表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/162

治子6歳の戦い ⑫

 千堂が


「いまから案内する部屋は結界になっていて、霊は入れないはずです。」


 と言ったから、父、母に続き部屋に入った治子はくるりと後ろを向いて、重信を手で制して言った。


「ここから先は結界になってるから入ってきちゃダメ。」


「なんで?」


 と重信。治子の仕草と言葉に、彼女の後ろを歩いていた姉も面喰った。


「いまの私に言ったわけじゃないよね?」


「お姉ちゃんは入って来て。」


 重信を擦り抜けて部屋へ入る姉。姉に続き


「僕も~。」


 と部屋へ入ろうとする重信に対して治子は


「バリアがあるから入れないのッ。」


 と手を部屋の入り口に向かってバタバタさせた。


「バリアなんてないもん。」


 と彼女の言うことを聞かず、入ろうとする重信に対して彼女は本気で怒り出した。


「ルールなんだから、ここにバリアがあるんだから、入って来ちゃダメだってば。ルールも守れない子とか……一緒に遊んでても面白くないから、もう帰ってくれる? もう、二度と遊んでやんない。」


「ごめん、僕、ここにいるよ。」


 しょんぼりと部屋の入り口手前の廊下に座る重信。


「話が終わるまで待っててね。」


 ちょっと言い過ぎたかと思った彼女が優しく重信に声を掛けたが、彼はふくれっ面で彼女を見返すだけだった。


 母が千堂に菓子折を手渡したりしながら、話は本題に入った。


 両親が末娘の現況について千堂に説明した。


 娘は幽霊を見ることができ、かつ現在、大正14年に亡くなった子供の霊に憑かれている。いまのところ彼女は無事だが、放っておくと霊に殺され、あの世へ攫われていってしまうのではないかと考えると、生きた心地がしない。なんとかならないものか、と。


 それに対し、千堂はお任せくださいと自信たっぷりに言う。


 そんな千堂を見て、この人も安徳寺の住職と同じで髪があるからダメだと、治子は思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