29-20 「スライム Lv100(その九)」
俺が正面から斬りかかれば隙を縫うように恵斗が背面へ回る。今まではそれでも厳しいモンがあったが……樹という最大級のバフを得た俺達に死角はない!
「限界を越えろ!」
「うわあっぶねぇ!?」
悠人さんも本気ってか!素手から弓矢に持ち替えた悠人さんは俺達に距離を詰めさせまいと雨のような矢を放つ。はっはっは明らかにその弓から放てる量の弾幕じゃないのよ、その弓は飾りか。
『召炎』
「炎の矢!」
「うるせぇ消火してやんよ!」
「気を付けろ二段構えだ!」
『召粉』
「粉塵爆発ヤメロォ!!!!」
あんだけ叫びつつも完璧な対処をする樹が恐ろしいわ。つか粉も呼べるのどう考えても現象じゃないと思うんですけど。壁時点で今更か?今更か。
「そっちがバーニングするなら俺は雨を降らせる……!」
「降るもんが雷になるだけだぞ」
「そっちの方がノーセンキュー!」
正直まだ炎の方が対処しやすいよね。なんならステラさんに纏わせることも出来るし。雷は駄目です初動が早すぎて制御権奪えん。
「進捗!」
「もっと頑張れ!」
「まだ足りねぇってよ!」
「うおぉおお加速しろぉおお!」
悠人さんがまだまだ余裕だってんなら俺は更に加速して思考リソースを消費させる。質より量だよこういうのは、攻勢に転じれないくらいの攻撃を与え続ければそのうち余裕だって削れますよね!
距離を詰めるために敢えて動きを止める。弾幕に切れ目はないが死角はある、具体的には背後。背面テレポートを使用して斬りかかれば悠人さんは嫌がるように壁を生成した。
「ふははこの壁は見えるもんなァ?つまり物理攻撃がちゃんと通る!」
『っ』
「壁一枚で防げると思うなァ!!!!」
イメージはトウヤのバット!正直あのバットはバットでちょっと強すぎる気がするけど!何でも壊せると俺がイメージしたらそうなるんだよ!そら二発目だァ!
「お前と悠人さんを切り離す……!」
俺の攻撃に合わせるようにして恵斗が一発入れた……!しかもアレ俺の攻撃より効いてる気がする!幽撃に近い気配を感じたんですけど、恵斗は幽撃使えないはずだよね?恵斗のセコムだから使える説もちょっとある?
「そら畳みかけろ!」
「駄目押しで追撃!」
「もう一太刀!」
悠人さんが姿勢を整える前に樹の術式が飛んで明確な隙が生まれる。ここまで来たら正真正銘大詰めだ、俺と恵斗も防御を捨てて一気にとどめを刺さんと攻撃を重ねる。段々と押されていった悠人さんが恵斗の一撃を喰らった瞬間、逃げ出すように人魂みたいのがくーちゃんの方へ飛んで行った。
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