こんな出会いだったよね? 4 ~鮮血~
「う、嘘? 中学生じゃないの……?」
まごうかたなき私の本音をおチビちゃんにぶつけた。
「んむぅ! 小から中に変換したからって、許されるわけじゃないんだよっ!?」
むむ、そもそもそんな意味を持たせたつもりはないんだけど……。
彼女は何故かポジティブに私の言葉を受け取ったみたい。
「いや、そもそも、制服見れば同じ学校なのは見え見えだろ……?」
夏耶はそんな私に呆れ顔のまま突っ込む。
「は、はぁぁぁっ……っ」
何故か瞳を輝かせたおチビちゃんが赤面して悶えています。
「んなっ、ど、どうしたんだ?」
急激なおチビちゃんのリアクションの変化に戸惑いながら、夏耶は問いかける。
「ア、アタシのこと……こ、高校生に見えるの?」
もじもじしながらおチビちゃんは上目遣いで夏耶にそう言いました。
それはさながら、お母さんに甘えたいのに甘えられない幼稚園児のようでした。
「そ、そりゃぁ、制服見れば、さ……。
それに、この校舎は奏明女子のそれなわけだし……」
私立奏明女子高等学校、今日私達が入学する学校の名前。
新しい学び舎。
――と、そんなことよりもさっきまでプリプリ怒っていたおチビちゃんが嘘のように変化したことの方が重要だ。
「ほ、ほんとなの……?」
信じられない、とばかりに夏耶に問いかけるおチビちゃん。
「う、うん……」
夏耶がおチビちゃんの勢いに気圧されて答えたときだった。
ホーリー、フレア、そしてメテオ――究極の魔法が3発同時に発動したような、そんな――
「あ、ありがとう……」
爆発的な衝撃。
自称高校生の小柄な少女がその頬を赤らめて、自分のことを唯一認めてくれたキレイなキレイなおねいさんに向かってもじもじと感謝の意を伝えたのです。
しかも上目遣いではないですか。
皆様に画像でもって紹介できないことが真に、真に悔しいですっ……。
た、たまりませ――
「ぶはぁっ……!」
「きゃぁっ!」
た、耐えられなかった。
あまりに上目遣いのロリっ子が可愛過ぎて鼻血を噴射させた私は、後ろに勢いよく吹き飛ぶ。
その衝撃映像にポニーちゃんは体をビクリと反応させて驚いていた。
「だ、大丈夫ですか?」
こんな異常な倒れ方をしたというのに、ポニーちゃんはいやな顔ひとつせずに私に手を差し伸べてくれる。
か、神だけではなく、女神もいたというのですか……。
今日は無神論者を辞めるいいチャンスかもしれない。
「あ、ありがと……」
そういって、ポニーちゃんの柔らかくて温かい手に触れる。
「ぐはぁっ……!」
「きゃ、きゃぁっ」
あまりの柔らかさ温かさ、そして芳しい香りに――再度私は後方に吹き飛んだ。
「いい加減にしろぉっ!」
夏耶の鋭いツッコミが私に突き刺さる。
いつもはキリッとして見える彼女のつり目が更に角度をつけて、鬼の形相を呈していた。
察しのいい方ならもうお気づきかもしれない。
そう、私は可愛い女の子に弱い。可愛いしぐさにも弱い。
可愛い女の子が大好物なのだ。
や、そっちの趣味があるわけではないのだよ。
ん、まあ、確かに可愛い女の子同士がくんずほぐれつ、あんなところやこんなところをああしてこうしてこうひっくりかえしたりもってみたりつないでみた――
ばすんっ、と何かが私に振り下ろされる。
「はがぁっ……」
私が先ほどから上げるうめき声はもはや女の子のそれではなかった。
「鼻血垂れ流しながら、鼻の穴広げて妄想に浸るんじゃないっ!!」
親友のはずのキレイなおねいさんが自分のカバンを持って息を荒げていた。