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死んで花実が咲くものか 28

 午後4時20分頃までマックで時間を潰した。午後4特になっても美佳自身にはなんの変化も見られなかったので、erosと同じ轍を踏んでいないことだけは明らかだったが、だからといってtamaが死んでいないという保証はない。むしろ彼女はコーヒーを啜りながら、彼が死んでいた場合にどう動くのが望ましいか……、と、そればかり考えていた。


 公園へ戻る道すがら、ガムを噛み噛み、辺りに目を配りながら歩いていた。公園の入り口、まだパトカーも救急車も停まっていない。死体が発見されていないだけなのか、死体になっていないのか。とりあえず第一関門は突破……と彼女は思った。


 公園の中央、なにもない芝の上にtamaはまだ転がっていた。とはいえ、遠目では生死までは確認できない。だが、常軌を逸した状態変化が起きていないから、第二関門も突破。


 近寄ると、なぜか彼の口元のバンド付き割り箸が外されているのが分かった。服が皺クチャなのは、拘束を解こうともがいたせいだろう。一見したところ出血もなかった。バンド付き割り箸が外れているという変化が薄気味悪かったが、とりあえず彼女は彼の頬を叩いたり肩を揺すって起こそうと試みた。これで起きなければ、脈を取らなければならない。


「タマッ、タマッ。起きてッ。ターマッ。」


 何度も叩いていると、


「痛い……。」


 とtamaの口から漏れたので、彼女は叩くのをやめた。


 次に、彼が正気かどうかを確かめ、それから拘束を解いた。


 tamaには午後3時過ぎからいままでの記憶がないようだった。


 とりあえず無事の報告をサイトで行おうとした彼女の目に、不穏な内容の書き込みが飛び込んできた。


 16:40 KO

 幽霊さん、というか、nachiさん?

 次は私が死にます

 私のところに来なさい


 

 これは、KOさん? いつもの殺人予告とは違うよね……と美佳が思っていると、


 16:55 miya

 残念、次は私が死にます


 という書き込みが画面内に現われた。彼女は一瞬、目を疑った。だが、紛れもなくそれはサイト内での自分の名前だった。


 彼女は震える指先に辟易しながら、それを否定する書き込みを行なった。

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