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第十話 日イ極秘首脳会談

ご覧いただきありがとうございます。

引き続きお楽しみください!

黒田大尉が所属する国防陸軍第一機甲師団がゲリラ化した町に進駐も兼ねて住人の保護を開始したほぼ同時刻。

東京の首相官邸の地下会議室ではオンライン対面式の会談が行われようとしていた。当初、日本とイタリ・ローマ王国はこの戦争が無ければ直接対面での会談となるはずだった。

ちょうど今この時に任期満了間近で日本皇国の内閣総理大臣である西條知之が一国の総理大臣として民自党(民政自由党)の総裁として十五年間の任期で最後の大仕事を全うするために訪問し、両国間の親睦を深めながら日本が転移した世界でどのように渡り歩くべきかという糧を王国から得ようとしたのだが、最悪なことに今は王国と隣接する侵略国家と戦争中のため、呑気に訪問と行くわけにいかない。


「西條総理、そろそろイタリ・ローマ王国のイザルベライト国王陛下と繋がりますので同席させていただきます」


「分かりました。中渕さん。何か提案があれば遠慮せず私もしくは国王陛下に仰ってください。穏やかな会談が予想されるとはいえ。我が国と王国の両国の発展のためには官房長官であるあなたにアドバイスをいただかないと」


西條は自身の隣の椅子に座った西條内閣官房長官の『中渕恵二(なかぶちけいじ)』と会談開始直前の打ち合わせを行う。両国が接触を開始して三ヶ月という短い時間であったものの既に親密な関係にある。

とはいえ、一国のトップが腹を割って話し合う機会だ。特に首相の座にある西條は日本皇国において千年以上”有らせられる一族の御方”の顔に泥を塗ってはいけないという信念がこの国で一番強いといっても過言ではない男だ。

さて、そんな彼らの前にある大画面に齢十五の可憐な女王と在外国防陸軍の総司令官である今村陸軍大将やムッソーリニ侯爵やそれぞれのボディーガードであるカルロ・バローネ曹長と相馬志桜里中尉の姿が映り込む。


「イザルベライト二世国王陛下。直接では無いのですがお目にかかることが出来て光栄であります。日本皇国首相の西條と申します。本日はご多忙の中、会談に出席していただき感謝御礼申し上げます。両国の発展のためなら我が国は粉骨砕身努力いたします所存でございます」


「私は内閣官房長官の中渕恵二と申します。本日はよろしくお願い致します」


『ありがとうございます。サイジョウ首相、ナカブチ様。始めまして。私はイタリ・ローマ王国国王のイザルベライト二世と申します。早速ですがお言葉に甘える形で申し上げますと、私の方から貴国にご相談したい緊急の議題があります。こちらに控えておられます貴国のイマムラ大将や私の隣にいるムッソーリニ侯爵と話し合ったのですが……今は防衛に徹している我が国と貴国ですが、これからは本格的な攻勢に切り替えたいと思っています』


「なるほど。戦争の早期終結ですか……私も賛成です。我が国の世論も早期終結に賛成であります。しかし、また新たな情勢の変化があったのでしょうか。出来る限りの善処はする所存であります」


『ありがとうございますサイジョウ首相。それでは、我が国いえ、我々の世界には人間族……ヒト種の他に非ヒト種と呼ばれる他の生物の特徴を取り入れた人型種族が存在しています。我が国と貴国二ホンの生き別れの兄弟ともいえる大敷洲帝国ではヒト種と非ヒト種は融和しきっていますが、他の諸外国ではそれが進展最中または全く進展しきっていない状況です。

特にボリシェ・コミン主義連合共和国は表向きには、労働者と性別を越えた団結という体裁のもと国体を維持していますが。

性差別が我が国や諸外国同様ほぼない反面、ヒト種至上主義故か非ヒト種族をランク付けと同じ感覚で給料に見合わない労働をさせる。

また、通常のヒト種より寿命が長いからという理由で社会保障の待遇に差をつけることに加え、戦場でもその酷使は異常です。

さらに歩兵の盾代わりに占領地で捕まえた非ヒト種の女性や子供をその前に立たせて小国を併合するといった恐喝同然の行為まで行っています。

にもかかわらず他の大国はそれに見向きすらせず、見て見ぬふりという情勢です。

前置きが長くなりましたが、今回の攻勢開始に際して敵副国家総帥のメレンチー・ヤーベリという人物の捕縛作戦も兼ねて徴用非ヒト種族収容所の解放作戦を行いたいと思っています。これによって非ヒト種族も同じ人型族であり同じ世界で生きる人種の一つという認識をこの世界に持ってもらいたいのです』


西條は感心した。モニター越しとはいえ、幼き女王の真摯かつ現実的で博愛的な情熱がひしひしと伝わって来ている。

それと同時にほぼ人間と言っても過言ではない非ヒト種族に対してそこまでやるかという共感を持ち、何よりも立場が弱い者達を戦場のアトラクションかのように扱うことに対して自身も一国の首相としてもし、これが自国民に行われていたらという立場を置き換えての考察を行った。

そこで彼はこの世界の一国のトップともいえる彼女の意見を尊重する形を取ることにした。


「なるほど。是非、我が国としましても議会などで論議した後に意見がまとまり次第、解放作戦に尽力したいと考えています。今村大将、このことは市ヶ谷(防衛総省)には報告していますか?」


