霊感
「ん~もう朝か」
昨日は色々ありすぎて疲れたな、…ってそろそろ学校行かなきゃな。零夜は準備をしてアパートを出た。
それにしても、…ネクシア?だっけか。あの悪魔みたいな奴もいるんだよなー、なんか俺は向こうに行っても変わらないような気がするけど。だって俺は名前がおっかない奴の生まれ変わりだしな。
学校にいく道を歩いていると、女子高校生の後ろにぴったりくっついてニヤニヤしながら歩いている変なおっさんがいた。
なんだ?変質者か?それにしてもなんであの子は助けを呼ばないのだろう、…もしかしてナイフか何かを突き付けられてるとか。零夜は声をかけることにした。
「おい」
「~♪はい!?」
急に声をかけられて耳のイヤホンを落としてしまう。
「な、なんでしょうか?(朝からナンパ?…でもイケメンじゃん//)」
「いや、あんたじゃなくて」
「え?」
女子高校生は周りを見渡すが誰もいない。
「私以外誰もいませんけど、…」
「いやいや、…真後ろにいるじゃん」
「え、…な、何言ってるんですか?誰もいないですよ」
「じゃあそのおっさんは誰?」
「だから誰もいないですよ!怖いこと言わないでください、…」
見えてないのか?ならこいつはーーー
「いや、朝だから少々目がおかしかったようだ。呼び止めて悪い」
「いえいえ、気になさらないでください!それじゃあ」
女子高校生は小走りで走り去っていった。そして俺は右手でしっかりと変質者を掴んでいる。
「お前!私が見えるのか!それだけじゃなく掴めるの!?」
「見えすぎて怖いくらいだ変態」
「へ、変態!?私はあの子が変質者に狙われないか見守っていただけだ!」
「いやいや、…あんたが変質者でしょ」
「私は断じて変質者ではない!」
「ならなぜニヤニヤしながらぴったりくっついてた」
「うっ!、…あ、あの子の髪の匂いがいい匂いでつい」
「なにやってんだか、…それでどうしてあの子にあんたが見えなかったんだ?」
「そりゃ私は幽霊ですから」
「………は?」
「だから、私は一ヶ月程前に死んだ幽霊なんです!」
「幽霊だと?」
た、たしかにそれならあの子に見えないわけだな、…だがなぜ俺に見える。昨日いろいろ見すぎて霊感まで手にしてしまったのか?
「死因は?」
「強姦しようとしたら通りすがりの正義ぶった奴に殺された」
「………ただのカスじゃないか」
「性欲が抑えられなかったんだよ!文句あるのかガキが!」
「逆ギレかよ、…」
そういえば幽霊も死ぬのかな。試しにやってみると、
「な、なんだ、…く、苦しい、…」
変態幽霊の姿がだんだん薄くなり五秒もかからずに消えた。
「幽霊も死ぬんだ、…まぁいっか」
再び学校に向かうが、変態幽霊のせいで遅刻してしまった。
学校が終わり帰宅中。
夏は念のため自宅で休養をとって休んでいた。まぁ会わないほうがいいな、…それよりも今俺は大変厄介なことになっている。
「なんだこりゃ、…」
変態幽霊はしっかりと姿があったが、他の幽霊は違うらしい。下半身が煙のようになり飛んでいたり、顔が無い人が歩いていたり、もはや幽霊ですらないだろ、って奴まで今目の前にうじゃうじゃいる。なんでこんなはっきりと見えんだよ、…ってかいすぎだろ!
うじゃうじゃいるとさすがに気味が悪い。全員すかさず抹殺した、既に死んでるから悪気はしなかった、…しかし歩くたんびに幽霊と出くわす。こりゃやってられんわ。
「ネクシアってとこいきたいんですが」
空に念じながら話しかけてみると、すぐに真っ白な空間となり神が現れた。
「決心したか」
「うん、…地球にいたらこれから疲れそう。ネクシアには幽霊いないよな?」
「幽霊?、…いないのではないか?たぶん」
「しっかりしろよ神様、…」
「まぁ気にするでない、じゃあ転送するぞ」
「ちょい待て!ネクシアのこと全然知らんが」
「お主ならなんとかやっていけるだろうよ、サービスで言葉は通じるようにしておくから」
「なんとかって、言葉は助かるけど、…」
「それじゃあ行ってらっしゃい」
「おい!、……………」
真っ白な空間に零夜の姿はもうなかった。
「……すまないな零夜よ。このような運命を背負わせてしまって」
神も姿を消し真っ白な空間も消え去った。