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悪魔

……ほんとに悪魔なのか?

たしかに黒い羽も生えていて、目も真っ赤で牙まで口からはみ出している…だからといって悪魔と決めつけるわけにはいかないか……

色々考えていると悪魔?が話しかけてきた。


「俺を見て腰を抜かさないとは…なかなか根性のある人間だな」


「…日本語喋れるんだ」


「悪魔をなめるな!!人間ごときが…」


……………悪魔だったか。


「それで悪魔が何のようだ」


「ほぅ……人間のくせに俺に質問をするか…いいだろう答えてやる。お前を殺しにきた」


「……なんで俺?」


「……空を飛んでいるときにお前を見つけた。今までも気まぐれで見つけた奴を殺してきたからな」


連続殺人の犯人はこいつだったか。


「殺せるもんなら殺してくれよ」


「………お前今までの人間とは違うな、今までの奴らは俺を見ただけで恐怖で顔が歪み、泣き叫んでいた。そんな人間の恐怖を見るのが俺にとっての快感なのだ」


「……………」


「それなのにお前は殺してくれか……いいだろう、苦しみにもがくお前の顔を楽しもうと思ったが、一瞬で殺してやろう。そしてお前の頭蓋でも貰うとするか」


次の瞬間、悪魔の手が斗夜の心臓を貫いた。


「あっけないな……次の獲物は楽しませてくれるだろう。こいつの頭を貰わなければ」


悪魔は斗夜の体から手を抜く。


「…………!?」


そこである異変に気が付いた。

血が一滴も出ていない、それどころか貫いた所が綺麗に元通りとなっている。


「どういうことだ!?」


「…………………悪魔でも殺せないのか」


「お前……何者だ」


「普通ではないけど人間だよ……それより殺せないじゃないか、期待させやがって」


「!!ふざけるなぁ!」


悪魔は斗夜の首を引き裂き、手足をもぎ取りズタズタにした…………つもりだった。


「な……………」


斗夜の体は血どころか傷1つ出来ていない、再生するスピードが早すぎて最初から何もされていないようだ。


「残念だが無理みたいだな」


「くそ!…」


一旦悪魔は斗夜から距離をとる。


「帰っていい?」


「今のはほんの余興だ……これからを見せてやる」


悪魔が地面に両手をつけ、何かを唱え始めた。


「……なんだ?」


すると地面に黒い穴が二つでき、そこから異臭を放つ獣が二匹現れた。

………顔が二つある犬みたいだな、しかもなかなかでかい、俺の二倍はあるか?…どうせなら三つにすればいいものを……ってかそんなことよりも……


「くせぇ…………これは酷いな」


「こいつらは魔界の掃除屋だ。腐ったものや死骸が大好物でな、だが生きた獲物も食べる獰猛な奴だ」


仲良くはなれなさそうだ……臭いし。


「こいつらにお前の始末を任せるとしよう」


「……いや、断る」


「なんだ、今さら怖じ気付くのか?」


悪魔がニヤニヤしている。


「………臭すぎてこれ以上近付かないで」


「…殺してしまえ!!」


悪魔の号令と共に二匹の犬が走ってくる。

その距離十メートル、

……まだ遠いな。

そして五メートルまで来たときだった。


「……なに………」


斗夜に五メートル以上近付こうとした二匹は頭の先から骨となり最後には尻尾の先まで骨になり死んだ。勢いだけは殺さず、骨となった二匹は壁にぶつかりバラバラに砕け散った。


