女王確定
美人に絶対に出会うことができるという触れ込みがあれば、疑うことがほとんどであろう。
美人と言うのは、それ程までに周りにいるものではなく、ありふれていないというのが、悲しい現実である。
しかし、悲しい現実から離れてしまえば驚くほどに美人が溢れているのが非現実と言うものの美点である。
その美点が生かされると思っていいのだろう。
スフィンクスが言う事を信じるのであれば、絶対に美人であるというのが確定していることになる。
言うならば確定ガチャである。
思えばだだ広い砂の上を歩き、スフィンクスのつばや涎まみれになり、ありもしない性癖のレッテルを貼られ、魔法少女キュアトロールの罵倒に耐えたからこそのご褒美であるのだ。
過程がご褒美ではなく、結果がご褒美なのだ。
「とっとと開けろよ」
「心の準備が出来るまで待って」
「10分は待っているんだよ」
そんなこんなで10分もたっていたのか、苦痛な時間は10分でも長いというのに、まだ10分で心の準備が全然出来ていない。
「10分も待ってやったんだもういいだろう」
「いや待って、女王様の準備がととのっていないかもしれないし」
「なんでコッチが向こうの準備を待たないといけないんだよ」
くっ確かに。
他の言い訳を考えるよりもキュアトロールは早くドアを乱暴に開けた。
部屋に入ると、通常の部屋の中と思えないほどに見慣れない白い花ビラが部屋に敷き詰められ、あるいは咲いていた。
「悪趣味とでもいえばいいのか」
呆れ気味の魔法少女キュアトロールの言葉に反応したわけでもないだろうが、部屋の奥から声が聞こえてきた。
「世界で一番美しいのは誰」
「知るか!」
合言葉としてもつくらないだろう、これまでの空気もよまずに反射的に魔法少女キュアトロールが合いの手の様に答えていた。
「その通り、名前も出ぬ程にただ美しいと言うだけで私は美しい」
噛み合っていない会話を無視するようになのか、それとも彼女の美しさがそうさせているのか歩くだけで白い花が舞い散る。
その光景に思わず両膝つき、両手を地面について頭を垂れてしまった。
「おい、お前の待ち望んだ女王様だぞ」
「ロリじゃねぇか!」
美しいと思える程の細く折れそうな腕や足。
肌色は浅黒くだけど部屋の中の白い花と異常なほどにあっていた。
少女故に儚そうなくせに何処かしっかりとしている雰囲気なところも美しくポイントが高いのかもしれないし、美しいいと褒めれるところを探せば、苦もなくも探せるだろう。
だけどロリである。
「なんでだよ」
「知るか!むしろなんで泣くんだよ」
泣きたいものは泣きたい。
目の横から流れるものが美しい部屋にポツリポツリと落ちていく。