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第7話 事情説明会

今回は会話主体の説明会です。

「さてと、いったいどこから話すべきかしら?」


「まずは、僕達の出会いからじゃないか?いや、とりあえず出身から言った方がいいか」


「そうね」


 そう言って、ユウナさんは左側の髪を掬い上げ耳を見せると、そこには予想通り尖った耳がある。


「見ての通り私はエルフ。………それで、この人は貴族」


 指を指す向こうにはリウスさんしかいない。

 いや~流石にないでしょ。


「冗談ですよね?」

「フフッ………ほ・ん・と・う」

「そんな馬鹿な~、言っちゃあ悪いけど全然、全く、これっぽちもそんな感じしませんもん」


 ここまでで、俺・ユウナさんは終始笑顔、リウスさんはというとどんどん凹んで行ってる。


「本当だから受け止めなさい。で、当時はこの人貴族、私平民でしかも異種族ってことで結婚を反対されてたの。でもどうしても一緒にいたかったから都市から離れてここまで逃げてきたのよ。それで結婚、リイナ出産、今の生活って訳」


 波乱万丈な人生送って来たんだな、この人達。

 俺も異世界トリップつうことになってるけど、こっちはこっちで生々しい。


「でも何で今更都市になんて行く必要があるんですか?ましてや、そこに住むなんて『どうぞ自分たちを見つけてください』って言っているようなものじゃないですか」


 するとリウスさんは突然立ち上がり家の奥へと行ってしまった。

 さっきはいじめ過ぎたから、拗ねちゃったのかな、やり過ぎたかな、と考えていたら、どうやらそれは杞憂だったらしく、何かを持ってリウスさんが戻ってきて、それを机の上に置いた。


「これは?」

「これは父様からの手紙だ。もうここのことはとっくの昔にばれている」

「じゃあ何でここに住んでいられるんですか?いや、住んでいられたんですか?」

「簡単な話、リイナがいたからよ」

「リイナが?」

「そう。妾でも正妻でも、ましてや嫁候補にも挙がっていないような私がこの人と一緒にいられるのはあの子が生まれて来てくれたから、あの子というこの人との形ある繋がりがあるから、相手は手を出すことが出来なかったの」


 それに神様の前で愛し合っているって言っちゃったしね、と幸せそうな笑顔で言う。


「でも、それはユウナさん達が都市に行く理由にも、リイナが魔術学校に通う理由にもなっていません。なんでこんな事になったんですか?」

「さっき手紙が義父様からきたって言ったでしょ?そこから手紙のやりとりをするようになって、私とリイナも義父様の家に迎え入れてもらえるようにお願いしたの」


 ユウナさんはさっきまでの幸せそうな笑顔を消して、今度は腹黒そうな微笑みになっている。


「一体何したんですか…………」

「あら、別に大したことはしてないわよ?リイナのどこが可愛いいとか、どれくらい成長したかとか、どんなことができるようになったかとか…そんなことを何度も何度も書いてたらリイナも一緒に迎え入れるって言ってきて……でもそれって言葉を返したら『お前だけは来るな』と言っている様なものなのよね。だから私は『リイナは私と離れたくないようです。もしそれでもと言うのなら私はたとえどんな罪に問われようとも貴方の家を没落させてみせます』って脅してやったら、私も迎え入れてくれるようになったの。でもそれに条件が出されて、リイナに『魔術学校に通わせ淑女としての嗜みを覚えること』と私に『こちらに来て一年はあまり公の場に出ないこと』」

「そんな!それって酷くないですか?!」

「いいえ、これは私が貴族の生活に慣れるまでは“外に出ない方が安全”と言ってくれてるの。貴族と会話した経験がほとんど無い私を気遣ってくれているし、とってもいい条件だからこの条件を呑むことにしたのよ」


 ユウナさんは一度、喋り過ぎて渇いた喉を潤すために水を飲んだ。


「とまあ、そういう訳でリイナと年が近いあなたに学校に付いていてほしいの。学校じゃあ親が付いていくことも出来ないし」

「五歳ぐらい離れてるのに近いって………」

「あら、あなた二十過ぎてたの?」

「いえ、まだ十七ですが?」

「なら、やっぱり近いじゃない」

「?」

「あなた、リイナの年がいくつだと思ってるの?」

「十歳ぐらいじゃないんですか?」


「やっぱり間違ってるわね。あの子今年で十六よ」


「それはないでしょう。リウスさんに言ったことと同じようなこと言いますけど、それこそそんなふうに見えませんもん」

「さっきも言ったけど本当よ。でもまあそうよね。あの子、体も心も子供だものね。でも魔力は結構あるから、もしかしたらそっちに成長力奪われたのかもね」


 本当にそうなら、“強い=ちっちゃい”の構図ができてしまう。

 そうなると、がらの悪い強い兄ちゃん達は全員ちびっ子…………面白そう。


「話を戻すけど、リイナと年が近いあなたに学校について行って欲しいの。もし駄目って言うのなら………」

「大丈夫です、大丈夫ですって。こっちは命懸けられてるんですから断られませんよ。でも、俺も学校に行くとして、俺の立場はどうなるんですか」

「ん~まあ、冒険者ってことでいいんじゃない?」


 “いいんじゃない”ってけっこうなげやりだな。


「で、いつ出発なんですか?」

「明日よ」


 結構急なんですね…………。

タイトルを少し変更しました。


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