幽霊に憑かれた女の子と、うっかり憑いちゃった幽霊の物語 （旧：私じゃない）

死んで花実が咲くものか ⑨ （仮）

　erosの自殺予定日まであと２日と迫った11月７日、erosの書き込みがあった。

　19：00　；eros

　いまのところ目立っておかしな点はない

　ただ、漠然とだけど、これかと思い当たることが１点のみ

　それは、死に対する恐怖感が薄まりつつあるという変化かな

　19：05　；eros

　死という概念が匂いを持ち、声を発し、視覚的に認識されるようになった感じ……

　しかもそれが甘く、耽美で、死に陶酔してしまいそうなナニでもって、つまるところ、ミツバチが花に誘われるように、ふらふら～っと死に誘われるような感覚に陥ることがある

　19：10　；eros

　だけど、この感覚は極めて曖昧なもので、意識していなければその感覚の変化自体見逃してしまいそうなくらい

　mimi、take、yui、mama、wakuwakuにも同じ変化があったかどうかは知らないが

　19：15　；eros

　いや、特に厭世観が強まるといったことはない

　ただ、死への陶酔？　憧憬？　なんだろ？　死を見てみたい感があるだけ

　19：17　；eros

　いや、死にたいわけじゃない

　まったく死にたくはないね

　むしろ、最近頭角を現わしてきたこの感覚が鬱陶しくて腹が立つくらい

　数日振りに現われたerosに対し、みんな待ってましたとばかりに質問したが、erosは１つひとつの質問に丁寧に回答していった。

　そんな中、また１人変人が現われた。

　19：34　；111

　この一連の自殺は幽霊的なものの仕業かもしれない

　ああ、確かに幽霊の仕業だ。それですべてに説明が付くじゃないか、と美佳は思った。

　って、え？　幽霊!?