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第三十話 新たな闇、天平会撃滅

終活の影響と推しの人の情勢を観察しつつ気付けば四ヶ月近く放置していました(終活は無事終了)

引き続きお楽しみください!

ジンギスカン首長国連邦

ゴルタイ・天平会拠点

漢華系ジンギスカン人で構成されている天平会は表向きには傭兵団として知られているが、実情は漢華人民共和国の後押しを受けて外国籍の飛行船に対する空賊行為を行いつつコミン主義政権樹立を目指し、ボリシェ・コミン主義連合共和国崩壊の混乱に乗じて戦力を強化してきた。

そんな彼らの活動目的の一つである漢華人民共和国への協力の一環として異性間または同性間での恋愛行為の弾圧を体現するかのように拉致して来た男女を椅子に拘束した上で密入国して来た複数人の漢華人民軍の政治将校が、『革新的人間科学論』というタイトルの本を朗読した洗脳を行っている。


「恋愛とは容姿や美しさといった外面的要因により無意識な選民思想であると同時に心理的不安を煽り一人一人の人間に存在する価値観崩壊に繋がる極めて愚かな人間科学なのだ」


「もう……やめてくれ」


「ここから出して……嫌だ」


「特に!人間が生まれながらに持つ良心を踏み躙る容姿や身体的特徴を恋愛の基準にする事が人間の心理的不安を煽る最大の原因となっており、人間は長い歴史がある立法府が与える平等な愛情こそが人間の平和に繋がるのである」


漢華人民共和国はジンギスカン首長国連邦における政治工作の一環として天平会を通じて拉致した不特定多数のジンギスカン人に恐怖的な思想改造を施すことで、感染症が拡大するように集団心理的要因を通じて自分達の操り人形と化した人々を利用してコミン主義思想の拡大を画策しているのである。

当然のことながら突然拉致されたうえ洗脳されかけている人々は恐怖で萎縮しながら小声で拒否し続けるが、政治将校は人間が壊れる瞬間を楽しむかのように大声で朗読を続けている。


「今回のは一時間で上手く行きましたな。お見事ですこうして連邦を漢華型コミン主義で染め上げれば、我が民族は豊かになり戦争も無くなります。いわばこれは聖戦です」


「エンフバヤル同志。貴方は我らが親愛なる指導者『黄洪青』人民総帥様が書かれた革新的人間科学論は私が暗黒の生涯の中で大いなる支えとなりました。今や黄閣下は我が民族の裏切り者である北部の連中に騙されている同胞達を解放せんと日々努力されています。その結果、私を含めた人民は豊かな生活を手に入れたのです」


「黄総帥閣下の功績は我々黄型コミン主義肯定派から見れば大変目まぐるしいものであります。閣下の理想を打ち砕かんとする反革分子共を使った人類科学の遺伝子改良への利用に加えて退廃的文化の排除と国民の生活水準が上昇したうえで救えなかったボ連の同志達の技術の結晶やコミン主義発展の意志を受け継いだ漢華人民共和国こそ新時代の漢華民族であると思います」


「エンフバヤル同志、我々の内輪もめなら外国のお家騒動という事でボ連をいともたやすく捻じ伏せた二ホンの干渉は避けられるでしょうな」


天平会総統、エンフバヤルは漢華人民共和国の漢華文化大改革実行院長官の『張文元』と共に共和国人民総帥の黄に対する信奉を口にしつつ洗脳した市民を利用するテロリズムまたは荒唐無稽な同胞殺しの優生学思想について語り合っている。

この張という男は共和国成立時から政府主導の平等を夢見た人民を抱き込んで漢華文化の一つである恋愛文化の象徴を徹底的に破壊し、現代でいうところのLGBTの肯定または容姿の趣向や身嗜みを巧みに活かした恋愛文化をも人間退化思想や差別主義的思想と位置付けて弾圧を主導して来た事に加えて黄総帥をはじめとした政府高官と共に男女間の愛情の平等化を目指して政府による結婚相手の取り決めといった管理社会を作り出した実績を手土産に共和国の次期国家総帥の椅子に座ろうとしているのである。