『ええ。実は総理ならそう仰ると思い。仮装作戦の計画を……噂をすれば何とやらです」


「会談中失礼します。西條総理」


「谷岡防衛大臣……まさか」


「そのまさかです。大まかな説明ですが、転移後初めてのS(特殊作戦群)とレンジャーの投入になります。詳細はこの後に」


「谷岡大臣ありがとうございます……そして、今村大将。後はよろしくお願い致しますっ!!」


『総理、是非お任せくださいっ!!』


「それでは、こちらも段取りの方を進めていきたいと思います」


用意周到と言うべきだろうか。既に徴用とは名ばかりの非ヒト種奴隷化収容所の解放も兼ねてヤーベリの捕縛作戦まで仮想計画が本格的にスタートしていたのだった。

西條は二人の同胞が先人が本心からの解放を望んで第二次世界大戦(この世界線では一九五〇年に終結)に参戦し勝利した歴史を良い意味で繰り返す一員になってくれるということに感激する。

今村と同時に谷岡は戦争終結の第一歩を踏み出すべくそれぞれの持ち場へと戻っていく。


「感謝御礼申し上げますサイジョウ首相。続きましてこちらからもさらに三つ感謝したいことがあります。先ずは、我が王国海軍に譲渡してくれた戦艦ヤマト改め戦艦グランデ・ロマーナはラコ半島強襲上陸作戦で大いなる活躍を致しました。素晴らしい艦をお譲りいただき改めて感謝いたします。次に我が国内の鉄道路線における鉄道列車の提供や過疎化懸念地域のインフラ整備支援や人口呼び戻し政策の顧問派遣に感謝いたします。最後にこちらも軍の装備のお話になりますが。世代遅れしそうになっていた装備の発展型の製作及び技術支援をしていただき。我が国はどのように恩を返せばいいのか分からないくらい感謝することばかりです」


「いえいえ。我が国は貴国というこの世界で初めて出来た盟友に対する恩返しをこれからもさせていただきたいと思っています」


こうして更に両国の絆は深まる。イザルベライト二世が述べたように日本皇国はこれまでの歴史の歩みで乗り越えて来た社会問題を教訓にイタリ・ローマ王国でもかつて自国で起きた問題が起きそうな兆候があれば迅速に対処して問題を解決した。

あるいは困っている友に対して気軽に相談に乗るように兵器やインフラに関する技術提供を行っている。それに加えてイタリ・ローマ王国は快くこの世界の情報を詳しく日本に提供し続けるのであった。


「最後にイザルベライト二世国王陛下にお伝えしたいことがございます。私はこの世界に来る前を含めると十五年間首相の座に居ました。そろそろ任期というものが近づいており、後継者たる次期首相を選ばなければなりません。そこで私は……隣の中渕恵二官房長官を次期首相に任命することに致しました。なので陛下、この中渕恵二さんを是非歓迎していただきたく存じます。謙虚な姿勢ではもったいないくらい器量は大きい。損得勘定なしに問題に立ち向かおうとする素晴らしい人物です。そんな彼をおいて他に居ません」


「そ、総理っ?!私が次期首相とは一体……」


「畏まりましたサイジョウ首相。ナカブチ様……いえ、ナカブチ次期首相。私からもよろしくお願い申し上げます」


史実において池田勇人氏が後継者に佐藤栄作氏を指名したように、第九十九代内閣総理大臣・西條知之は今敢えてここで自身の後継者として官房長官である中渕恵二を記念すべき第百代内閣総理大臣に指名しする。

続けて彼女に対して彼の魅力を伝えると。彼女はそれを快諾し、中渕に対して期待と歓迎する姿勢を見せる。


「不束者ではありますが。後継者指名をいただいた以上、両国のために粉骨砕身努力する所存であります」


中渕の覚悟を決めたこの言葉を最後に極秘会談は終了した。会談終了後、早速西條は中渕に対して語りかけた。


「中渕さん。先程は驚かせてすみません。今の日本の政治には少しでも若返りが必要なのです。あなたは私よりも十五歳離れているし、さっきも言ったように器量もある。勿論、あなた一人にやれという訳ではありません。西條内閣の地盤を引き継いででもいいじゃないですか。谷岡さんのように頼もしい閣僚と手を取りあって愛するこの日本をこの異世界でも恥じない立派な国にしてくださいっ!!」


「西條さん……あなたがそこまで仰ったなら喜んで引き受けます。温故知新のもと先人の意志を汚すことなく。この日本皇国をより良い方向に導きたいと思います。しかし、与党の皆さんや野党の皆さんは賛成してくれるのでしょうか?」


「それなら。皆、中渕さん一択で固まっています。あなたに異議を唱える者は今は居ない。だが、様々な意見のすれ違いは避けられないでしょう。しかし、あなたなら必ずすれ違いという嵐に耐えることが出来る」


「………西條さん。お任せくださいっ!!」


二人の政治家は親友としての関係で語り合う。西條の情での根回しが上手くいったのか。与野党のご意見番たちの署名が書かれた紙を見せられ、中渕は覚悟を決めたのか。親友との別れやそれに対する感謝、自分の成長に思わず涙を流すのだった。


ありがとうございました。次回は第十一話を投稿する予定です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 首脳会談が女王と首相と言うのはやはりローマ王国は女王が直接政治に関わっているからなのでしょうかね?格やらは本来なら天皇陛下でしょうけど。 首相職と対等ならイタリ側はムッソリーニ侯爵ぽい…
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