目覚めねぇかな奇跡とか
「鬱陶しいことこのうえないな」
「いやぁ、もう狂気しかないよ」
「なんとか出来ないのか」
「無茶言わないでよ、カボチャがお腹にクリーンヒットして悶絶するって言う、衝撃的現実に軽口叩けるのが、関の山だよ、むしろ叩けることに賞賛の声が欲しいよ」
「あぁすげー、すげー」
「君こそ、魔法少女を名乗るなら、魔法でどうにか出来ないの」
「どうにか出来ねぇから、相棒の藁に頼っているんだろう」
「藁に頼って良いことないよ」
「軽口叩ける余裕はあるんだよ」
「それは、すげーですね」
「実際、手が届く範囲ならばどうにか出来るんだけどな」
「階段を駆け上がっても、駆け上がっても階段が伸びて届かないしね、もう上を見上げるのが嫌になるよ」
「空を飛べないのか」
「鳥人間じゃあるまいし無理、そっちは飛べないの」
「私は由緒正しい魔法少女キュアトロールだから、暴れる、殴る蹴る、叩き潰す、引きずり落とす、飛び跳ねることは、得意なんだけど」
「何処らへんが魔法少女と言う疑問は湧くけれど、つまりは無理と言う事」
「申し訳ないにゃー」
「軽口叩ける余裕があるのはすげーですね」
「まぁ、カボチャが勢いづこうと今の所問題はなく、叩き潰せているからな」
「そう、そろそろ僕には殺人兵器じみているんだけど」
「つまりは現状をどうにかしないと、井上は死ぬのか」
「現状をどうにか出来ないなら、ギブアップするしかないでしょう」
「井上、魔法少女は諦めが悪いんだよ」
「それはすげーですね」
「軽口でもなんでもねぇよ」
「それは失礼、諦めが悪いなら何か作戦でもあるんですか」
「井上、お前は変身を残してたりはしないか」
「もとより変身出来ないよ」
「そうか、一番楽な解決策だったんだけどな」
「確かに一番楽な方法ではあるけどね」
「一番骨が折れる方法としては、階段を一歩ずつ進んでみるか、カボチャをくぐり抜けて」
「そいつは、すげーですね、そうなるぐらいなら目覚めねぇかな僕の秘めたる力」
「死にかけると、秘めたる力は目覚める事があるみたいだけど、そうかそのためにカボチャが勢いよく転がる階段を、駆け上がろうという案を採用するのか」
「採用する訳ないでしょうよ、駆け上がっても、見上げるのが疲れるぐらい階段の段数は増えるばかりなんですから、奇跡でも偶然でもおきないかぎりは、こちらの打つ手なんか届きはしないですよ」
「奇跡か、そういやフェイバリットシステムって奴でおきないのか」
「なるほど、なんかそんなシステムがありましたね、カボチャの衝撃が強すぎて、忘れていましたよ」
「よし、奇跡をおこせ魔法少女キュアトロールとの絆で」
「それだと、おきる気がしないんですけど」