力の正体
「神様が何のようですか?」
「わしを見てもあまり驚かないのだな」
「…先程、悪魔と死神みたいな奴を見ましたから」
「うむ…もう少しいいリアクションを期待していたのだがな…」
「………それで何で俺をここに?」
「……そうじゃった!…ここにお主を呼んだのは覚醒しつつあるその力について説明するためだ…」
「!!!……この力はなんなんですか!?」
「………少し長い話になるぞ」
「全然構いません」
「………わしのような神はたくさんいてな、創造神、太陽神、海の神、陸の神、森の神…
それ以外にも戦いの神や数えるとキリが無いほど神は存在していた。
我々は天使と共に天界に住み、それぞれの世界、この地球も含めた世界を見守りながら平和に暮らしていた。見守ると言ってもその世界で起きた事に神が干渉する事は許されないがな。
人間が死んだ時、善き者は天界で数年過ごし新たに生まれ変わる。悪しき者は地獄で100年罪を償い新たに生まれ変わる。それを繰り返していた。我々とは反対に地獄に住む神々は我々を敵対視しており仲は良くなかったがそれでも互いの役目はしっかり果たしていた…そんなときに「アレ」が生まれた」
「………アレ?」
「そいつの名前は邪死龍…
そいつはネメアという地球に似た世界で突然生まれた。邪死龍は触れるもの、周りにあるものを全て殺した。ネメアの世界の人々は力を合わして倒そうとしたが無意味だった…
そしてネメアという世界自体を死に追いやり消してしまった…
これはさすがにまずいと思い、ネメアを担当していた神は邪死龍を消し去ろうと思い向かったが、その神が逆に返り討ちにあってしまった。神が神でもない他の者に殺されるなど有り得ない事、数十人の神が力を合わせて邪死龍を討ちに向かったが皆死んでしまった。それからも邪死龍はどういうわけかいろんな世界を移動する事ができ、その度に世界を殺しまくっていた。
天界と地獄は死んだ者達の魂の管理に追われ、手がつけられない状態となっていた。そこで我々天界は地獄と手を組んで邪死龍を封印することにした。奴はどんな攻撃をしてもすぐに再生し殺す事は出来なかった。地獄もさすがに了承して我々は全ての勢力、ありとあらゆる神が集まり邪死龍の元に向かった。 そして我々は多くの犠牲も伴う事となったが邪死龍を封印することに成功した。わしもその戦いに参加し、傷をおってしまった。」
そういって神が着ていた服をめくる。
「!!!!!!」
そこには腹をえぐられたような生々しい傷痕が残っていた。
「なぜか奴がつけた傷は治らなくてな………封印には成功した。だがまたいつ封印を破って出てくるか分からない……そこである方法を思い付いたのだ」
「ある方法?」
「………それは邪死龍を新たに人間へと転生させること…そうすることで奴は新たに生まれ変わると思ったのだ」
「……………それってつまり…」
「……そのつまりだ。お主が邪死龍の生まれ変わりということだ」
「………………」
「お主は家族の死をきっかけに邪死龍の力が目覚めてしまった。そしてその力はだんだん強くなっている…お主も分かっておるだろう」
「………たしかに、触れなくても殺せるようになった…」
「邪死龍の力はそんなもんではない……さらに色々な力がこれから覚醒していくことだろう…先程、下級の神とはいえ死神を殺してしまったぐらいだからな……」
「……ちくしょう……本物の化物だったんだな俺は…」
そう思った瞬間、真っ白な空間が零夜のほうから徐々に黒く染まりだした。
「お、落ち着くのだ!!」
「……あ!!」
我に変えるとまた真っ白な空間へともとに戻った。
「あ、危ないところだった……」
「すみません……」
「完全には力をコントロールしていないということだな…しかし徐々にコントロール出来るようになるだろう」
「この力をコントロールすることがいいことなんですか?」
「もちろんじゃ!以前の邪死龍はただただ死を与えるだけの怪物だった。しかしお主は違う、しっかりと自分の意志を持っている!その力をコントロールしなければ地球を滅ぼすことになるぞ」
「!!!……分かりました、なんとかやってみます……」
地球を滅ぼすなんてさすがに駄目だろ…
「その意気じゃ…そこでだが、お主別の世界に行ってみる気はないか?」
「別の世界?」
「その名はネクシア。先程お主が戦った悪魔がいる魔界と繋がっている世界じゃ」
「……なぜそんな物騒な世界に」
「そこならお主の力も活かされるであろう、人間も地球の倍以上に存在しているから問題はない。技術レベルは圧倒的に地球が上だがな。そのぶんネクシアには魔法や、エルフ、ドラゴン、獣人などもおりとてもファンタジーな世界だぞ?……まぁ魔物とかもいるが、お主も一度はそんな世界に憧れたであろう?」
「まぁ………憧れたことがないといったら嘘になるが…」
「なら決まりだな!今すぐに連れていってやろう」
「…………いや………断る」
「なに!!!!!……そこは二つ返事でOKじゃないのか!?」
「今すぐには無理だ……高校も入学して当日なのに…少し時間を下さい」
「………それもそうか…分かった。じゃあお主の準備ができ次第わしを呼べ」
「どうやって呼ぶの?」
「念じるだけでよい、それではまたな」
次の瞬間、先程までいた場所に戻っていた。
辺りは真っ暗になっている。
……なんだか凄い事になったな…だけど、自分の力の正体が分かって少し気が楽になった。
桜木さんもいないってことは今頃病院だろう…
零夜は自宅のアパートに戻っていった。
改行とかのやり方が( ̄▽ ̄;)