帰ろうぜ
「あぁそうだ井上、その枕お前のだから持って帰れよ」
「これ備品だろう医務室の」
「お前のだよ井上、一応その枕な、コインを胸にしまったから助かった的なヤツだから」
「マジで」
「あぁお前の加齢臭が染み付いたお前の枕だ」
「キュアトロール、僕はそんな年齢ではない」
「なんか小汚い感じがしたから」
「おい、僕の命を守ってくれた枕に対して失礼だな」
「勘違いするなよ井上、小汚い感じはお前からしている」
「お前さっき鬼とか言ったの怒っているの?」
「後で一発から七発ぐらい殴りたいとは思っている」
「なんでそんな中途半端な数なんだ」
「そういう気分だからな」
「あぁそうかい、ところでさキュアトロールこの枕で何で命の危機を切り抜けられたんだ?」
「小豆の枕は枕返しの災いから身を守る、何処ぞの昔の田舎の風習らしい」
「はー知らなかったわ」
「井上は知らない事だらけだろ」
「まぁそうだけど、お前もだろうが!」
「いや枕返しも知らなかったらしくて、随分とビックリしてたな」
「そっちも知らんかったか!」
「あぁ、お互いに驚愕したさ、そんな状況でのうのうとよく眠れたな井上」
「そこはしょうがないだろ!」
「あと、ゆるキャラの小豆洗いのドヤ顔がムカついた」
「勢いに任せてお前が殴ってないと信じたい」
「まぁ、手頃なヤツを殴っておいた」
「僕じゃん」
「まぁ役得ってヤツだ」
「何一つ得をしていない」
「知らぬが仏ってやつか」
「今知ったから、なんか損している気がする」
「世界を救ったようなものだから、とりあえず良しとしろよ」
「実感ないな」
「そりゃあ井上は基本的に盾になったり、寝ているだけだからな」
「それを言うならお前は暴力ふるっていただけだろ」
「あーハイハイそうですねー、結局のところあいつら勝手に喧嘩して仲直りしただけで、井上は死にかけただけとも言えなくもないですねー」
「イラつくわー」
「まぁでも実際お前が小豆洗いを召喚してなかったら、互いにすれ違ったままだったかも知れないし、相互的な理解を仲裁して世界を救ったとも言えなくもないし、よくやったよ井上」
「気持ち悪いな」
「だから、お前はお前のの命を救った枕を抱えて家に帰ろうぜ」
「………それ只の羞恥プレイじゃん」
「オイオイ、命を救った枕なんだから大切に扱えよ、まさに足を向けて眠れないんだから」
「枕だからな!足向けて寝ないわ!」