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治子6歳の戦い ③

 ある日、治子は同じ保育園の友達の上田うえだ竜也りゅうやと、知り合って間もない重信の3人で一緒に遊ぶ約束をして、神社で野球の真似事をしようというので待ち合わせた。一番最初に神社に着いたのは治子、次に重信が来て、最後に竜也がプラスチック製のバットと柔らかボールを持って、1つ下の弟である勝也かつやと一緒にやって来た。


「あと一人来るんだろ?」


 治子の傍まで来た竜也が彼女に尋ねた。


「いや、私と重ちーだけだよ。あと誰か呼んだ?」


 彼女が竜也に問い返す。


「だから、まだ重ちーが来てないじゃん?」


「は?」


 そのとき、彼女は重信が“ お化け ”だと確信した。

 彼女は騙してたのね? という思いで重信を睨む。シュンと肩を落とした彼は


「もしかしたらほかの子とも遊べるかと思ったんだよ。」


と弱々しく答えた。


 そして、


 「見えないの?」


 と竜也と勝也の前に歩み出る。だが、二人は重信の存在に気付かない。それでも何度も自分の存在に気付いてもらおうと声を掛け続ける重信。その様子を見て、彼女はなんだか堪らなくなって、どっちの味方をすればいいのか分からなくなって、とうとう泣き出してしまった。


「どうしたの?」


 彼女が唐突に泣き出したことに驚いた三人がそれぞれに彼女に言葉を掛ける。


「どこか痛いの?」


「大丈夫?」


「だい、じょう、ぶ。だけど、ごめん。今日は帰るね。」


 治子はとりあえず帰宅することにした。遊ぼうって気分じゃなくなったのだ。

 途中まで、竜也と勝也も彼女に付いて歩いた。二人は特に彼女の容体を気遣って同行したわけではなく、次の遊び相手候補である佐藤琢磨を誘おうと、たまたま途中まで彼女と行き先が一緒になったのだ。


 二人が誰を誘おうかと話してるさらに後ろから、重信もトボトボと付いてきていた。

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