4-11 「継戦、赤は笑い緑は焦る」
過程はいらない、必要なのは初動と結果だ。全力で叩きのめすとはいったがあくまでも俺は前座だってことは忘れちゃいけねぇ。ハイテンションになって目的忘れる前に片をつけてーけどな!!!
「威勢の割に苦戦してるようだが?」
「おうおう良く回る口じゃねえの……!無口キャラが出来てねーぞ!」
「別に無口を演じてた訳じゃないが」
だまらっしゃい!!こちとら口回しながら脳内フル回転で目が回りそうなんだよ!!!!初動はそのままで過程だけすっとばすってなんちゃって瞬間移動とおんなじイメージで行けるかな!?いや一回やって失敗したら対処される可能性があるから確実性取った方が良いのか!?演算者わかんねー!!!
振り抜かれたツルハシをしゃがんで避けて胴体目掛けて剣を振る。明らかにクリティカルヒットするはずの攻撃はしかし当たりすらしない。ツルハシが戻ってくる前に態勢を整えながら下がって、踏み込みで背後に回る、これは演算者で防がれた。
「人力でTASみたいな動きしやがってよぉ……!」
せめてブラフくらい引っ掛かれや!一瞬の躊躇いもなく無視されるの普通に傷付く!たまに目に色が入るからそのタイミングで演算なりをしてるんだろうけど、分かったところでどうにか出来るもんじゃねーのがな……。
「……ま、この程度で諦める理由にはならねーけど!」
考えろ、コイツ攻撃は一切当たってねえけどトリモチトラップには引っ掛かったし一発だけ殴れてんだ、絶対演算に抜け道がある筈!
「…………イチかバチか、だが!!」
「っ正気か!?」
逃げられないようにフィールドを設定して、その上で全範囲にツタを出現させる!!来華は勿論俺だってタダじゃすまない、案の定来華の瞳は深い緑に染まってる!
「くそっ……!」
「ははっ」
やっべ思わず笑っちまった。そうだよなァ自分ごと巻き込む攻撃って、直前で恐怖に駆られたりしない限り逃げ場所って作られねぇからほぼほぼ確定攻撃なんだよ。まぁそりゃツタぶっ刺さったら痛いに決まってるけど、こうでもしなきゃコイツに一撃入れらんなかったし。殴りじゃないけど。
「馬鹿なのかお前!!」
「お?作戦通りだが?大体お前、敵対してるんだから俺がどうなろうとどうでもいいだろ」
「っ……」
まぁまぁ全身を掠ってったツタは普通に痛い。対する来華は……あー肉体ないってマジなんだな、服は破れてるけど怪我らしい怪我はしてねえや。
「……こんな馬鹿に付き合ってられない」
「いててててて」
おい首根っこ掴むな引っ張るな!こちとら全身切り傷の軽傷者だぞ!もうちょっと丁寧に運べー!
「さっさとここから出ろ。もうじきここは……」
「崩壊する、でしょ?」
反応速度は流石の速さだった。けどこいつはどうやら俺が馬鹿だってことを失念してたらしい。くらえトリモチトラップパート2!!
「コイツ……!」
「はっはっはかかったなァ!!!!」
即興アドリブだけどな!!俺もなにすんのか知らねえんだ悪かったな!!
前回もやられただけあって逃げるのは無理と悟ったのか、来華が硬い表情で声の主であるフミの方をみやる。……微妙に揺れてるの、多分トリモチ振りほどこうとして来華が手をブンブン振ってるんだろうな……逃がさねーけど。
「来華、逃げようよ」
「……逃げられないのは、お前が一番良く知ってるだろ」
「うん。来華は戦うために作られたし、おれは生まれすらしなかった。それでも来華はおれを逃がして、こうやってひとりで消えようとした」
「分かってるならもう話す意味なんてない」
「だからね、今度はおれが来華を逃がす番だ」
フミの取り出した精巧な人形を見て来華は見当がついたらしい。一歩下がろうとして俺が動かせない事実に気付いたのか揺れが強くなった。
「生きてよ来華。おれが、お前のことを肯定する。戦い以外も出来るって、望まれるまま生きるがらんどうなんかじゃないって、おれが、お前のことを定義する」
「駄目だ」
「駄目じゃない」
「だってお前は!!そんなことしたら、お前の存在は!!」