「そうですな。同志達は今日も救国活動をしておりますので、良い結果をお待ちください」


「分かりました。それでは私達も本国に戻らせていただきます」


エンフバヤルとの会合を終えた張は連れて来た政治将校たちと共にその場を後にした。しかし、天平会には豊富な戦力があるにも関わらずいともたやすく殲滅されている事を知らないエンフバヤルは同胞をカルト国家に売り渡している事を後悔させられるのであった。



アルタム

義誠連合会アルタム支部

アルタムの連邦軍駐屯地に隣接する義誠連合会の拠点では日本から運び込まれたヘリコプターや装甲車、無人機、火砲などが一個大隊分ほど用意されていた。

連邦軍と共同で使用している演習場では王国本国から派遣されて来た近衛兵達が遠隔操作用のモニター付き端末と睨み合いながら天平会が拠点の外に駐車しているであろう車輛を模した標的を慎重な操作で破壊していくなど小型の無人機を使った事前訓練を行っている。


「中に人が乗っていないのに操作しやすいですね。ボタン一つで大爆発を引き起こす爆弾も付いているとは思えないです」


「そうでしょう?奴らが必死こいて狙ってきたところを皆さんに敵の背後を急襲してもらいたいと思います」


ルッキーニ大尉と国光は大型トラックの荷台に仮設された操作室にあるモニターに映る演習映像を眺めつつ事前に空撮した天平会が拠点とする町やその周辺にある溜まり場などを地図に書き込んで部隊配置の駒や竜騎兵団と相対する戦力に配慮した布陣を作成していた。


「分かりました。陸と空からの二正面だと奴らも混乱は避けられないでしょうし無人機で撹乱したところを我々騎兵隊が超低空飛行で侵入してヘリコプターと共に対地攻撃を実行するんですね」


「ええ。ヘリコプターでも攻撃しにくい死角を超低空飛行してもらえると助かります」


作戦としては無人機による攻撃に併せて義誠連合会のヘリコプター大隊が敵を攻撃し、混乱しつつも立て直しを図ろうとする残存戦力を超低空飛行で進入して来た近衛竜騎兵団が殲滅する手順だ。

主に日本国防軍と合同作戦を実行する王国軍の一部部隊では日本製兵器に更新されているものの日本側の配慮で日本が先行する機会が多いのだが、彼女達近衛竜騎兵団は精鋭ということもあり祖国の国防に革新をもたらす存在となるべく今回のような勧善懲悪的な作戦に対して積極的だった。




漢華人民共和国

首都・重京

人民総帥府

漢華大陸西部にある漢華人民共和国の生活水準としてはモータリゼーションが進んでいたり食糧供給も平等に行き渡るなど外見上は不自由のない生活なのだが、日本との戦争で自ら命を絶った旧ボ連総帥のジュガーリンからは人間科学の革命にもメスを入れたと称賛されたほど異性間関係に厳しく容姿を差別または揶揄するような文化品は徹底的に破壊し尽くされ男性または女性向けの恋愛雑誌などは弾圧されるなど国家繁栄の合理化及び統制を人間の感情や心理に対して実行していた。


「全く……好色鬼子共は性懲りもなく現れるな。これも反動的主義者の民国が我が漢華の地に居座っているからだ。西部にいる同胞達を豊かな東部に移り住まわせ漢華民族を荒廃させようとする豚共を今こそ駆逐したいものだ」


「そうですな。漢華の地は古来より痴情で滅んだ歴代の王朝がだらしなさを露呈したせいで敷洲帝国により北部の奉州を持っていかれる醜態を晒しております。しかし、この分裂した漢華の地を先進的な我々が統合することで地上の楽園となり我々に対して中立的な態度を取る敷洲は我が共和国が正しいことに気付く事でしょう」


官邸と私邸も併用した総帥府では黄総帥が自身の腹心である『江彪』副総帥と机上に並べられた絢爛豪華な料理を貪り食いながら西部に位置する漢華民国への侵攻計画や共和国発展と共に増加しつつある人民に偽りの幸福を提供するための政策、漢華問題に対して不干渉を維持し続ける大敷洲帝国への対応など、この国の今後を話し合っていた。


