7-9 「サボテン連れて合流」
埒が明かないからサボテンマン連れて目的地に向かう。どうせあの辺りも縄張りに隣接してるし、何故かサボテンマンも抵抗してないし。
「サボテンマンはいつぐらいからこの山にいんの?」
「五日前くらいかな。お前さんは普段からこの山に立ち入ってるのかい?」
「俺、昨日から帰省してて山入ったのは今日だけだよ」
「おー地元民だけど地元民じゃなかったぜ」
五日間も歩き回ってりゃ紀陽と清志に気付かれそうなモンだけど……いやどうだ、俺に比べるとアイツらそこまでこの山入らねえか?あいつらだって学校とか忙しいだろうし……。
「……この辺りに水たまりとかないかい?池でもいいんだけど」
「今向かってる合流地点」
「合流……おっと、複数人いるカンジ?」
「友人達が、五人と猿達」
「……まずいな……」
お?何かボソッとまずいとか聞こえたぞ?サボテンマン見たら明らかに目を背けたし。何だ、何かやましいことでもあんのかおめー。俺のジトッとした視線に気付いたのかサボテンマンは少し目を泳がせてからすい、とポケットから鏡を取り出した。
「先に言っておこう。大丈夫、俺は何も見てないぜ?」
「え、何こ……」
ただの鏡じゃん、そういおうとして覗き込んだ拍子に見えた……赤い瞳。
「!!?!!?」
やっべ、そうだサボテンマン警戒して気配消してたから……!慌てて目の色戻してもう一回鏡覗き込んで……よし大丈夫、セーフ。
「……あーその、なんだ。ありがとうございます」
「イヤーナンノコトカナー」
明らかにコイツ分かってて察せ、って鏡出したよな?色が違うことを直接指摘しなかった、そんでコイツ曰く人知を超えた存在の対処するために来たってことは……。
「……お前、どこ所属?」
「おいおい、生憎だが俺はさすらいのサボテン。荒野に転がる草のように定住する気はないのさ……」
否定しなかったな。聞き返しもしなかったぞサボテンマン。色彩持ちか……ヘレティックとリューイ以外の所属があるのかはぶっちゃけ知らないけど、どっちにも所属してないとなるともう見当もつかない。
「因みに俺どこに連行されてんの?合流地点ってことは何らかの目印あるカンジかい?」
「目印っつーか……この山にある祠がよくある場所」
「祠がよくある?そんな移動するみたいな」
「するし分裂もするけど」
「マ?」
あ、サボテンマン祠のこと知らなかったんだ……五日間も大人しくしてたの珍しいじゃん。大体増えたり減ったり移動したりって忙しいのに。……いや紀陽が頂上にあったの確認してんだから、実際はもっと長いのか?じゃあそろそろ動き出すよ。
「祠……設置型っていうよりは領域の目印……」
「あ、おーい玲士ー」
「きょーくん!と……?」
「……サボテン?」
がさりと木々をかき分けた先、少し開けたところに小さめの池と……あれ祠がある。なんだよ移動してんじゃん。玲士が駆け寄ってきたのを受け止めてる俺の耳が、ふと奏さんの言葉を捉えた。
「え、シ……ってる顔だねぇ。お友達だったのかい?」
「奏さん、知り合い?」
「サボテン」
「奏おにーさん、このひと人間じゃないの?」
「サボテンだよ。人の皮被ったサボテン」
奏さん堂々と言い切ったな、言いたいことも分かるな。奏さんの知り合いっての……色彩持ちで確定じゃね?
「何でいるのお前」
「おいおい今の俺はさすらいのサボテンだぜ?」
「ごめん俺サボテン言語はちょっと良く分からない」
「成り行きでこの山にいるだけだから偶然だな!」
「ふーん」
ああ奏さんバッサリ言葉切ったな。ジョーカーっぽい感じの話術だから奏さん的には慣れてるのかもしれない。サボテンマンもすぐに簡潔な言葉に切り替えてたし。




