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肝試し ⑮

 翌朝、学校に到着した治子に戦慄が走った。


 観音様のところにいたお爺さんの幽霊が修の背後にピッタリとくっついていたのだ。


 朝の会から1時間目が終わるまでの間、彼女は修を観察して、彼に幽霊が憑いているのだと確信を得ると、2時間目までの休憩時間に彼女は彼を連れ立って校庭の端に移動した。


 生徒の遊び場としては人気が低い鉄棒の脇。

 辺りには誰もいない。


 幽霊が修に憑いている理由として考えられる2つの可能性。


 1つは幽霊が落書きの件をまだ許していないのか、もしくは、2人があれからまた新たに悪戯したのか。彼女はその答えを得ようと思い、彼と2人きりになったのだ。


「なんで呼ばれたか、分かるよね?」


 ふだんから真面目で素直な性格の彼なら、これで白状すると思った。だが、なかなか白状するに至らなかったので、さらに問い詰めた結果、昨日、治子と別れてから2人はもう一度観音様のところへ戻り、改めて悪戯をしてきたのだということが分かった。


「肝試しは昨日、たくやんが目に落書きされた時点で終わったのだと思ったけど、違うの?」


 治子には観音様への悪戯を繰り返す意味が分からなかった。


「知らないよ。そんなの、たくやんに聞けばいいじゃん。」


 あっちゃんと話してても埒が明かない、と彼女は思った。


 だからその次の休憩時間に琢磨を問い質した。


「オレは昨日は悪戯なんてしてないぜ?」


 と彼は言った。


「2人で行ったんでしょ? じゃあ、2人でやったんじゃん。」


「うんにゃ、オレは付き添いで行っただけで、悪戯したのは修だけだよ。」


「それを屁理屈っていうんだよ。」


「誰が悪戯したか、その爺さん幽霊に聞いてみろよ。審判を下すのはハルちゃんじゃなくて、そいつなんだから。」


「まあ!?」


 琢磨の言い草に彼女は開いた口が塞がらなかった。

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