「我が妻である麗姫と平穏に過ごすためには反動的で人間の悪感情を放置する害虫などこの世から消えてもらうほうが良いのだよ。しかし、今となっては悲しい事にジュガーリン同志は日本という得体のしれない国を侮り自らの首を絞めてしまった。だが、あえて別の世界から来た者達とはいえ野蛮ではない文明を有した人間だからこそ話し合ってみる価値は十分あるだろう?」


「黄総帥閣下が仰る通り、我々と同じく先進的な文明を築き上げているかもしれないことから必要以上の戦争をやらずしてこの世界で生き残っていくことができると思います。それと天平会には証拠隠滅を指示していますから」


「うむ。頼れる同志とはいえ我々の偉業を達成する為の犠牲となって貰うこともやむを得ないだろう」


「ええ。そうしなければ民国のダニ共は反動主義の分際で我々の事を悪魔だと言い張りますからね」


同族同士で睨み合っていることを巧みに利用して労農評議会の党員達を民国に送り込んでいることから暴力性が高いジュガーリンと異なり敵の懐に潜り込み狡猾な手段を用いた戦略を得意としている。

また、黄は元大明帝国軍時代に若くして将官に成れたほどのカリスマ性を持っていることからジュガーリンのように国民の不満を逸らして国の身の丈に合った軍拡を推進して来た。


「黄総帥閣下。また民国と何かあったのですか?」


「おお~私の可愛い麗姫ちゃんかい?何も気にする事は無いさ。君の一族を殺した豚共の末裔達に対してどのような策を取ろうかと悩んでいるんだよ。大丈夫、もうすぐで私と君の漢華連邦ができるからね。さあ、こっちにおいで」


「これは麗姫夫人。この度はお料理を振舞っていただき感謝の極みでございます。流石は黄総帥閣下の奥様に相応しいと考えております」


「ふふっ江副総帥閣下も来られていたのですね御機嫌よう。わたくしもお食事を楽しみたいので同席させていただきますわ。暗い話は終わりにしましょう」


黄が帝国崩壊時に保護した後に妻として迎えた元王族の女性『麗姫』が静かな笑みを浮かべて部屋に入って来ると、彼は今までの会話が嘘かのように彼女に対して満面の笑みを浮かべて右手で幼い容姿に似合うダークピンク髪のお団子頭に触れる。

彼女もころころ笑いながら静かに頭を下げてからもう一つあった椅子に腰掛けるのであった。




ジンギスカン首長国連邦

ゴルタイ

天平会の拠点があるゴルタイは天平会の傘下にある企業がこの街の経済を独占している事に加えて連邦人民党というコミン主義政党の影響力もあることから住民達は触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに、政治にはノータッチで郷に入れば郷に従えという考えのもとで行動している。

連邦政府もこの状況を放置している訳でなくこの街の良心と言える憲兵や国家警察が市民を巻き込んだ破局的な大規模紛争を回避するために街の暗部で小規模抗争を行っていた。

そんな街に落ち込んだ薄暗い影を取り払うかのようにアルタムからやって来た日イ特別混成旅団が雑踏の間を縫うように天平会本部の目と鼻の先にある郊外の森まで潜り込んだ。


「ルッキーニ大尉、ゴルタイの様子としては拠点から離れた中心街に異変はありません。天平会側は董一派の失踪に警戒しているのか拠点周辺で武装を固めた集団が確認されており、向こうも派手な抗争になる事を避けたいのか郊外に軽装甲車輌が確認されています」


「カルロ曹長、偵察ありがとう。予定通り作戦は進みそうだけど相手は規律が取れた軍隊と違って兵器を持った犯罪者集団だから私達は正義の軍隊である事を自覚し盾にされた市民の皆様が安心して暮らせる日常を取り戻すために各員奮励努力せよ!」


「「了解!!」」


カルロ率いる分隊が夜中の間にドラゴンを使用した超低空飛行による偵察を行い、国光達の義誠連合会も陸路からの偵察で陸上に分散する戦力の把握や竜騎兵団を狙う対空陣地の位置などより緻密かつ正確な情報を得たうえで作戦が開始された。


