7-4 「大中小で同じ顔」
「あ、恭也兄おかえりー」
「兄貴じゃんおかえりー」
「おーうただいまー」
「すげぇ、話には聞いてたけど本当に似てる」
「きょーくんに比べると……ちょっと大人しいねぇ」
「多分恭也が煩すぎるだけだと思う」
「そんなことはあるけども」
「あるんかい」
俺の弟、紀陽と清志。全員四歳ずつ離れてるから、絶妙に中学校は入れ違いで毎回周囲に混乱をもたらしてたっけ。卒業したと思ったらおんなじ顔したやつが新入生だもんな。しかも二回。
「あれ、俺より年下の子いる?」
「おれフミ!こんにちはにーちゃんのおとうとさん!」
「うん。俺は清志。あっちの中ぐらいが紀陽兄だよ」
「きよしにーちゃんときよーにーちゃん?」
「そう」
何か最年少同士で仲良くなってるな……フミは割と初対面の相手でもすぐ仲良くなれるよな。来華は一歩引いてるけど。
「今から山行く?」
「そんなホイホイ行けんの?」
「だって裏だし……」
ぶっちゃけ徒歩三十秒とかの距離なのよ例の山。祠は……移動するから一概には言えないけど。人の手はあんまり入ってないけど獣道はあるからそこまで歩きづらい訳じゃないし。
「今祠頂上付近だよ」
「マジ?遠いじゃん」
「祠……なにかいるの?」
「今はいない。増えたり壊れたり移動したりするだけだよ」
「祠とは……?」
ああ来華が混乱してる。フミは興味津々だな……本人怖がりって言ってた割には結構アクティブだよなフミ。
「今日はやめといたら?遠くから来て疲れてるでしょ?」
「んー……ま、先に話を聞きたいよな」
「そうだね。あと……俺弟さんがつけてたっていう観察日記見てみたい」
「あ、あるっすよ。持ってきます」
「んー……ちょっと周辺散策したい。山以外のとこ」
「あ、俺も行く」
「ついてく?」
「んーいや、恭也はいいや」
奏さんなら……そんな迷うこともないか。来華もいるし。フミは清志と遊ぶって言ったから俺は樹と玲士と一緒に日記を見ることにする。
観察日記とは言ったけど、自由研究だっただけあって結構細かく書いてあった。祠の写真とか、どこが変化したのか、とか。なんとなくで把握してたけど、結構細かく変わってたんだなあの祠。
「こうみると……よく大きさ変わってるな」
「よく発生する異変が大きさで?次が数、形……意外と場所は変わらない、と」
「何か意味があるのかな」
ぶっちゃけ怪異だとしたら意味はなさそうだよな……昔散々登って遊んでた俺が無事ってことはそんなヤバイやつじゃないと思うんだけど……猿達がうっかり壊しちゃったときもそんな祟りみたいのはなかったんだよ。大きさは変わったけれども。
「祠、たまに何かしらが供えられてるけどお前?」
「いや?そもそも裏山に登るのってうちくらいなんだけど……そういや誰が供えてたんだろうな」
どんぐりとかブドウとかは山にあったから猿達が供えたっぽい。だけど饅頭とか急須に入ったお茶なんかは……明らかに人の手が入ってるよな。
「弟さんたち?」
「それも考えにくいけど……」
「うちの家族の仕業じゃないっすよ。俺も気になって調べたんで」
「じゃあ不審者か……」
あっつあつのお茶入れた急須をわざわざ祠に届ける不審者、どんな目的でそんなことしてるんだろうな……。