「………何が起きたんだ……」


この場の状況が理解できず困惑している。


「俺に五メートル以上近付こうとしたから死んだだけだ」


「……俺はさっき至近距離にいたぞ…」


「……俺が殺さなかっただけ…今俺の五メートル以内に入れば死ぬ」


「……化け物め…」


「悪魔に言われたくはないな」


「この世界にこんな奴がいるなんて聞いてないぞ…」


「この世界?…そういえばさっきの魔界の掃除屋とか言ってたよな、魔界から来たってことか?」


「そうだ。俺は魔界で偶然異世界への入り口を見つけたんだ」


「ここはそっちからしたら異世界か」


「魔界にはもう1つ元から繋がっている世界がある、そこにも人間は数多く住み着き平和に過ごしているとこもあれば、互いに戦争しあっているどころもある。魔法を使ってな」


「魔法もありな世界あるのか…」


「俺達悪魔はその世界に滅多に入っちゃならねぇ、人間を根絶やしにしてしまうからな。魔王が勝ってに決めたことだ…特に俺のような下級悪魔は入ることすら許されない…恐怖が快感な俺は毎日暇だった、そんなときにここへの入り口を見つけた。」


「それでここで人間殺しまくって遊んでたのか」


「この世界は最高だぜ。毎日快感を味わう事ができる。他の悪魔も知らない、魔王すら知らない俺の世界だ」


「…お前の世界ではない」


「ここで俺は人間を殺しまくってこの世界の頂点に立とうと思った。ここで悪魔に勝てる奴なんていない、魔法も何も使えない最弱な人間達と思ったからな…だが」


「………俺がいてしまったと」


「なんなんだお前は!!…その力はどこで手にいれたんだ!」


「………俺だって望んで手にしたわけではない…」


「……どういうことだ」


そのとき後ろの方向から声が聞こえた。


「斗夜君~~!!」


声の主はまだけっこう離れた所にいて姿はよく見えないが、声に聞き覚えがあった。


「…………桜木さん…?」


「零夜君~~!!!」


声の主はどんどん近付いてくる。

……今ここに来たら…


「桜木さん!ここに来るな!」


普段から叫ぶことなどないので、声も思ったより出ず聞こえてないらしい。

夏が零夜まであと二〇メートルってとこまで近付いたときだった。


斗夜は後ろを振り返り、悪魔がいたはずの場所をみた。

……いない?


