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願わくば眠気覚ましの一撃を

 誰が言ったかは知らないが、人の身体は案外中々頑丈に出来ているとの趣旨の言葉がある。


 その言葉は真実であっても、その言葉を頼りに無茶をしていいとは言っていないだろう。


 案外中々に頑強に出来ているとしても、壊れる時は壊れるんだから無茶をするなとか付け加えることを推奨すべきであり、良い子ならずとも悪い子であったとしても守るべき基準であるべきだろう。


 これからは、少なからずそういう世がくるように、心優しき修道者のような気持ちで祈る事としよう。


 まぁ僕のような優しい気持ちで祈ったとしても、その優しさを軽々とぶち壊して無茶をする、子供のようなというか考える事を大部分拒否をしている、暴力的な存在キュアトロールがいるので、あまり意味などなさないようだ。


 今もまた、僕を頬を引っ張叩くどころか腹まで殴りつけて起こしてくる。


「寝たら死ぬぞ井上!」

「あのさ、キュアトロール、マッチポンプって知っている?」

「永久機関みたいなものだろう」


 確かに延々と続きそうだ。

 その前に僕の身体が壊れなければの話である。


「中々粘りやがるが、井上が根性見せれば、勝てると確信した」

「体育会系根性論とか嫌いなんだけど」

「とりあえず根性みせろ」

「見せているんだけれど」

「いやだんだん起こすのが面倒になってきた」


 面倒ってお前どういう意味ですかと呆れたい気分で胸がいっぱいで小言の一つや二つ言いたくなる。


 非難がましく口を開こうとするより、先にキュアトロールがしょうがないだろうとばかりについた逆に溜息に制される。


「最初に起こす時は、軽く頬を叩くぐらいで良かったんだがな、今じゃ枕返し殴るより、お前殴る回数が多いぐらいだ」

「は?」 

「井上もしかしたら、これはあれだな」


 キュアトロールが言わんとしている事がなんとなく、八割ぐらい分かった。


 分かった上で聞きたくない。


 聞きたくないのだが、キュアトロールは悪びれる事もなく口にした。


「このままだと井上の自己犠牲の作戦は使えないかもしれないな」

「いや、明らかに失敗だろう」

「寝たら死ぬぞ井上」

「分かっているし分かった、キュアトロールお前馬鹿だろ!」

「眠気のせいだな、私もお前起こす時に刺されたから眠いのを我慢して殴っている」

「寝ろよ!いや寝るな!」


 サラッと状況が僕の思ってた以上に悪い事に進んでいる。


「最悪じゃねぇか!」

「分は悪いが、後数発殴るまで井上が起きていられれば、こっちが勝つんだから大丈夫、希望を持てよひっくり返すのは何もあいつだけの専売特許じゃないはずだぜ井上」

「ごめん、前半しか聞こえなかった、ほら眠いから」


 八つ当たり気味のキュアトロールの頭突きは幾分痛かった。


 そのおかげで思いだす。


 白い僅かな光がみえた。


 頭に衝撃が走ったおかげかもしれない。


「フェイバリットシステム発動」


 一か八か、分の悪さにかけるなら出せるものは出しておいたほうが、いい気がした。


 そして、なんか意識が遠くなった。


 眠いのか。


 いや  多分キュアトロールの頭突きのせいだろう。

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