第10話 魔石と魔術
今回はがっつり説明回になっています。かなり難しい話になっていると思うので分からない場合は感想欄にてお聞き下さい。分からないとこは詳しく改稿するので!
最悪、箇条書きのところだけでも分かると思います……たぶん
「まず魔法には基本属性というのがあるの。それが私が習得している火、水、風、土の4つね。それに闇、光、回復という3種の魔術を加えて七大魔術と呼ばれているわ。もちろん派生もあるから全部で七種類ってわけじゃないけどね」
俺たちは依頼を終えて宿に帰ってきていた。
ゴブリン討伐で疲れたので、部屋で休みながらリアンに魔術について教えてもらうことになった。
ちなみにカンナはキツネスタイルだ。リアンと同じ部屋で寝るわけだし、隠し通すのも疲れるのでリアンにはカンナが獣人であることを教えてある。
まあ、やっぱキツネ獣人を知らなかったようで、最初は尻尾が大きいネコ獣人だと思ったらしい。
こりゃ、案外外でも気にしなくてもバレないかもな。やっぱ、カンナはこっちのほうが可愛いしね。
「他にはどんな魔術があるんだ?」
「そうね、1番馴染み深いのは契約魔術かしらね。属性的には無と呼ばれるわね。七大魔術に当てはまらない魔術は無属性とされているのよ」
「へ〜、その契約魔術ってなにが出来るんだ?」
「名前から分かるように主に商人とかが物の取引とかを行う時に使う魔術ね。
似たものに誓約魔術というものがあるのだけど、区別としては契約魔術が主に商人が使う拘束力の少ない魔術ね。誓約魔術は主に聖職者が使うのだけど、こちらは代償がなんやらとか、破ったら命を落とすとか結構物騒なものが多いわね」
なるほど、同じ契約する感じの魔術でもいろいろあるのか。まあ確かに商人と取引するのに一々破ったら命を落とす魔術かけるとかしないわな。
「無の属性のなかでも特にレアなのが召喚魔術と時空魔術ね」
ん…? 俺の持ってる召喚魔術ってレアだったのか?
異世界から召喚されたときも、ギルドのお姉さんにもあまり反応されなかったからそんなレアじゃないのかと思ってた。
まあユニークスキルではないからクラスメイトのなかでは埋もれてたのかな? ギルドのお姉さんは多分レアな魔術を見るのも慣れているのだろうと、自分の頭に中で自己解決する。
「まあこれは使える人があまり多くないから分からないことも多いんだけどね。召喚魔術とかはレアだけど超大器晩成型って言われてて、高レベルだと化けるけど低レベルだと使いづらいらしいしね」
「なぁ」
「なによ」
「リアン……俺、召喚魔術Lv10だわ」
「エ゛」
リアンが女の子が出しちゃいけないような声を出す。もうカンナのことをだいぶ話ちゃったし、もういっそ喋っちゃっていろいろ意見を聞いてみようという考えに至った。それにリアンが驚く姿面白いしね!
「だ、大丈夫よ。もうあなたたちがオカシイのは十分分かったから、ハァ……ハァ」
なんか呼吸が乱れてるぞ? 大丈夫か?
「カンナも大概だけど、あなたも大概ね。普通ってどのくらいか分かってて言ってるかしら? あまり言いふらすと厄介な貴族共が群がってくるわよ?」
「ああ、それは分かってる。俺たちはリアンが信頼出来ると思ったから喋ったんだ」
「それは嬉しいけど、そうね、まずあなたたちに普通を教えないといけないわね」
この世界の平均がどのくらいか気になるよな。やっぱ生活で魔術とか使ってたりするのだろうか?
「まず、魔術とか、剣術とかの武術ともに1レベなら、適性があればちょっと訓練をしたら割と使えるようになるわ」
「ちょっとって、どのくらいなんだ?」
俺は1日、まあだいたい練習したのは三時間くらいか。俺はそんくらいの時間で剣術を習得出来たが、普通はちょっと違うかも知れないしな。
「そうね、だいたい二〜三週間ぐらいかしらね? それ以降になると何ヶ月とか何年とかかかるものもあるわ」
あーやっぱ早かったかぁ。
「そういえばトウマは剣術を覚えるのにどのくらいかかったかしら? やっぱり才能があるから一週間とかで出来たのかしら?」
「いや……三時間ぐらい……かな……?」
「……はぁ」
リアンはもはや言葉も出ないようだ。
「まあいいわ。次は習得できる魔術の数ね。普通の人はだいたい使える魔術は基本属性の火、水、風、土から1種類から2種類くらいね。たまーに3種類使える人もいるけどね。そっから上、4種類とかそれ以上使える人はなかなかいないわ。だから私は四種類使えるから結構アドバンテージがあるのよね」
「なんでそんなに四種類を覚える人が少ないんだ?」
「誰でも得意、不得意あるでしょ? 魔術もそれと同じで得意魔術の対になる魔術は習得しづらいのよ。例えば、私は水魔術が得意なのだけれど、対になる火魔術は習得するのが大変でレベルも1番低いのよね」
へー、属性によって対になっているものがあるのか。闇の対はやっぱり光なのかな?
