4-12 「休戦、赤と緑は話し合う」
「え、フミも人形なの?」
あ、やべ、思わず口はさんじゃった。シリアスな雰囲気壊さないようにしてたけど、流石にあんな悲痛な声聞いちゃったら……ねぇ?
「じゃあこれで解決する?」
ギルベルトさんから渡されたシンプルすぎる人形。俺は詳しいこと分かってねぇけど、多分使えるんじゃねえのかな。有効的に使えって言われたし、何かしらの使い道があるんだろ。
「ほいフミ」
トリモチで動けない俺に寄ってきた……いやもう流石に解除して良いか、イメージを一回消して持ってた人形をフミに渡す。胸の前で抱きしめられた人形は溶けるように吸い込まれて、茫然としてる来華にも人形を握らせる。
「来華、おれと生きてよ」
「そんなの」
「じゃあ言葉を変えるね。おれのために生きてよ。擦り切れて壊れかけの俺の欠片でしかないおれを、来華という存在で上書きして?」
「……ばか」
あざとく微笑んだフミに泣きそうな表情で応えた来華。……うーん俺邪魔じゃない?毎回思ってるけどどうして感動シーンに立ち会っちゃうんだろな……本人達気にしてなさそうだからもう俺も良いんだけどさ。
来華が無力化されてこれにて解決!……とはならないのがつらいところ。いや、流石にここである程度の情報は話してもらうけどさ、駒、って言われてたしそこまで期待は出来なさそうなんだよなー……。
「来華、お前に聞きたいことがあんだけど」
「ん……俺が知ってることなら」
「今回の騒動のあれこれそれと、この結界の術者の居場所」
「騒動の詳しいことは俺は分からない。術者の場所も……ただ、”アスカ”という人物が、聖杯だというのは聞いた」
「朱鳥が?」
行方不明になった朱鳥の名前、ここで聞くとは思ってもなかったぞ。朱鳥が聖杯っていうのは……確か聖杯って奇跡を集積して実行する器、のはずだよな?朱鳥という存在がその器である……ってこと?
「俺が指示されたのは結界の楔となる地点に人柱を置くことと、その防衛。主に色彩が青の相手のところに向かうように指示されていて……二か所はお前と会った通り、他の場所は対応してきた色彩が青ではなかったり向かう前に潰されたためこちらに指示はこなくて、もう一か所は青だったけれどあまりにも暴れて手が付けられなかったので先に潰されていたここを起動することで無問題にしようとした」
色彩青で暴れ回ってる奴。誰だろなぁ……?少なくとも大雅じゃないのは確かなんだけど、俺結局あの謎の人のことを知らないから青藍って人と紗弥って人の色彩は知らないまんまなんだよな。
「そんな暴れてる青いるんだ……」
「らしい。俺は知らないけどリューイに所属していたことがあって、今は大学に通ってるとか」
奏さん!?もしかして奏さん勝手に暴れてるナウ!?行方不明じゃなかったの!?でも確かに奏さんなら手が付けらんないと思います、ハイ。
「……あれ、待って?中継地点ってどっか一か所起動するだけでいいの?」
「極論人柱にされている相手の負担が増えるだけだよ」
えーっとちょっと待って??俺が通過したのは今いるここ合わせて四つ、残りの二か所は多分大雅のところとその推定奏さんがいるところ……その二か所って現在どうなってんの?
「来華、今他の場所がどうなってるか分かったりしない?」
「ええと……まだ起動する可能性があるのは、その暴れてる青がいるところ」
おい暴れるだけ暴れて目的達成してねえぞ!!!!!いやそもそも何で暴れてるのかも分かんないけどさ、結晶の存在を知らない可能性すらあるよな……。
「じゃあ急いでそこいかねえと……!」
「俺も行く」
「おれも!」
フミと来華がついて来てくれるのは心強いけど、多分連れてくより藍沢先生辺りに指示仰いだほうが良い気がするんだよなー!!取り敢えず暴れてる青のところに行く方が先決だから突っ込まないけどさ!!
「恭也さん!」
「あれ大雅!?」
元の場所に戻ってきたら何か大雅が誰か背負って走ってきてた。後ろでぐったりしてるの……ひいらぎさんじゃん!
「大雅どうしてここに……」
「中継地点で青の呪いの劣化版と戦いまして、そのあと結晶に入っていたひいらぎさんを助けられたので一度ヘレティックに戻ろうかと。あの、ソウさんは……」
「ソウさんは樹と一緒に避難してるはず」
あ、明らかに大雅がほっとした表情を浮かべた。俺の近くにいる来華とフミを見て、そうしてから首を傾げて口を開く。
「あの、そちらのお二人は……?」
「来華とフミ。来華は例の緑だったけど和解した。今俺は何か暴れまくってるらしい青のところに行く予定」
「暴れ回ってる……え、誰です?」
「奏さんっぽいけど……分かんね」
色彩青で大学生で元リューイ所属。これだけ聞くと奏さんだよ奏さん。しかも暴れてんだろ?もう確定じゃね?
「成程……あの、恭也さん一人にするのどうかとは思うんですが、情報精査のためにお二人を一度ヘレティックに連れて行ってもいいです?」
「お?オッケーオッケー。最悪俺はその青と合流すればいいし!」
奏さんだったらいいなー知らない人じゃなかったら取り敢えずヨシ!




