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第18話 王都到着

 ──ガヤガヤ


「うーん、やっとついたー!!」


 そう言ってリアンは背伸びをするように両手を挙げている。


 ガルゾディスから王都までは街が2つあったのだが、2個目の街は予定が押していることもあって素通りだった。まあ、また機会があったら寄ってみようと思う。

 やはり王都という事で、大通りは大勢の人で賑わっている。

 門をくぐるとそこには馬車が4台くらいは通れそうな大通りが続いており、その直線上には王城であろう大きな城が佇んでいる。


「取り敢えずギルドに報告しに行くぞ」


 そうライアンさんが言う。


「ああ、そうだな」


 ◆ ◆ ◆


「では、依頼(クエスト )完了致しました。こちらが報酬になります」


 受付のお姉さんからゴールドを受け取る。受付が綺麗な女の人なのはどこも共通なのだろうか?

 まあ、確かにそっちの方がやる気は出るだろうけどな。


「じゃあ、これでお別れだな。また機会があったら一緒にやろうや」


「こちらこそよろしくお願いします」


「フォッフォッフォ、楽しかったぞ! では、またどこかでな」


 依頼の代金を貰ったあとライアンさんたちと握手を交わしたあと、そう言ってそれぞれに別れていく。短い間ではあったが楽しかったし、いい思い出になったな。


「さて、せっかく王都に来たんだしちょっと観光するか!お金も結構貰えたしな」


「そうですね!美味しいもの食べたいです!」


「色々お店も見て回りたいわね」


 ちなみに護衛依頼の報酬は15万ゴールドだった。食費とか色々引くと残るのは10万くらいだろうか。3人で一日1万ゴールド程なのでそこまで稼げるわけではないが、宿代とかでお金を消費しなかったので結果的にはなかなか良い依頼だろう。

 それに旅をしたりして景色を見るのも楽しいしな。


「んー、美味しいわね!」


「ふわふわで美味しいです!」


 俺たちは王都で有名なスイーツ店に来ていた。どうやら過去の転移者の中にパンケーキを広めた人がいるらしく、王都名物はパンケーキとなっていた。

 確かに普通の黒パンに比べると圧倒的に柔らかくてふわふわしているし、美味しいのだが……ただ1つ言いたい事がある。高い……そう、めちゃくちゃ高いのだ。

 なんと、1枚5000ゴールド!確かにパンケーキでも高いものはあるが、それでも2~3千円程度だろう。少なくとも俺は1枚で5000円もするパンケーキはみたことない。まあ、それでもカンナやリアンが幸せそうだからいいけどね。


 ちなみに俺は1枚、カンナとリアンは2枚ずつ食べたので合計2万5千ゴールドでした……高ぇ。


 ◆ ◆ ◆


「そう言えば、学園に行くのが本来の目的だぞ」


 ライアンさんたちの話を聞いて、俺たちは学園に入学することを決め、王都に着いたら学園に行くという事になっている。


「モグモグ……そふへひはね(そうですしたね)!」


「モグモグ……どふぉにいふぇばいいのかふぃら(どこに行けばいいのかしら)?」


「2人とも……太るぞ」


 2人もリスみたいにほっぺたをパンパンにふくらませながら喋っている。

 店を出てすぐに屋台とかで売っているベビーカステラみたいなものを買っていた。

 2人ともなかなかに食いしん坊キャラなのではないか?


「動けば問題ないわよ」


「美味しいから仕方ないです」


 こりゃ食費がかかりそうだ。


「おおこれまたデカイな」


「流石、フューズ王国1の学園ね」


 俺たちは学園の門の前に来ていた。学園の建物はまるで某魔法ファンタジーに出てくるホグ〇ーツ城みたいな感じだな。あれは崖の上みたいな所にあるが、ここは平地である。その城を囲む様にぐるっと高い塀がそびえ立っており、かなりの敷地面積であることがわかる。


「あら?何用かしら?ここをラノリア王立学園と知ってのことかしら?」


 うぉぉぉ!!テンプレ展開きたぁ!髪型ドリルとか初めて見るな。毎朝セットしているのだろうか?まあカンナとリアンもいるし、ヒロインフラグではないだろう。


「ええ、実はファウンダー辺境伯にラノリア王立学園への推薦を受けたんです。推薦状をお渡ししたいんですけど、どうすればいいかわからなくて」


「そうだったのね、ついてらっしゃい」


 もっと、疑われるかと思ったけれど、すんなりと案内して貰うことが出来た。割と俺たちみたいな感じで編入してくる人はいるのだろうか?


 ──コンコンッ


 ドアの奥から「フォッフォッフォ入っていいぞ」という声が聞こえる。

 ん?フォッフォッフォ?


