5-14 「昔話と真偽」
「少し、昔話をしようか。明保野恭也」
何か名字まで知られてるのやだな……動けない俺を気にする様子もなく相手は愉しそうに口角を上げる。絶対お前性格悪いだろ。
「この状態でするの嫌なんだけど……」
「此方としても心苦しいがな、貴様は拘束などものともせずに暴れるであろう?なに、少しだけの辛抱だ」
何だコイツ……いつでもどこでも俺が暴れると思ってんのか?流石に俺だって話聞くときに暴れたりはしねえよ。
「リアン、降りてくれー」
「流石に上司の指示は無視出来ない」
あいつが上司かよ!つまりリクの協力者ってことだよな?えーっと何か情報あったっけ……どっかに所属してないってことくらい?
多分リューイとは敵対関係だろうから差し迫った危険はない、はず。リクは別に敵対してなかったし、リアンはここに来るまでに協力してくれたし。……多分目の前のやつは、朱鳥を助けるのに協力してくれた?っぽいし。俺が大人しくなったのを了承と捉えたのか、相手はゆるりと口を開く。
「リューイで今も信じられている迷信。戯れ言のような伝承を知っているかね。”全ての色彩には意味があり、全ての色彩には罪がある”、古くに六色が結託しあの組織の骨組みを作ったからこその逸話だが……教団の末裔が離反し、あの追放者もまた忘却され利用された現実があるように、今あの組織は教会に全ての都合を握られている」
知らん知らん知らん。情報を急に出してくんな!えーっと色彩に意味がある……ってのはソウさんが言ってた青が人外とかのアレだよな?教会はともかく教団って何だ、あと追放者って何ですか忘却ってくだりはゆっきーしか知らないけど!?
「真実の隠蔽を選択した研究所は決して灌げぬ罪を犯し、その罪深さに気付いた神代の一族はせめてもの足掻きのように原初の枷をひとつ壊した。生まれた幼き命達はばらばらにされ、結局誰も逃れられず今に至るということだ」
「それ、は……」
「小さな命を知っているかね。指の一本すら満足に握れやしない幽かな温もりだ。利用価値以外の全ては不要とされ、満足な安寧すら与えられない。否を唱えれば排斥され、守るためには偽るしかない」
……俺は朱鳥の境遇しか知らない。けど、朱鳥の過去をみたときにやけに幼い子供がいたのはみている。丁度朱鳥と同じくらいの子供、そして、リューイによって被害を受けたと思われる保護者達、守るために情報を伏せたシエルさん達。全部全部当てはまる。
「……なんで、あんたがそれを知ってる」
「…………さて、何でだろうなぁ?」
不穏ムーブ腹立つな……。俺が何も知らなかったらこいつが黒幕だと思いそうじゃん。でも残念ながら俺はこの目の前にいる奴が黒幕じゃない……それどころか、多分味方だってことを知っている。
「奏さ、……シンさんが、「シエルより前にリューイの現状を変えたくて飛び出した」同僚がいるっていってた。すっげーガッツがあって情報抜かれないように立ち回ってどっか行った奴」
「……ほう?」
「そいつ、最近また暗号を潜ませてたんだよ。シンさんがそれ見て懐かしそうに微笑んでた。シンさん曰く、「あいつは認めないけど俺は気に入ってた」って。……あんただろ?」




