残る。たとえ、相手が人じゃなくても肉を切る感触は決して気持ちの良いものではなかった。

 腱を切られ、バランスを崩したオークはその場で膝から崩れ落ちた。凄まじい轟音と共に、砂埃が舞う。オークが無防備になったのを見て、カンナがオークへと攻撃を仕掛ける。


「止めです!」


 そう言いながら、カンナがオークの首を切り落とす。

 オークの首からは鮮血が流れ、地面を赤く染める。


「良くやった、初めてにしては上出来だと思うぞ」


「……動けなかった……」


「そりゃ、最初は誰だって怖いさ、次出来るように頑張ればいいんだ。よし、もうちょっとで日が暮れるな。そろそろ野営の準備をしようか」


「よっしゃー! オークステーキだ!」


「全く、さっきはそのオークに殺されそうだったのに逞しいわね」


「もう今はただの食材だろ?」


 これは逞しいとしか言いようがないな。

誤字、脱字などの報告非常に助かってます!少しずつ改稿していきますので、暫しお待ち下さい!

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