『こちら無人機班。第一波攻撃隊及び国光会長達のヘリコプター大隊が間もなくゴルタイ南部上空に到達します。空対地攻撃開始と同時に援護をよろしくお願い致します』


「かしこまりました。竜騎五中隊は大隊の援護に当たります」


ルッキーニ大尉が後方で待機する野外通信部隊と無線でやり取りした直後、メインローターの羽音を響かせた二十四機の57式汎用ヘリコプターと共に上空から現れた三機の97式無人攻撃機から放たれたAGM-114ヘルファイアが本部の周りを囲むように構築されていた陣地を凄まじい爆発と黒煙が包み込む。

追撃としてやって来た武装ドローンも飛来し、対空機関砲などを操る敵の背後に回り込んで機銃掃射を加えている。


「なんだっ?!前が見えん!」


「くそっ!二ホン軍が何でこんなところに!あのしつこく飛び回るやつも撃ち落とせ!」


「総員攻撃開始!カルロ、あなたはクニミツ会長を援護しなさい。あの人はあなたを信頼しているみたいだから」


「分かりました!会長のヘリコプターと合流します」


ヘリコプターに乗る組員達は空からの奇襲や見たことが無い兵器に戸惑う天平会の構成員に向けて機関銃や小銃から連射して銃弾のシャワーを浴びせているほか、ガンシップ仕様のヘリも容赦なくロケット弾発射と機銃掃射を反撃しようとする敵に繰り返している。

攻撃開始と同時にルッキーニ達の中隊はカルロを国光の援護に送らせつつ超低空飛行を敢行して逃げ出そうとする軽装の敵を日本から支給された63式騎兵銃で銃撃し、振り向いて反撃に転じた敵に対しては搭乗する愛竜による体当たりで跳ね飛ばしていった。

連邦軍や警察対策に重武装を行っているにも関わらず天平会は外国の精鋭部隊が自分達を壊滅しにやって来ると思っていなかったため全く歯が立たないでいた。


「おう曹長よう来たな!ルッキーニさんに頼まれて来たんやろ?これから若い衆を連れて本部に乗り込もうとしてたから助かったわ」


「こちらこそ失礼します!テンペスタ、後方へお戻り」


国光と合流したカルロはテンペスタを後方に返すと63式騎兵銃の安全レバーを連射に回してから手渡された暗視ゴーグルとサプレッサーを装着し、彼とそれに付き従う組員達と共に薄暗い建物内へと入って行く。


「早く二ホン軍に反撃するぞ!」


「このままだと我々の計画が台無しになってしまう」


「暗いのに玉で掛かって来よった!撃て!」


『うぎゃあ!』


先程の無人機やヘリコプターによる爆撃で本部の主要電源を破壊したことで本部内を混乱させることに成功し、灯りを持たずにやって来た敵を待ち伏せてからヘッドショットで各個撃破しつつ建物の地下内を進んでいく。

最下層の地下三階には複数の部屋があり、その中では薄く灯った電球の下で合わせて百人近くの子供も含めた男女が押し込められていた。

彼ら彼女は虚無な表情を浮かべて言葉に出そうにも出せない顔を震わせながら助けを求めるかのように国光達を見つめる。


「かわいそうに……攫われてから洗脳教育を施されたんやな。お前らは上の若い衆とこの人達を救護所に連れて行くんや」


「分かりました。お前ら、西野のカシラの義竜会さんにも応援を頼め」


「なんて惨いことを……こんな事」


「曹長。ムカつく気持ちはまだ残ってる外道にぶつけたるで」


国光とカルロの中にある正義心の火が付いた。罪なき人々が感情や愛情、幸福を踏み躙られたことを想えば今すぐにでも元凶となった奴らを表に引き摺り出して断罪してやりたい。そんな思いを固めて奥にある最後の大広間の扉を蹴破る。


