第一章、四宝学園編 第1話鬼の子1
私立四宝大学付属高等学校
大学部、高等部、中等部、初等部、と分かれる、付属学校である。
その歴史は長く戦前からすでにその雛形が存在していたらしい。もっともその頃は普通の高校であり、当時の名前も四宝高等学校であった。
この四宝高等学校が付属学校になったのは今から20年ほど前のことであり、その時は3棟も増える校舎の建設工事の請負契約に一波乱あったと聞く。
また、その当時、少子化の影響もあり、毎年入学者数が減ってゆき、経営状況もかんばしくなかった。いったいそんな状況でどこにそんな大工事をする資金があったのだろうと、地域住民のほとんどが不思議がっているが、生徒にとっては単なるおもしろ半分の七不思議のひとつになっているだけである。
かくして、20年前から付属化した、元四宝高等学校の成果は上々であるといえた。
ここら一帯の地域の児童のおよそ6割が私立四宝大学付属学校に入学し、そのおよそ7割が最終学部まで進学していった。
そして、この大学部、高等部、中等部、初等部の4学部をあわせて地域住民、生徒はこう呼んだ。
四宝学園と。
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ここは四宝学園の高等部、1学年の教室である。
いきなりドアが開き男子生徒が両手を挙げて飛び込んできた。
「千春さ~ん、結婚し...」
―――――ドゴッ
無言で、飛んできた鉄拳が顔面に突き刺さり、男子生徒はまるで車にはねられたかのような勢いで吹き飛んでいった。
千春と呼ばれた女子生徒は心底迷惑そうな顔をして叫んだ。
「あんたねぇ、授業中にこっちのクラスに来るなって何度もいってるでしょうがぁ~、あと名前で呼ぶな」
クラスのみんなが私に注目している。そのほとんどが、やれやれ、またか、といった表情を浮かべていた。
「神奈さん、授業中ですよ、皆さん真剣に勉強しているんですから、夫婦漫才も大概にしなさい」
黒板の前で授業をしている、髪を後ろで結んだ女の先生が私に注意をした。クラスのみんなから笑いが流れた。
千春は顔を真っ赤にしながら言った。
「先生、夫婦じゃありませんし、付き合ってもいませんし、友達ですらありません。そもそも、私だって迷惑をしているんです」
しかし先生はまったく聞く耳を持たない、というか、むしろ面白がっているかのような顔で答えた。
「あら~、そうなの?、傍目から見たらまんざらでもないように見えるけれどもねぇ~、でもいいじゃないのよ、狩矢君、特別優待生なのよ、学校のエリートなのよ、将来有望よ~」
完全にからかっている。千春はいらいらしながら答えた。
「だって結婚ですよ結婚、私まだ15歳ですし、こいつだってきっと同じでしょう。結婚なんて出来るわけがないじゃないですか」
「あら~だったら結婚できる年だったら結婚してもいいってことなのね~」
クラスのみんなが大笑いした。
しまった、墓穴を掘った、なんだか最悪の誤解を生んでしまったような気がする。
クラスのみんなから笑いものにされてしまって千春はもうこの場にいることが出来なくなってしまった。
「失礼します」
そういって向こうでピクピクしている狩矢の手をひっぱり教室から走り去っていった。
「不純異性交遊はだめよ~」
怒りに任せて走り去ろうとしている時に先生のとどめの一撃が千春の心に突き刺さった。
こんにちはキンカラキと申します。
聖女物語~世界編~から来ていただいた方、そうでない方もこの小説に立ち寄っていただいてどうもありがとうございます。
いや~すみません、聖女物語~世界編~の前書きにも書かれているのですが、こちらの作品は世界編を描こうと思う前の設定のものです。
やっぱりどうしても書きたくなってしまったので、はじめてしまいました。
世界編に書いたのですがもともとのジャンルは学園ほのぼの超能力バトルだったのですが、もう少し深入りして異種能力者学園SFドタバタバトルにさせていただきました。
さて、世界編では(といってもまだ全然書いてないけど、構想だけはある^^;)とにかくひたすら悲壮感漂う作品になる予定なのですが、学園編では全体的に明るく、ほのぼのしている展開にさせていただきたいと思っています。
とはいってもまあ、バトルですから、それなりの衝突などもあるわけなのですが...
基本的に世界編と、学園編はパラレルワールドと思っていただいて結構でございます。
ですので登場人物、設定、などがかぶるところが多々あるかと思います。
世界編は闇の世界
学園編は光の世界
この両方を連載して行きたいと思っていますので、皆様もしよかったら見ていってくれるとうれしいですm(__)m