「まあでも一般の人は魔力量がそんなに多くない人が殆どだから、あまり生活の中でバンバン使えるものでもないわね」
ちょっとこんがらがってきたので頭の中で整理してみる事にした。
・基本属性四種類(火、水、風、土)と闇、光、回復の三種が主な魔術で、それらを合わせて七大魔術という
・契約魔術や、召喚魔術、時空魔術は七大魔術に当てはまらない無属性と呼ばれる
・無属性のなかでも召喚魔術や時空魔術はレアで、召喚魔術は超大器晩成型
・魔術や剣術のLv1を覚えるのにだいたい二〜三週間かかる
・一般の人が使える魔術は基本属性から1〜2種類くらいで、多くても3種類くらい
・対になる魔術があるため4種類を覚えることが出来る人は少ない
・一般人は魔力量の関係で生活のなかでバンバン魔術を使うことは出来ない
魔術って括りのなかでもやっぱ色々あるんだな。魔術の行使の原理とかはどんな感じなんだろう?
「えーっとこれはあんま知られてないんだけれど、人間や獣人、獣なども魔物と同じように体内に魔石があるの。まあ簡単にいうと生きる者全てが魔石を持っている事になるわね。魔石っていうのは周りにある魔素を自分の魔石に溜め込むことが出来るの。その魔石に溜まった魔素を魔力に変換して、魔力の管が血管のように身体中に張り巡らされているの」
「魔素ってなんだ?」
「魔素はこの世界中にあるもの根源みたいなものね。魔素は万物に置き換わる性質があるの。それを利用して魔素を魔力へ、そして魔力を属性変換をして魔術を行使するのよ」
んん? 結構難しいんだな。簡単にいうとこんな感じか?
魔素は火とか水とか何にでもなる事ができる物質で、それを魔力に変換し、詠唱などにより意図的に調整することで魔素から火や水などに変化させることができるって感じか? なんか、どこぞのSTAP細胞みたいだな。
「人の体において魔石や魔素が変換された魔力によって形成された部分は約6割と言われているわ」
なるほど、この世界は魔素によりほぼ全てが成り立っている感じなのか。物理法則とか質量保存の法則とかが通用するとは限らないかもな。
「じゃあ、体の中の魔素を使い切ったら、体の約6割が消えるのか?」
「いいえ、そうではないの。何故かとはまだ解明されてはいないんだけれど、おそらく周りにある魔素が魔術を行使して出ていったものの補填をしていると考えられているわ」
「補填して体が消えないってことは一瞬で全部補填されるってことだよね?」
「ええ、そういう事になるわね」
「じゃあ、永遠に魔術を使えるんですか?」
おっと、ここに来て大人しく話を聞いていたカンナからの質問だっ!
俺も魔力を使った瞬間に魔素が補填されるならずっと魔術を行使し続けるのではないか? と思った。
「これもまだ完全には解明されてはいないのだけど、魔術って体内の魔力を使って行使するでしょ? 魔素を魔力に変換する必要があるから、自然に漂っている魔素では魔術行使出来ないのよ。
魔石には魔素を魔力に変換する力があって、その変換にも時間が掛かるから連続して魔術を行使できないの」
うーむ、難しいな。魔術を行使する流れを表すとこんな感じか?
漂っている魔素→魔石で魔力に変換→詠唱などで属性変換→魔術ズドーン
にしても意外だな。ラノベではあんなにズドンズドン打っていた魔法にも細かいルールがあるし、なにより人間にも魔石があるってのがな。
ってことはこの世界の生き物は全員が練習したら魔術を使うことができるのか?
「一部例外があってね、それが魔石欠乏症とあとは魂石ね。たまに魔石がなかったり、魔素を貯めることが出来ないことがあるのね。それを魔石欠乏症というのだけれど、魔力が人間に生きることが必要なのは分かるでしょ?」
なんか魔力って地球での人間が生きるのに必要な水みたいなものだな。
「だから、魔石欠乏症の子は産まれて1ヶ月以内に死に至るわ。それこそ治療法もあるけれど、お金がすごい掛かるから普通の一般家庭に産まれたらアウトね」
「治療ってどんなことをするんだ?」
「詳しくは知らないけど、治癒魔法の中に魔石を移植できる魔術があるのよ」
なんだろう、心臓移植の話を聞いているみたいだな。
「で、もう1個の魂石なんだけれど、ごく稀に魔石の中に魔素を魔力として貯めることは出来ないけれど、魔素をそのまま使うことが出来るものがある場合があるの。その場合は魔力に変換出来ないから魔術を使うことは出来ないけれど、その分常に身体能力が魔素によって上昇されるのよ」
そんなのもあるのか。やっぱり知らないことも沢山あるから慢心せずに情報を集めるべきだな。
「と、まあざっくり話すとこんな感じね。ちょっと疲れたからまた今度続きを話すわ」
「わかった、明日は早く起きるから早く寝ないとな!」
「ええ、そうね、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「おやすみです!」
いよいよ明日はこの街を発つからな。朝からおっちゃんに作ってもらっている防具を取りにいって、軽く食料の買い出しとかもしないとな。
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