6-5 「フリーでフリーダムな傭兵」
会話をしてもしなくても通路は終わらない。……流石におかしいよなこれ、直通で行けるってのは間違いじゃないと思ってるけど……。
「一志」
「ああ。……少し負荷かけてみるか」
一志は少し首を傾けて……何もない虚空へと大きく拳を振った。ちらりと瞳が色を湛えて、世界に圧がかけられる。前に見たあの”何か”が見えないまま気配だけを顕現させる。
「……いけそう。警戒して」
「おう」
何が起きてもいいように警戒だけはしておく。大体は足場か盾でどうにかなるとは思ってるけど、油断して初手落ちとかは勘弁だぞ。
「3・2・……」
「いち」
「っ!?」
やべえ何か引っ張られた!?抵抗する間もなくほっぽり出されて、それでも地面に衝突する前にどうにか体勢整えて着地する。
「誰だ!?」
背筋が粟立つこの感じ、間違いなく強い……!煌々と光る赤い瞳が、俺を映している。あくどい笑みに見えるけど嫌な感じじゃない、どっちかというと悪童とかそういう感じの言葉が似合いそうな……。
「傭兵だよ。フリーのな」
敵ってことか?ピンポイントで引っ張られたってことは間違いないんだろうが……こいつが通路おかしくしてた犯人か?
一志はいない。先に進んでくれるなら俺は足止めでもなんでもやってやるさ、俺の直感がコイツをフリーにしたらやばいって囁いてる。俺が最高にハイテンションでも互角張れるかどうかって感じな気がするんだよな!
朱鳥もひいらぎさんも正気じゃなかった。来華は緑だったしあとはそもそまともに戦ってないし。つまりどういうことかっていうと、俺はまともに色彩赤の相手と戦ったことがない。
「リューイがどんな組織か分かってて雇われてるんだよな?」
「……さァな」
濁すんじゃねーよ!!それによってこっちは対応変える必要があるんだぞ!?説得出来るか先手で叩くかはお前の反応にかかってるからな!!
「俺はやるべきことをするだけだ」
「ちゃんと仕事人じゃねーか!」
ああくっそやるしかねぇよなぁ!?気持ちで負けないようにテンションは高めにしておいて勢いをつけて殴ってみる。……今見てから避けたな?こいつもフィジカルつよつよ族か!!
「直線すぎて避けやすい」
「るっせ!」
「切り返しにキレがねぇなぁ?使えるモンは全部使ってけよ」
小石を足先で頭上に蹴り上げて……顔面狙いのパンチが飛んできたから仰け反って……いやこの小石の位置はまずい!!
「くっ……!」
おいそんな都合よく目に小石が入るような調整とか出来るのかよ!!目を閉じるのはまずい、だったら小石は弾けば無問題!
「使ったな?」
「っ!?」
能力を使わせることが目的かよ!?いやそうか、使ったらそれがどんなイメージであれ少しだけ隙は発生する!
「リスクってのは常に念頭に置いとくもんだ。一般的な戦闘において能力は一種の切り札、そう易々と使わないことで相手の思考を制限する」
「お前はずっと色彩使ってんじゃねーか!」
「でも俺が何の能力なのかは分かんないだろ?」
それはそう!常時発動させてるってことはどういう能力なんだろうなぁ!?




