〜第ニ節〜悪夢と現実
〜前回まで〜
都市伝説を経験した人が書いたブログで衝撃の事実を知った龍斗は友達を思い始めた。
そんなある日、都市伝説が現実に!?
次々にクラスメートたちが消えて行き
ついには龍斗と剛だけになった。
そこで剛は自分を犠牲に龍斗を助けたのだった。
「威るぅううううう」
龍斗は慌てて起き上がった。龍斗の目に写ったのは見覚えのある場所、自分の部屋だった。呼吸はみだれ、心臓の鼓動は素早く脈を打ち全身はまるで大雨の中を傘なしで歩いたと言う程の汗をかいていた。
「夢か…」
窓からは日差しが部屋を明るく照らしていた。龍斗は悪夢にうなされていたのだ。
──寝ちまった。
龍斗は起き上がり支度を始めカバンに教科書を入れていた。
──今朝の悪夢…友達大事にしないとな。
そう反省しながら龍斗は学校に向かった。今朝の悪夢が頭の中を何度もビデオのように流れた。龍斗はとても大きな恐怖を覚えた。
──見られてる。
後ろに何者かの視線を感じる。
「…!!?」
その視線を気にしつつも歩き続けた。曲がり角を曲がろうとしたところで肩を触られた。龍斗の心臓の鼓動はキツツキが樹をつつくよりも速かった。龍斗はゆっくりと首を後ろへにと恐る恐る振り返った。後ろにいたのは威だった。龍斗は胸に手を当てため息を吐いた。威とは同じ中学校だったため家は割と近かった。
「何だ威かよ。」
『どうした?そんな怯えた顔して。』
最初は話そうか迷ったが話す事にした。
「昨日、悪夢見ちゃって…」
『そうか。どんな夢かは知らないけど処さん夢だ気にすんな。』
「おう!」
励ましの言葉で少し元気になった龍斗は威に向かって微笑んだ。威と話しながら少し歩く事10分、学校に着いた。教室に入るとクラスメート達はいつもみたいに友達と会話していた。その様子を見て龍斗は落ち着いた表情だった。
──今朝の夢みたいな事は起きないか。
ほっとした龍斗は珍しく授業に集中した。あっという間に五時間目終わりのチャイムがなり終わった時には龍斗は今朝の悪夢なんか忘れていた。いつもは一人か威としかいなかった龍斗にもいつの間にか周りに人盛りができていた。そんな事に幸せを感じながら龍斗に体の奥底に眠っていた秘められた力が目覚めようとしていた。
そして、六時間目の始まった。教科は国語だった。みんな六時間目の国語に嫌気の差したムードだったが国語の教師、花崎先生は面白い事でみんなの人気者だった。そのおかげで国語は皆の楽しみの時間でもあった。今日は5分早く終わったため先生が小話をしてくれた。
『これから話す事は昔先生が体験した事だ。』
皆が興味津々に先生の方に体を傾ける。
『ちょうど皆ぐらいの高校生だった頃の事だ。今日見たいに国語の時間だった。俺も昔は国語が嫌いでなそれで辛い長い時間が過ぎてやっとチャイムが鳴ったと思ったら…』
運の悪いタイミングでチャイムが鳴ってしまった。そして次に第一声に聞こえてきたのは…
花崎先生の声、ではなく
スピカーのノイズとともに聞こえた女の声だった。そして女はこう告げた。
『Life Risk Gameへようこそ、あなたたちの教室はFeizersの時空間とつながりしました。あらかじめ生徒以外つまり先生達は処分させていただきます。これから行うLife Risk Gameはクラスメートどうしでこちらの出したゲームで命を懸けて戦って貰う。こちらが認めない限り力の抗争は禁止です。万が一ゲームに負けるかルールを破った者には死の制裁が下されます。』
みんながざわついていた。すると忽然と花崎先生が姿を消してしまった。教室中に金切り声が響き渡る。くだらないと出ようとしていたものがいたが足をとめ絶句していた。
皆は凍り付き一斉にドアに向かって走り出した。皆はクラスメートを押しのけ自分がいち早く出ようとしていた。転んで皆に踏みつぶされるとても悍ましい光景だった。人間は極限状態に陥ると必ずまず自分が逃れる事しか考えられない。だから、普段いくら災害訓練をしようと実際はどうする事もできないのだ。龍斗は走りもせずに席に座っていた。わかっていたのだ逃げれないなんて事は。こういう時に限って期待は裏切らなかった。
「どう言う事だ。空かないぞ。」
出て行こうとした高杉が言う。
『何やってんだよ俺にかせ。』
そう言って古井が開けようとしたが扉は開く気配は全くなかった。やがて皆は蹴り壊そうとしたり窓を割ろうとしたが。傷ひとつすらつかなかった。携帯で連絡をとろうとしたが圏外で通じず、大声で助けを求めても誰も助けにこなかった。皆は途方にくれ席に座っていた。
そう、俺、いや龍斗たちは今、通称【Feizers事件】に巻き込まれているのだ。我慢の限界に達し泣き出す人、どうにかしようと携帯をいじる人、どこかしら叩いて調べるひと。
──俺はどうすればいいんだ。
龍斗がその光景をみて悩んでいる内にさっき出て行こうとした。二人が口喧嘩をしていた。
『お前さっきドアに何かしただろ?ふざけんなよさっさと元に直せ。』
「しらねぇーよ。そう言うお前こそ何かしたんじゃないのか?」
『何だとぉふざけんな!』
そう言って古井は拳を握り振り被った。振りかぶった拳は高杉の顔の中心を捉えた。そして後ろに倒れ椅子や机が荒れる。そして皆はそちらへと視線を向けた。古井はすかさず飛びかかって顔を何度も殴った。すると瞬く間にスピーカーからノイズが入る。その瞬間、龍斗の脳裏に「力の抗争は禁止です。破った者には…」と言う言葉が過った。龍斗は身震いしたが時は既に遅し。
『ルールを破る者には死の制裁を。』
そして、古井の手が止まった。
「俺が死ぬ?」
虎が蟻になったように、さっきまでの古井はそこにはいなかった。絶望感に歪んだ顔、震える体。やがて光となって空に消えた。
──また、人が死んでしまった。
『それではゲームを始めます。FirstGameです。今から皆さんにやってものは………
〜次回予告〜
〜第二章〜FirstGame
〜第一節〜悪魔の潜む投票〜
現実となってしまった都市伝説。
龍斗はどうする事も出来ないのか?
最初のゲームとは?