「きゃぁぁぁぁ!」


夏の叫ぶ声が聞こえまた振り返ってみると、いつの間にか悪魔が夏をガッチリ掴んでいた。


「…いつの間に」


「悪魔の羽は飾りじゃないんだよ!」


こいつ飛んでからーーーー

零夜悪魔の所に駆け寄ろうとした。


「おっと近付くな!!……お前たしか五メートル以内って言ってたよな、それ以上近付くとこいつ死ぬぞ」


ニヤニヤしながら悪魔が夏の首をしめる。


「く………くるしいよぉ……」


「ひゃははは!この顔たまんないぜ!」


「やめろ!!!」


「黙れ!……あ~あ、お前がうるさいからこいつが死ぬわ」


次の瞬間、悪魔の爪が夏の体を切り裂いた。


「!!」


「ひゃははは!この感じ最高だぜ……」


「糞が!!」


斗夜が走ってきたので悪魔は上空に跳び十メートル以上の距離を保つ。


「この距離じゃお前の力も無意味だ」


斗夜は倒れている夏の所にたどり着いた。


「桜木さん!!しっかりしろ!」


「……斗……夜君……」


「だから俺に関わるなと言ったんだ……不幸になると!」


「……零…夜君のせいじゃ………ないよ」


「!!!」


「……じ……自分は不幸にする…人間だなんて……言わないで…」


「だけど桜木さんは俺に関わったせいで!」


「……斗……夜君に関わったから……こんな目に合っただなんて………これっぽっちも思ってないよ……?」


「だけど………」


「私……零夜君と……友達になりたかったの……」


「!!…………俺は…友達なんかいらない……」


「……すぐ友達……なれるとは…思ってなかったよ……これから時間をかけて…なれたらいいな……って思ってたのに」


だんだん夏の声が小さくなっていく。


「桜木さん!しっかりしろ!」


「………ごめんね…捲き込んじゃって……」


「なんで桜木さんが謝るんだ!それに捲き込んだのは俺じゃないか!」


「……………お友だち……なりたかったな……高校生活……楽しみだったな……」


「おい……おい!」


夏の目から一筋の涙がこぼれて、夏の心臓の鼓動が……止まった。


「………………また…俺のせいで…」


「ひゃははは!!良いもの見せてもらったぜ!!」


上空を見上げてみると悪魔がケラケラ笑っていた。


「なんだよその顔は!笑いすぎて腹痛いわ」


………なんだろうこの感じ……あいつが憎くてたまらない…


「じゃあな!もうお前に会う事はないだろうよ!」


悪魔が飛び去っていこうとしたとき、これまでに無いほどに殺意が湧いた。その時、


「…………!!な、なんだ……く、苦しい……」


悪魔が突如苦しみだした。

悪魔はあまりの苦しさに地面に落ちてしまう。


「……が…苦しい……助けてくれ…」


落ちてきた悪魔に一歩一歩近付いていく。

零夜の真上の空を飛んでいた鳥も骨となり死に、周りの草花も枯れ果て、斗夜の周りのもの全てが死に始めた。


「……………く……来るな……」


悪魔は飛びたとうとしたが、いつの間にか羽が腐り骨となりかけていた。


「な……に……………」


そして斗夜が悪魔の目の前まで来た。

禍々しいオーラが斗夜を包んでいる、


「……………」


「た……助けてくれ…」


「………お前に生きる価値はない…消えろ」


零夜の言葉と共に悪魔は激しく苦しみだし、徐々に徐々に体が腐り初めゆっくりと死んでいった。


………なんだこれは。範囲が広がってる?


そして夏の方を見てみると、見知らぬ黒い鎌を持った奴が側に立っていた。


「!!…なんだお前!」


斗夜の言葉に反応し顔を向ける。


「!!!!!」


顔に皮膚はなく、頭蓋骨むき出しの顔だった。


「…………今度は死神か…?」


よく見てみると、手に袋みたいなものを持っており中で何か動いている。


「……あれは何だ…」


死神はまた夏の方を向き、手をかざすと夏の体から白いモヤモヤが出てきた。

そしてその白いモヤモヤを袋の中に入れている。


……まさか…魂…?


そして死神が立ち去ろうとしたときに斗夜は死神に向かって力を使った。

すると死神は声も出さずに苦しみだし、青い炎が体を包み込み、袋だけを残して消えて無くなった。


………死んだのか?


落ちていた袋に近付こうとしたとき、袋の中から一斉に魂らしきものが出てきた。


「なっ!」


魂は一つ一つ違うところに向かい、一つは草花に入っていき枯れていたものが再び花を咲かせた。骨となった鳥は再び体を取り戻し、何事も無かったかのように飛んでいく。


「一体どうなってんだ…」


そして夏の体にも魂が入り込んだ。すると、先ほどまであった深い傷がすっかり治っている。


「おい!…しっかりしろ!…」


「……ん~……もう食べれないよ………」


寝ているのか?……でもちゃんと生きてる……

ホッとして地面に腰を掛ける。


「そういえば!!」


悪魔がいたほうを振り返ったが、悪魔は生き返っていなかった。


良かった………

とりあえず夏の体に他の異常があるかもしれないので、携帯で救急車を呼んでおいた。


死神から魂を奪い返したから生き返ったってことなのか……?

しかしなら悪魔は魂が無いということか……


すると次の瞬間目の前が真っ白になった。






「……ん…ここは?」


先ほどまでいた場所ではない。真っ白な空間だ。


「今度はなんだよ……」


すると上の方から白い髭を生やしたお爺ちゃんがゆっくり降りてきた。


「ここはわしが造り上げた空間じゃ」


「………誰?」


「わし?…わしは神じゃ」


………悪魔、死神の次は神様かよ。



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