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解像度×理解度  作者: 霧科かしわ
1 日常とその縁
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1-9 「今日の担当は陽翠さん」

「あれっ新人さん増えてます?」

「奏の知り合いだぞー」

 一気に情報を詰め込まれてダウンしていたら知らない声が降って来た。いや本気で陽翠さんのスパルタ具合がやべーな!?どんどん情報詰め込んでくるし俺が絶妙に覚えきれる速さで情報出してくるし。流石奏さんの同類と言うかなんというか……。

「はぁ、奏さんの……え、じゃあ例の?」

「ううん、こいつは恭也。別の奴」

あーこれあれかぁ……奏さんもしかしなくても樹の話題だけ出してた感じかぁ……まぁそうだよな、そうじゃなきゃシエルさんとかが樹を知ってる訳がないよな。話題には出す癖に意地でも巻き込みたくない奏さんほんと奏さん……。

「恭也……確か同じ大学じゃなかったでしたっけ。俺は関わった事ないですけど」

「らしいなー。自衛させるために呼んだらしいけど、まぁまぁ筋良い!」

「まぁ奏さんなら無意味なことはしないと思ってましたけど、……最初から見抜いてたんですかね?」

「どうだろうなー?どっちでも良かったのかもしんないし」

奏さんの解像度がたかぁい……。まぁ当たり前か、同業者だし俺達より付き合い長い訳だし。っていうか何かさっき聞き捨てならない言葉が聞こえた様な?そろそろと突っ伏していた顔を上げる。

「……えと、大雅(たいが)、さん?」

「あ、はい。初めまして恭也さん。大雅でいいですよ」

なんだっけ……確か演劇系のサークルにいたよなこのひと……いや待て、写真みたことあるけど何から何まで違ってない?こんな髪長くも青くもなかったよな?

「髪青い……髪長い……」

「あ、認識阻害切れたんですね。能力使わなくても見えてるんです?」

「違うぞ、コントロールついでに耐性つけてもらってる!」

「成程」

初動の遅さは普通に致命的だからっていう理由で能力を慣らしてる訳なんだけど、意外と見破ったりとかはまぁまぁ普通に出来ちゃった。イメージする方はまだ怪しいけど。基礎値は高いって陽翠さんに太鼓判押されたからね俺。

「大雅今日は一人か?」

「ええまあ。ソウさん今日は体調が優れなくて」

「付き添いは?」

「藍沢先生です」

困ったときの藍沢先生だぁ……いや単純にあの人が面倒見良いってだけなんだろうけど。

「そうだ、陽翠さんのこと、紫狼(しろう)さんが探してましたよ」

「お!分かったありがとー!恭也も連れてく!」

あれぇ?なんかさらっと巻き込まれた気がするんだけど。大雅はそのままどっか行っちゃったし、何でか俺は陽翠さんに連れられて別の部屋に向かってるし。

「しろー!」

 扉を開けたら暴風域だった。いや何言ってるのか分かんないけど事実。陽翠さんが気にせず入ってったから普通に入っちゃったけど、結構強風で目が乾く!あとその通常トーンじゃ声とか届かなくね!?

「来たか」

スン、って感じで風が止んだ。しぱしぱしてた目をこすって改めて周囲を見渡せば、なんてことはない普通の部屋。あんだけ風強かったのに家具とか無事なんだ……目の前にいる紫狼って呼ばれてたっぽい人から現実逃避しながらそんなことを考える。

 顔立ちは多分今まで見た中で一番整ってそうなんだけど、何だろうもう否定できないレベルで威圧感が凄い。なんていうんだろうな、野生の獣と対峙する感じ……ちょっとでも気を抜いたら頭と首がサヨナラしそうな、そんな感じ。

「こいつは恭也。奏の友人!」

「奏に友人?……いや、失礼。俺は紫狼という」

「恭也です」

んーーーー?何だろうな、この……微妙にフレンドリーじゃない感覚。自己紹介が牽制っぽいんだよ、うまく言えないんだけど。

「紫狼はオレの(つがい)!」

「つがい?」

「そうだぞ!オレの全部は紫狼に預けてて、紫狼の全部はオレが預かってる!」

 ああー!奏さんじゃなくてシンさんとゆっきー時代の関係性!なんか契るとかなんとかいってたアレか!なんだっけ……妖怪が人であるために誰かに心を預けるという性質とかそういうサムシング……。

「え、じゃあ陽翠さんも人じゃない……?」

「待て待て、陽翠、説明してないのか?というか今学習中なのか?」

「?うん」

 紫狼さんが盛大に空を仰ぐ。これあれかぁ……ガチめに牽制してたけど俺が大前提を知らなかったみたいな感じかぁ……。なんか悪いことしちゃったな……。

「ここに連れてきたのも訓練のひとつ!」

「……確かに適応は早かったが、強風は食らってたぞ」

え、もしかしてあの風認識阻害だったりするのか?あーそういえば陽翠さんの髪ボサボサになってない……てことは紫狼さんが現れて風が止んだっていうよりは、紫狼さんが現れた辺りで認識阻害を見破った、って感じかぁ……。

「一週間ちょっとなら充分早い方だろ?」

「……一応聞くが、色彩は?」

「赤!」

「…………まぁ、センスはある方か……」

紫狼さん、苦労人の気配がするな……。さっきよりかは威圧感が減った状態で紫狼さんはソファーを勧めてくる。仕草自体はずっと丁寧なんだよな。ちょっと威圧感だけバグってるだけで。あと陽翠さんに対する独占欲が強そうな気配がするだけで。

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