6-7 「心を燃やして頭で冷却」
感情のままに動くのはいつだって愚策。それくらいの判断は出来る。だが、同時に俺の本能がこう囁くんだよなァ…………全部無視してぶん殴れってよ!!!!
「限界超えて走ってやるよ!!」
作戦?解析?んなもんアドリブじゃオラァ!見てから避けられるなら見せずに当てればいい。過程をすっ飛ばすのもいいけど今回は確実性を取りたい、つまりこれはそう……対面に攻撃判定だけを飛ばす!!!!
「おっ」
おう実質不意打ちだぞ少しはよろめけや。一回、二回までは誤魔化せる、だけど三回目は見切られる気がするから……条件をずらす。
攻撃判定だけを前方へ。遠くで止められないように近距離での戦闘を心掛けて、対面も混ぜながら相手に隙を与えない。さっきと変わらず相手からの攻撃はない、が、明らかに防ぎきれず攻撃が掠めるシーンは増えた。
対面、前方、追加で貫通もやってみっか!脳が処理落ちする前に俺が世界をバグらせる!この程度で世界は軋まない、本気でやるならもうちょっと速さと質量がいる。今回必要なのはこの極小範囲における優位性だけだ。最小限の範囲で最大限の成果を叩き出していけ。
「その程度か?」
「寝言は寝ていえ」
まだ余裕ってことかよくそったれ。攻撃は掠めてるけどまともに入ってるわけじゃない。実質無傷って言われたら反論は出来ねーな!!!!それでもさっきより呼吸は早い!俺もお前もな!!!
テンポは落とすな、呼吸を整えさせるな、出来る限り意識を逸らして呼吸を奪え。無意識につけ込んで、意識を操作しろ。思考はいい、どうせ後からついてくる。
踏み込みはまだ浅い、けど深入りしたら適当にいなされる確率が上がったのは間違いじゃない。コイツに俺が反射神経で勝つのは無理ゲーに近くて、情報戦で勝つのも多分難しい。唯一俺がコイツに勝てる部分なんて距離を一瞬で詰めれることくらいなんだから、距離感さえ間違えなければ食らいつける、まだいける。
「方向性は決まったか」
「お前を殴る方向は決まったよ」
「机上の空論じゃないといいな」
うるせぇ殴るっつったら殴るんだよ!俺に二言はねぇ!!!ちょっと意味合い変わることはあるけど誤差だ誤差!!吹っ飛ばせばグーじゃなくても殴った判定です!!!!
「まだまだいける……!」
「俺には大分きつそうに見えるがな」
別にまだ脳が焼き切れそうな感覚はない。思考は鮮明だしテンションはほどほどに高めの状態を保ててる。だけど、コイツの呼吸がどうしても奪えない。教えた本人だから……っていうのが理由ではないな、これはもう本能に刻まれてるレベルでコイツは呼吸を乱すことがない。呼吸は乱れないし感情の波も荒ぶらない。まるで機械みたいな精巧さとガラスみたいな透明性、やっぱコイツソウさんそっくりだわ。