 ──ガチャ


「失礼します」


「フォッフォッフォ、なにようじゃ?」


「学園長先生、この人達がファウンダー辺境伯から推薦状を貰って来たそうです」


「おう、どれじゃ?ほれ、見せてみぃ」


「えっと、商人の……おじさん?」


 さっきぶりです。


「フォッフォッフォ、お主らはローガンにあったのか。あれは儂の弟じゃ。儂の名前はモーガン・フルーマンじゃ」


 凄い似てる!と思ったら兄弟だったのか。


「そうだったんですか!? すみません。あ、これ推薦状です」


「ふむふむ、確かにファウンダー辺境伯直筆のようじゃな。よし、軽い試験をやってから見極めてやろう」


 げぇ。推薦状だから面接試験だけで良いのかと思ったよ……。まさかの実技もやらされるとは。


「じゃあ、順番にあの的目掛けて魔術を撃ってみよ」


「じゃあ私から行くわね」


 リアンはそう言うと詠唱をし始める。


水刃ウォーターウィップ!!」


 リアンの手から鞭状に水が噴き出す。そのまま斜め上に上昇していくかと思えば大きくしなり、木の的をうち叩く。


 ──ザァァン──ボガァン!!


 的はまるでハンマーで叩かれたように粉々に粉砕される。

 いや、こっわ。


「おお! やりおるな! 次、いいぞ!」


「次は俺が行きます」


 俺は魔力を練り、詠唱を始める。


砂礫 (サンドショット)!!」


 そう唱えると、目の前に圧倒的物量の砂が現れ、まるで水を噴射するときのように高速で的へと向かっていく。


 ──ザザッ──グガガカ!!


 的は圧倒的物量の砂に押し負け、根元がポッキリと折れた。ちなみに着弾地点は砂に埋もれている。


「おお、ここまで砂の量が多い砂礫 (サンドショット)は久しぶりにみるな。さては小僧、魔力を多く込めたな?」


「ええ、ちょっと緊張して力んでしまいました」


 少し、ってかだいぶ緊張して魔力をこめすぎてしまった。これ森とか草原ならいいけど、ここだと砂を片付けるの大変だなぁ。


「最後は私ですね!」


「おいカンナ、あんまやり過ぎるなよ?」


 そう言うとカンナはにっこりと笑って頷く。すげぇ不安だ。


火炎槍フレイムランス!!」


 カンナの前に巨大な炎の矢が現れ、高速で的へと飛翔する。


 ──ズガガガガァァ──


 カンナが放った火炎槍フレイムランスは的に激突すると、轟音と共に跡形もなく消し去る。

 おいおい、やり過ぎだって、ファイヤーアローにしとけば良かったのに。火炎槍フレイムランスは大木も真っ二つにしてしまう魔術だから的に対してはオーバーキルもいい所だ。


「……」


 ほらっ!学園長先生も口を開けてポカーンってしてるぞ!


「あのー」


「素晴らしいっ! 素晴らしいぞっ! よし、君たち3人はSクラスに1ヶ月編入だな!」


 どうやら無事試験には合格したらしい。


「ん? 1ヶ月ですか?」


「ん? 聞いてないのか?編入生として入れるには少々決まりがあってのぅ。まず他国の者が編入生としてやってくる場合は交流生として1ヶ月しか在学出来ないのじゃ。君たちは優秀そうじゃから、本当はもっと居て欲しいのじゃがのう、決まりだから儂も破れないのじゃよ。普通に入学したいなら一般試験を受けねばならん。それも開催が八ヶ月後じゃしのぅ」


 なるほどなぁ、決まりで1ヶ月しか入れないのか。まあ俺たちはそんな本格的に学ぼうってよりは一般常識とかこの学園内の本とかが見たかったから1ヶ月あれば十分だけどな。


「分かりました。これから1ヶ月よろしくお願いします」


「フォッフォッフォ、よろしく頼まれたぞ!ぜひ良い学園生活を送ってくれぃ」


 学園長先生はそのままフォッフォッフォと高笑いしながら去っていった。あ、ちゃんと他の先生が引き継いでくれたからね。


「ここが、私たち寄宿舎ね!」


「ワクワクしますね!」


「うぅ、なんで3人同じ部屋なんだ……俺達一応男女なんだぞ?」


「さんざん今まで一緒に寝てたじゃない。今更でしょ? それともなに?嫌なのかしら?」


「いや、そう言うわけじゃないけど、ちょっと色々と、ね……?」


 いや、普通に嬉しいんだが、俺の理性が持たないんです。あと健全な高校生には1人の時間が欲しくなるんです……


「ならいいでしょ。もう一部屋借りるとお金がかかるから我慢してね?」


 はい、色々と我慢します……


「それに一緒に居たいしね……」


 ボソッ。


「え?なんて言ったんだ?」


「なんでもないわ! さぁ、明日に備えて今日は早く寝るわよ!」


 実は1番ウキウキしてるのはリアンだったりする。さっきから目がらんらんと光っている。こりゃ興奮で今夜は寝れないんじゃないだろうか……?

活動報告書いたので見てくれる嬉しいです!


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