29-19 「スライム Lv100(その八)」
「お、良い感じじゃねぇの」
「樹!」
「えっちゃんもいるぞ」
「えっちゃん!!!!」
えっちゃん復帰だぁ!!!!ちょっとだけへらりと柔らかな笑みを見せたえっちゃんはそのまますぐにいつも通りの表情に戻る。
「何あのスライム。解釈違い」
「悠人の情報をフィードバックした虚卵」
「解釈違い」
「安心しろ今から概念バトルだ」
概念バトルなんだ……。それ初耳なんですけど。ひょっこりと二人の後ろから顔を出したくーちゃんも手元で何か……え、本当になにしてんだ?
「粘土……?」
「これ?スライム」
「今この場でスライム触るの大分ガッツがありますね……」
「余もそう思う」
「なんでだよ」
思わず突っ込んじゃったじゃん。つまりスライムを弄ってるのはくーちゃんの意思じゃないと……?どっちも言い出しそうで分からねぇ……!
「さて、討伐すっかアレ!」
「お、さては何か案があるな?」
「そりゃ勿論。あるに決まってんだろ」
樹がこんだけ自信満々ってことはさぞ大変なんだろうなァ!俺こういう時の樹の作戦が簡単だった試しがないよ。
とはいえ、案があって可能性があるならそれを実行出来ればいい。人が増えたことが余程不思議だったのか悠人さんの動きがないことを好機と見て樹は俺と恵斗を傍に寄せる。
「やること自体はシンプルだ。あのスライムの本体をくーちゃんが持ってるスライムにする」
「成程概念バトル……」
「待ってくれ、俺は良く分かってないんだが」
「いや樹にしては本当にシンプルだったよ。くーちゃんが持ってるスライムにあのスライムの意識を移すってこったろ?」
この場においてくーちゃんの作るアイテムは軒並み主導権があっちになる。それは単純にこの空間においては悠人さんおよび悠人さんを取り込んでるあのスライムが優位だからだ。じゃああのスライムを追い詰めて優位を崩せれば――――そう、くーちゃんがこの空間を支配することも可能って事よね。
「幸い恭也は攻撃を当てられる。そんでもって恵斗は基本的に有利。えっちゃんとくーちゃんには全力で主導権を奪ってもらうとして……三人でアイツを締めるぞ」
「おっけ。全力戦闘ってことね」
「言いたいことは分かったが……いやそうだな、出来ることがあるなら全力でやるか」
恵斗も腹を決めたらしいな。俺と樹はもう最初からやる気満々なんでね、三人いれば人手も足りるし攻撃だって届くよ。
「さぁて……こっからが本番だ、覚悟は良いな!」
いい加減返してもらうぞ悠人さん!
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