変態の証明
屋敷をウロウロしてることが何かの役にたつのかと問われたら、それは手詰まり感が気分転換程度のもので、かっこ良く言うならばヒラメキが降りてくることを待つ為に必要なことだと答えよう。
身も蓋もない事をいうのであれば、役立つことが他にあるならばそれを優先させているはずだから、何も出来ちゃいないとわかっている。
かぐや姫の美しい姿で妄想していたほうが、楽しく無駄な時間が過ごせる事ができるであろう。
悩んで考えて屋敷をウロウロすると何かできることを考えてみても何も思いつかないのは、わかっているのにそれでも考えないといけないのはある種の苦痛だと思う。
解けそうで解けないテストで出くわしたら、時間ばかりとられるアレな感じだ。
「井上流石にこのままウロウロしても、かぐや姫の寝室に突入なんて出来やしないと思うぞ」
「それは考えたことない」
「いや、なんの進展もないからてっきりな」
「ウロウロするのに飽きたならそう言ってくれない?なんの証拠もないのに変態みたいに」
「いや理由はなくはないだろいいか、今日出会ったばかりの怪しい他人が屋敷をキョロキョロしながらブツブツ言いながらウロウロしている井上お前ならどう思う?」
どう思うも何も、アウトだよ。
いや審判によってはセーフとミスジャッジしてくれるよう願える点も無いとは言えないけれど、それにしたってアウトだ。
「ギリセーフかな?」
「コッチみてから言えよ」
「いや、そんな事言ったらキュアトロールも不審者だから」
「は?」
「ウロウロしている点では一緒だし、何より怪しさの点では僕より上だろう」
「悪魔みたいだな、人を変態みたいに扱うなんて」
「いや、最初に扱いだしたのそっちだから」
あやうく変態じゃないのに、変態みたいに扱われるところだった。
ないものなのにあるみたいに。
ん?
なんかヒラメキが降りてきそう。
「じゃあ井上、屋敷をウロウロしているだけの他人をさっきからコッソリつけてくる猫なのにネズミみたいなやつは変態か?変態でいいよな」
急に立ち止まるのはいいけど、こっちを無理やり引き止める為に、服をつかむから首が、ガクってなった。
そして、ヒラメキが飛んでった。
「変態だと思うけどね、何話しかけてきたんだよ、せっかく今ヒラメキかけたのに!」
「じゃあそのアイディアを言ってみろよ、無いのにあるとか言ってるんじゃないのか?」
「ヒラメキかけたのは本当だよ!」
ただ、思い出せないだけだ。
パチパチと大袈裟な拍手が聞こえる。
そこにはキュアトロール曰く長靴履いている猫のような変態が立っていた。
「変態とは心外ですが、余計な心配毎は潰したいのとウロウロされると手を出したいのは猫の性のようなものですから」