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口が裂けても

 


 言葉は重いものである。

 政治家の言葉には責任がある。

 男に二言はない。


 言葉というものは、中々どうして信用や責任と言うものに結ばれる事が多い。


 まぁ大抵の場合、言葉の責任を問う時は、お前が言ったんだからお前がどうにかしろよ。

 言い出しっぺが悪いみたいなノリであろう。


 大体大人は、言葉一つで揚げ足取りとかして人を貶めて、恥ずかしくないのとも思うこともあるが、子供だって誰かを直球な言葉で、人の心を叩く事があるのだから、お互いさまだと思えばいい。


 今日言った事が、明日もそうだとは限らない。


 二日酔いの時の禁酒を誓う朝の様に。


 永遠の愛を誓おうが、離婚することはあるように。


 ノリで大きな事を言う事だってあるのだ。


 平和を歌った歌手が、暴力的なデスメタルを叫ぶこともあるだろう。


 ダイエットは明日から。


 その例をあげれば天井しらずの様に、現実とはそうなる事がある。


 言った言葉なんて忘れる事は数え切れぬほどある。


 一々言葉の責任をとってなどいたら、世界から言葉を失う事になるだろう。


 そうなれば、肉体言語こそが上位的な言語となるのと同列ではないだろうか。


 言葉が不要、故に拳で語ることこそが、嘘偽りなく至高であると、キュアトロールの様な輩があらわれたっておかしくなく、そしてそれは、善良な弱者が今以上に弱者になるだろう。


 だから言葉とは………




「綺麗と言えば、向こうから飛び込んでくるだけだから楽勝ですわーって言っていたよな井上」

「言ったなぁ」

「それでなんで私達は、口裂け女を走って追いかけてんだよ、逆だろ普通」

「そりゃあ仕事だからとしか言えない」


 ミステリアスな美人をスカウトしてきて下さいと南社長に指示された。


「それで井上がミステリアスとは神秘、神秘とは秘匿にあり、つまり隠れたり隠したりするのがベスト、ベールで顔をかくしてあればなおグッドとか訳のわからん持論を展開したんだよな」

「だってそうだもの」

「アマテラス提案したよな私、なんで口裂け女を追いかけているんだよ」

「隠れた所捕まえる方法が、僕の裸踊りとか誰がするものか提案段階で却下するだろ」


 それならミイラでいいだろって言ったよな包帯でほら隠しているしとか、アホな事を言い出しそうなキュアトロール。


 干からびたアイドルとか斬新すぎて、南社長がきっと怒るだろう。


「美人で隠している、そうだ口裂け女だって思い立ったんだよな、井上が」

「マスクして顔隠しているし、自分で私美人? って聞くぐらいだから多少の自己顕示欲と美人性は確実だろうが」


 何も問題は無かったはずなんだけどな。


 遭遇した時もきちんと綺麗だと伝えたはずなのに。


「それで口裂け女がマスク取ろうとした時ミステリアス度が下がるので、そのままお願いしますとか、言いやがって、ヒーローの変身中に攻撃する悪魔か井上」

「いや、もしかしたらお前が怖かっただけかもしれないだろうが、ほう口裂け女か私の拳で口を裂いてやろうみたいな目をしていたとか」

「していない、ぶん殴るぞなあ井上、もう口裂け女よりミイラでよくないか」

「良いわけあるか!」


 結局のところ言葉とは………


「口裂け女さん、綺麗だからミステリアスアイドルとしてデビューしませんか」

「マスク着用厳守だけどな」


 上辺だけのようであり、切実なようであり、誠実のようであり。


「ほら、今なら多くの人に私綺麗って言えますから」


 ふいに自分の首をしめる縄のようであり、他人を傷つけることもある。


 口は災いのもと、沈黙は金であろうと責任とか求められても、それでも考えず、その場を乗り越えたり、進んだり、藻掻いたりするために発するのだろう。


 あぁでもこんな言葉も明日には、思いは変わっているかもしれない。

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