第3話 鬼の子3
...って、んな訳ないない、狩矢は主人公の一人です、主人公の一人が冒頭でいきなり死んでしまうような物語って...結構あるかも...
そんなわけで第3話スタートヽ(´-`)ノ
ハッ、しまった、あまりにイライラが募り、しかも気にしていることを言われてしまったから(言ってない)つい、投げ飛ばしてしまった。
まあ、狩矢だから心配はないだろう、彼は死なない体質だから(誰にでもやるわけじゃないよ、信じて)。
それよりも問題は、狩矢が校門辺りまで飛んでいってしまったということだ。おそらく校庭で授業をしている生徒達が大騒ぎをしているに違いない。
千春はフェンス越しから校庭を覗き込んだ。あっやっぱり狩矢の周りに人だかりが出来てる...やばいかも...
とはいえ、警察を呼んだり、救急車を呼んだりすることはまずないだろう、狩矢が死なない体質だということは四宝学園のほとんどの人間が知っている。
そう、狩矢は学校でも数人しかいない異能力者だ、そして狩矢の能力は、即死するほどの攻撃を受けても、数分後にはなにごともなかったかのようによみがえる超絶再生能力。
しかも、身に着けていた衣服まで再生するので、正確に言えば再生能力ではなく、復元能力である。
うらやましい、私もほしい。
そして、私もまた、狩矢と同じく異能力者。
何でも私、神奈千春の家系は数百年に一度、鬼の子が生まれるという言い伝えがある。
そんなこと両親はもちろん、おじいちゃんもおばあちゃんも信じていなかったが、実際にその鬼の子らしき私が生まれてきてしまったのでしょうがない。
とはいえ、鬼の子といっても別に頭に角が生えているわけでもないし、体が大きいわけでもない(むしろ小柄)
ただ、人間離れをした身体能力を持っているだけ。
しかしこんな細腕のどこにあんな怪力が生まれるのか、いつも疑問に思う。
でも、この能力のせいで私はいつも孤独になってしまっていた。小学校も中学校もみんな私を恐れて近づかなかったからだ。本当は他の子のようにみんなで遊びたかったのに、どうして私だけ他の人と違うんだろう、私はこんな力なんていらない、他の人と同じがいい、私はいつもそう思っていた。
そして、高校生になって一ヶ月がすぎた頃、両親から話を持ちかけられた。
「四宝学園に転入してみないか?」と
両親が言うにはこの四宝学園は私のように異能の力を持った子供が集まる特別な学校らしい。そしてそこなら、千春も学園生活を楽しむことが出来るのかもしれないと。
正直私は不安だった、だって、親と離れて生活するなんて今まで考えたこともなかったし、それに田舎の地元を出たことがなかったので、都会の暮らしに慣れることができるかも心配だった。
でも、当時通っていた高校もやっぱり今までどおりみんなが私を恐れて関わろうとしない、それも当然のこと、だって私の住んでいたところは超がつくほどの田舎で小学校も中学校も高校もほとんど選択肢がない、つまりほとんどの生徒が顔見知りというわけだから。
そんな生活から抜け出したい、その気持ちはずっと前からあったと思う、だから私は勇気を出して唯一の理解者であった親元を離れて四宝学園に来たのだ。
うまく四宝学園に転入できた時は期待と同時に不安も一杯だった、私の正体を知ったらまたみんなに避けられるんじゃないかと、みんなにまた恐れられるんじゃないかと。
だから私はなるべく力を隠して、普通の人を装おうとしたんだけど、転校初日に事件があり、あっさりとばれてしまったのだ。
ううう、ついてない、せっかく地元を離れて四宝学園に転校してきたのに、ここでは能力者であることを隠して、平穏に、静かに学園生活を送ろうと思っていたのに...
千春は自分の不幸さを恨んだ。...とまあ現実逃避はこのくらいにしておかないと。
「あああ、しまった、やっちゃったよぉ~」
狩矢が死ぬわけがないのは知っているけど、いくらなんでもやりすぎた、ひどいことをしてしまった。
「ど、どうしよう。あやまらないと、っていうか、校庭にいる生徒がこっちを見てるよ~」
それはそうである、何しろ、屋上から人が飛んできたのだ。一体何が起こったのか?誰がやったのか?確認したくなるのが人の常である。
「と、とりあえずここにいても状況は悪くなる一方だし、もうすぐ授業も終わるし、教室に戻ろう」
千春は逃げるように屋上から立ち去った。
それからの授業は生きた心地がしなかった、たしか次が6時間目、理科で、プラズマがどうとかいっていたような気がするけど、まったく記憶に残ってない。ついでに言えばクラスの仲間がなにやらひそひそこっちを見て言っていたが、千春にはそれも今はどうでもよかった。
気がついたら授業も終わり、千春にとってはもっとも来てほしくない時間、放課後が来てしまった。
なぜなら、放課後は狩矢が言っていた生徒会の緊急会議である、もちろん狩矢も生徒会役員の一員だ。つまり、嫌でも顔を合わせてしまうことになる。
「一体、どんな顔して顔を合わせればいいのよぉ~」
千春は生徒会室がある、3階に続く階段を上りながら嘆いたが、逃げ出すわけにはいかない、しっかりとあやまっておきたいし、会議だってたぶんアレの件だ、早急に対処しないと大変なことになってしまうかもしれない、私のときのように。...とはいえ顔をあわせづらい
千春は狩矢に会わないようにコソコソと生徒会室に向かい、時間ぎりぎりになってから、生徒会室のドアを開けた。
すでに生徒会の面子はそろっていた。
ごめんなさいm(__)m