「黄総帥閣下万歳!!」


「会長危ない!!」


「うおっ?!曹長!!」


天平会総統のエンフバヤルは自身の身体に張り巡らせた爆弾の起爆スイッチを押すと同時にガス臭に覆われた部屋を爆破させる。

この爆破により地下が崩落する事は無かったものの、エンフバヤルが居た部屋だけが大きく燃え盛った。


「かい……長っ大丈夫ですか?」


「すまん!わしが油断したせいで曹長が……しっかりするんや!」


間一髪でカルロが全力で国光を押し飛ばしたことから二人とも生還したもののカルロは頭から血を流していた。


「良かった……今度は自分を盾に人を守ることが出来たんだ僕」


「これ以上喋ったらあかん!後はわしに任せとけ!」


彼は無傷の国光を見て安心したのか必死に語りかける国光の背中の中で安心しながら気を失うのであった。

今回も死者を出すことなく作戦が成功したもののカルロが重傷を負う結果で幕を閉じ、漢華人民共和国が関与していたであろう拉致事件が濃い匂いを残しながら証拠不十分でまた一から出直すこととなる。




一週間後

イタリ・ローマ王国

カルロの自宅

何の入れ違いか今度は看護して来た相馬がカルロの面倒を見る事となり朝から晩まで彼女が広いベッドに添い寝しながら彼の身の回りの世話をしていた。

天平会による拉致洗脳事件以降、カルロは人の幸福や愛情について深く考える事となり日本が元居た世界で愛情が引き起こした歴史的な出来事に関する書籍を読み漁っていた。


「カルロってよくこんな情報量の塊を読んで頭が痛くならないわね。ハイドリヒの最期なんて小中学校の道徳の時間で沢山勉強したわ」


「このラインハルト・ハイドリヒ……恐ろしい人物ですね。自身が死ぬ要因になったとはいえ理想と国家の為なら他民族に優しくした同胞の心や大切な物を平然と踏みつける。こんな男が三ヶ月だけでもドイツという国で総統になった事が恐ろしいです」


相馬と談笑するカルロはナチスドイツ三代目総統であるハイドリヒのように自分の理想のために他者の幸福を否定した者の末路と幸福や正義を踏みつけられ大切なものを奪われた者の行動に強く関心を抱いていた。

この世界のラインハルト・ハイドリヒは第二次世界大戦中頃の一九四六年に親衛隊全国指導者のハインリヒ・ヒムラーが連合軍により殺害されると、彼に代わって全国指導者となり元来あった辣腕を発揮してドイツの政治を掌握し他民族に対して道徳的なドイツ人に対して苛烈な取り締まり行っていた。

やがて第二次世界大戦がドイツの勝利に終わり初代総統のヒトラーと二代目総統のマルティン・ボルマンの信任を得て三代目総統に就任するも全国指導者時代に彼の無慈悲な作戦の一環で殺害された娘の父親である元ドイツ国防軍大佐によって爆殺された。


「本当にそうよ。人は大切な誰かを亡くした時が一番怖いの。それに人の幸福を踏みつければまた自分が思う幸福も崩れるものなの」


「僕は自分の理想の為に人の幸福を素直に願えない人がいる限りこの負の連鎖は無くならないと思います。そうすればあんな戦争も起きないのに」


「でも私達がそれにピリオドを打つのも良いと思うの。銃を持つとはいえその一発で全てを守れるなら私はそれで良いわ。もう寝ましょ」


「幸福の守り方って改めて難しくも尊ぶべきものですね。シオリさんお休みなさい」


話の途中で眠たくなった二人は自分達に出来る事や想いを語りながら軽く身体を抱きしめ深い眠りに就くののであった。

ご覧いただきありがとうございました!次回は第三十一話を投稿する予定です!

自分の理想の為に人の幸福を踏みつける役としてIFハイドリヒの事例が出ましたが、これからも戦勝日本が歩んだ歴史を紹介出来たらと思います

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― 新着の感想 ―
[一言] 結構日本のいたドイツの話とか気になりますね、今後連載されたりとかありますかね。どれくらい続いたのだろうか。 カルロくんまた死にかけ、まあ運は良さそうなので生き残りそうですね。 漢化人民共…
[一言] どうもお久しぶりです。楽しみにしていました。 詳しい感想はまた送ります、中々一筋縄ではいかない人民共和国ですね。外交力もありそう、それに結構拗らせている、まるでポルポト政権のカンボジアのよ…
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