ストレスを貯める
ストレスと言うのは間違って広まっていると言う。
伝聞かつ興味も無かったので、答え合わせなどはしていないし、何をどう間違えたかまでは覚えていない。
ただ、やけに残っているのは本来は抵抗だとか反応を示す言葉であったと言うことだ。
反応とか抵抗だのと並べられると、中々ケミカルチックな話だと思うが、それがなんだって元の意味から大分誤った意味になったのだろうか。
しかも、よりにもよって、悪玉菌とか鬱憤とかの、モヤっとした何かが、体内に悪影響を及ぼしている。
現代社会の悪しきものの代表格みたいにいわれなき非難を浴びねばならないのだろうか?
本当に理解不能である、誤訳を広めたやつは相当に維持が悪く、そして広まったのは、多分だけれど分かりやすかったのだろう。
難しい理論よりも、簡単なそれらしいほうが、浸透しやすく、そしてそれは正義にだってなると言うことだ。
そして残念ながら正しさは伝わらないとも言えるだろう。
分かりやすさ、キャッチーな方が正しさなど軽々と超越していく。
4番バッターだからホームランを打てて当たり前。
エースだから打たれない。
将棋のタイトルホルダーが若手に負ければすぐに衰えた。
有望な若手はすぐにタイトルをとる。
人気漫画だから実写ドラマにしても面白いしヒットする。
このサプリメントを飲んでいるから健康です。
そんなわけが無いのだ。
そんな当たり前などあってたまるか。
ホームラン打てない時もあるし、エースだって打たれる。
タイトルホルダーだって負けたり勝ったり繰り返して、若手が期待どおりポンポンと取れる世界であってたまるか。
だけど、現実的に、世間はそうらしい。
正しさなんて本当は誰も求めてなどいない。
分かりやすさを求めているのだ。
分かりやすければ、多少の歪さなど関係ないのだ。
僕の身近で、例をあげるとするならば、キュアトロールが魔法少女を名乗るには、分かりやすさが足りない。
キュートとかプリティとかそういったものに欠けている。
効果音だってキラキラとか、シャランランとか、ピカピカと言うよりは、ドカドカとかバキバキだと言えよう。
もちろん彼女が何から何まで悪いわけではない。
多分七か六いや八ぐらいの割合で彼女が悪い。
いかに善良な僕でも、分かりやすさと現実がこうも隔離していると抵抗感、違和感が積み重なる。
そして実質的な心労や徒労も重なってストレスを抱えてしまうと言う事だ。
「井上君、ストレスをぶつけるバイトをしない?」
だから、結城先生の申し出はとてもありがたいと同時にストレスをぶつける仕事って意味分かんないと思ったが、ありがたくその仕事をノリでうけてしまった。