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生霊 22

 智美はチャットの中ではmamaと名乗っていた。


 自殺予定日の2日前に殺してしまったことも、彼はそこで初めて知った。


 あと2日……。


 あと2日我慢すれば、オレがやらなくても智美は勝手に死んでたんだ。


 ああ……。


 彼は大きな溜め息を吐くと、頭を抱えた。


 突然、頭が痛み出した。


 痛みを鈍化させようと彼は片手でこめかみを押さえながら、パソコンの画面を見続けた。


 どうやら智美に続き、また新たな自殺予告者が出ているようだった。


 嫌な予感を覚えた彼は、気が付けばチャットに入り、この一連の自殺は幽霊の仕業かもしれないといった内容を書き込んだ。


 クソ! オレはなにをやってるんだ?


 彼は自身の書き込みが掲載された画面を見て歯噛みした。


 だが、その書き込みへの反応を見ると、意外にもかつての彼のように幽霊の存在をハナから否定する意見はなかった。


 みんな頭が柔らかいな……と彼は思った。


 掛かり付けの医者は二週間分の薬を出してくれたから、買い物もそれに合わせて二週間、外に出なくてもいいように計算して行なうようにした。


 一度、警察が彼の部屋を訪れ、玄関前で簡単な質疑を受けた。


 新井奈菜が死亡した日、彼女の携帯の着信記録に彼の電話番号があったので、同日の彼女の様子などを尋ねられたのだ。


 捜査の手はまだ彼には伸びていなかった。


 またしばらくすると、薬と引き籠りの影響で体調に異変が見られるようになった。


 食事を摂るのも億劫になった。


 漠然と死を予感するようになった。


 さすがにヤバいと思ったりもしたが、習慣は変わらなかった。

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