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説得


 村に入ると、村人達が大歓声をあげて迎えてくれた。


「この村を救ってくれてありがとう!!」


 そんな感謝を告げる言葉がいろんなところから掛けられた。しかし、実質なんもしてない隊長達は皆苦笑いをして手を振る。そんな中、村長らしき人が俺達の前に出てきた。


「この度はホント感謝してます。盗賊だけじゃなく魔物からも守ってくださるとは」


 なるほど。この村を本気で守ろうとしていたんだな。休息の為とはいえ、何の縁も無い村を命懸けで守ろうとする隊長達に少し関心した。


「その事なんですが…後程話があります」


 隊長の隣にいる変な格好をした俺の事を聞こうとしたが、その事もまとめて後程ということにして村長と別れた。そして隊長達が寝床としている宿の食堂に集合した。


「さて、自己紹介が遅れたわね。私はアルドラン帝国戦闘部隊隊長ガルム様直系第二隊隊長レノアよ」


 最後のレノアだけでいいのに……。心の中でそう呟いた。


「俺は副隊長のデリアムだ」


 かなり短縮された自己紹介に、デリアムの事が輝いて見えた。


「俺は……零夜です」


「零夜……ね。よろしく」


 レノアが握手をしようと手を伸ばしてきたが、俺はそれをスルーした。さっきは抱き締められて泣きそうになってしまったが、よくよく考えれば俺の事知りたいだの、帝国に行こうだの自分勝手過ぎる。何を企んでいるのやら。


「……それで帝国の事なんだけど」


 レノアが口を開くと同時に席を立ち、出口に向かい歩き出した。


「ちょ、どこ行くの?」


「どこに行こうが俺の勝手だ。帝国には俺が行きたい時に行く」


 するとデリアムが斧を持ち零夜に矛先を向けた。


「隊長はお前が帝国に行くことを望んでいる。それを拒むのは許さん」


 デリアムは冷静だが、若干殺気を放っている。隊長の言うことは絶対ということか……。


「お前には残念ながら俺は殺せない」


 その言葉にデリアムは悔しそうに斧を下に下げた。さっきの光景を見ていたからだろう。


「……零夜お願い。一緒に来て」


 レノアは頭を下げて零夜にお願いした。


「なんでだ?俺達さっき会ったばかりだろ?」


 するとレノアは頭を上げてジッと零夜の目を見つめながら言った。


「なんだか放っておけないの。よく分からないけど」

 

 ますます意味が分からないが、目は嘘を言っていない。


「……帝国に行って良いことあるのか?」


「あるわ!美味しい食べ物もあるし、帝王様もいるし、美味しい食べ物もあるし、闘技場での大会もあるし、美味しい食べ物もあるし……」


「美味しい食べ物何回言うんだ!!」


 思わず大声で言ってしまいレノアが頬を赤らめた。


「な、なによ!別にいいじゃない!!」


「ご、ごめん………なさい」


 逆ギレの勢いで言うもんだから謝ってしまった。だけど、美味しい食べ物は食べたいな。


「俺が行く条件がある」


「え?何??」


 デリアムが荒々しい口調で「まさか隊長の身体を…」とか言ってるが聞かなかったことにしておこおう。


「美味しい食べ物を奢れ」


 レノアは瞬きを何回もしながら俺を見ている。


「そんなんでいいの?」


「もし不味かったら許さん」


 徐々にレノア顔から笑みがこぼれ、零夜の肩を叩きながら言った。


「任せてよ!!よーし、そうと決まれば出発ね!」


「「「は?」」」


 兵士達全員に?が浮かんでいる。


「だからもう村を出るの」


 レノアの理不尽さに兵士達が文句を言ったが、すぐにデリアムに締められて渋々準備を始めた。


「お、おい。俺は別にそんな急いでないぞ?」


「私はとっとと帝国に帰りたいの!!………零夜がいれば……」


「ん?なんか言ったか」


「あー!何でもない何でもない!」


 レノアは慌てて食堂を出ていった。それから数十分で準備も終え、レノアも帰って来たので村を出ることにした。

 村長には既にレノアが報告しており村を出るときも歓声を浴びながら村を出た。



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