表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/73

悪夢よりは…マシかな?

 あぁこれは夢だなって思う。


 何時も歩いているような道を歩いているはずなのに、違和感がある。


 何処にむかって歩いているのかわからないくせに、歩き続けているせいだろうかとも思った。


 交差点の横断歩道で、歩行者専用の信号機が赤になったことで立ち止まると違和感の正体が分かったのだ。


 横断歩道や歩行者専用の信号機はあるくせに、車が走っていない。


 車が通らないほどに、深夜でなく逆に真昼であるのに関わらず、ましてやど田舎じゃあるまいし、そこそこ発展している町で、車が走っていないというのは、おかしいだろう。


 違和感に気づけて良かった。



 …………



 いや、気づけたからと言って、だからどうしたというものではあるんだが。


 夢から覚めるとか思っていたが、風景はさして変わることもなく、赤かは青に変わっただけだ。


 足が自然と横断歩道の白と黒を交互に踏んでは進んでいく。


 渡りきる頃には、歩行者専用の信号機は赤へと変わっていく。


 そして、足が赴くままに歩き続ける。


 なんの感動もない風景をただただ歩き続けるというものは、やはり飽きてしまうが、それでも夢は覚めない。


 これは悪夢とかそういう類のものであるんだろう。


 そう思っていると、また横断歩道に差し掛かり赤信号で止まり、青信号で足は僕の意志を持たず進んでいる。


 白、黒、白、黒、白、黒、白、黒と踏みながら進んでいる。


 だか先程とは違うのは足が妙に重いし渡る距離が長くなっている。


 次第に青信号が点滅していくのにも焦りを覚え足に感じる重さが、誰かに引っ張られていると思える。


 何とか進んでいたはずなのに、次第に引っ張る何処か地面に引き込まれる行為へと変っている。


 沈む身体が横断歩道の先を見るとキラキラと光だしている。

 それどころか、かぐや姫が現れてにこやかに膝枕しましょうかなんていうジェスチャーをしてくれている。


 対して沈む身体を見ると見しった顔が悪い顔をしている。

 引きずり込もうという悪い顔だ。


 当然ながら這い上がろうと、あの天国へと行こうと藻掻いたのに、その努力を無駄にするように、身体は沈みきる。


 そしてニタニタとした顔でキュアトロールは僕を嘲笑う。


「鬼か!」

「人の顔見るなり失礼だな井上」


 起き上がると先程までのあくどい顔とさして変わらない顔があった。


 何処かの医務室のベッドのようだが、何でここにいるのかサッパリわからない。


 頭の枕の感触は気持ちいいが、医務室にしては中々いいものだなぁどうでもいいことには頭が回るのだけど。


「枕返しに枕を返されたんだよ、お前の最後の賭けで小豆洗いが召喚されそれで助かったから、起きたならとりあえず医務室から出るぞ、担当からの話では殴れた外傷やその影響のほうが心配だとか訳がわからない事言っていたな」


 いや、起き抜けのぼーっとしている頭でも分かる。


「それキュアトロールのせいだろう」

「五月蝿いな」

「いやいや、五月蝿いってなんだよ」

「よし、元気だな、生と死を彷徨ったばかりとは思えんな」

「生と死ってかなりヤバかったんじゃない?」


 もしかして、夢みていたんじゃなくて三途の川ってヤツだったのか。

 随分と現代的だったけど。


 そうなると、助かったのはコイツのおかげでもあるのか?

 釈然としないけど。


「どうした?」

「いや、どうせならかぐや姫の膝枕が唯一残念だったかな」

「馬鹿言ってないで、とっとと起きろよ」


 まぁ延々と歩き続けるより、賑やかに歩いたほうが、悪夢よりもマシなのかな。


 ベッドから起き上がり、キュアトロールとともに医務室からでた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