5-13 「謎と声」
さてどうするか。別に先手打って攻めでも逃げでも良いんだが……朱鳥とひいらぎさんの方に行かれるのは困る。相手の出方次第って感じだな。
「お前、何の目的でここにいる」
「取引です。楽園種族、重ねて旧式などもう廃れたものだと思っていたので」
楽園種族、の旧式?おい知らない単語に追加パーツ着けんな。旧式ってことは新式もあるの?種族の新旧って何??
「よく分かんねーけど……取引ってことはお前、敵対してるって認識でよさそうだな」
「そうですねえ。貴殿が彼の聖杯を保護するのなら、此方としても少々手荒な真似を行わねばなりませんね」
「じゃあ敵だよお前」
一応武器だけ出しておく。俺の勘だけど、コイツは今ここで倒しておかないと後々まで引きずりそうな気配があるんだよな……リューイ所属でもない一般人倒すっての、大分気が引けるけど。
「一応聞くけど、手を引くつもりは?」
「ありませんね」
「ふーん」
勢いつけて肉薄して、そのまま思いっきりぶん殴る!見た目は普通のハンマーだけどどっちかっていうとピコピコハンマーイメージだから気絶で済む、はず!
「一応縛って転がしとくか……?」
何の抵抗もなかったのはちょっと気になるけど、傀儡とか使われてないしこっからホラーみたいな動きすることはないと思うんだよな……正直嫌な予感はするけど強そうではないし、先手さえ取れれば弱いタイプの相手かもしれないし。
「俺もさっさと合流すっかぁ……」
とにかく一回連絡だけでもとっときたい。未だに連絡とれてないの、そろそろ俺が行方不明扱い受けそうなレベルだもんな……。
別にスマホを弄っていたから……ではないけれど、俺だけだし人の気配はないしで油断していた。するり、と覚えのある風が吹く。音もなく、気配もなく、ただ風だけが俺の頬を掠めて奥へと向かった。
「え」
あれこれデジャブ。さっきぶり二度目の邂逅。リアンがしれっとコレットさんの首を飛ばして……首飛んでる!!!?!?
「……!!!?……!!?!?」
「?」
「よく見ろ馬鹿め。それは外装だ」
え、外装……あ、血も出てないし中身空っぽ……えーっと、つまりコレットさんも人形?
「奴は”蒐集機関”。あまねく種族の一を蒐集、保管する個人機関だ。見つけ次第再起不能にしろ、奴らは個にして群とかいう非常に厄介な性質を持っているのでな」
「一匹見たら三十匹」
「ゴキかな?」
リアンに関してはちょっと躊躇いがなさ過ぎて怖かったけどな……説明なしでのあの現場はホント混乱しかないのよ。
「……っつーか誰だよ!」
俺とリアンの他にもう一人。リアンとほぼ同時に現れて、自然な流れで会話に入ってきたやつがいる。しかもこの声聞いたことあるぞ、俺に選べって言ってきた奴じゃねえか!
「躾がなっていないな」
「何言って……!?」
べしゃりと地面に突っ伏す。音もなく忍び寄ってきたリアンによって強制的に這いつくばる形になった俺の視線の先、コレットさんの頭以外がある場所に人影が現れる。
「さて」




