4-7 「結局何もわからない」
取り敢えずあの中継地点はあの謎の人に任せて、緑を追いかける方に戻ったわけだけど……偶然かな?次の中継地点に向かってる気がするんだよな……。
フミはあの問答の後から口数が少ない。思い詰めてるようにも見えるけど、俺がそもそも問答の意味を理解してないからあんまり適切な言葉を投げ掛けられる気がしないんだよな。
「……にーちゃんはさ、ああいう化け物とかと戦うとき、怖いとか逃げたいとか思う?」
「え、うーーーーーん……」
どうだろ、緊張したり驚いたりとかはするけど、いうてそれだけだな。正直味方の挙動の方がよっぽど怖い。逃げたいかって聞かれると……そもそも分かってて飛び出してるようなモンだしな、覚悟してるから逃げるとかそういう選択肢はハナからねーや。
「俺は……正直にいうと、ねえな」
「そ、っか……」
「あ、でも戦闘中とかに怖いって感じることはあるぞ!それが怪異に対してじゃないだけで!」
「怪異じゃない……?」
「ほら、味方の発想とか挙動とか、正直あそこまで突拍子もないことされると感心するってーか引くってーか……ああ、踏んできた場数が違うんだなって思う」
ぶっちゃけ能力じゃない部分が強すぎるのはなんなんだろうな。主に身体能力ですけど。空中走り抜けるのは流石に能力であってくれよ……。
「味方……」
あれ、コミュニケーション間違ったかな!?フミの沈黙に俺が慌てて口を開こうとしたタイミングでフミが口を開く。
「おれは、怖いとか逃げたいとか投げ出したいとか……俺が持ってられなかった部分だから、にーちゃんみたいに思えるの尊敬する。おれ、はきっと俺すら気付かずに擦り減ってったその欠片だし……あいつが持ち得なかった欠片のひとつだから」
「……」
……こんな小さな身体で、下手すりゃ見た目より幼いだろうに、よくもまぁ色々考えて思い詰めてるもんだな。こんな子供ほっぽり出してどっかいったであろうあの緑の奴、一発殴っても良いかな??
「でも、お前はちゃんと逃げてねーじゃん」
「え……」
「お前の目的が何であれ、俺と一緒に緑の奴を追っかけてる。絶対止めるって言いきってる。怖いっていう感情があっても、お前の選択は、ちゃんと前に進むモンじゃねーの?」
別に頭の中で何考えてたって良いじゃんか。俺なんか四六時中脳内で突っ込みいれてるけどそれで困ったりはしねーし。脳内はうるさいぐらいがちょうどいいんだよ、知らんけど。
「お前が擦り減ったその欠片でも、欠片のひとつでも、今ここにいるお前は誰かの代わりじゃねえ。お前しか出来ないことがあるし、俺はお前だから力を貸してる」
メンタルケアとかガラじゃねーけど、子供なら元気よく笑っててほしいじゃん?湿っぽい空気とか、自然現象以外ではお断りだわ。
「……にーちゃん慰め下手だね」
「うううううるせー!」
おいやめろ気にしてるんだぞ!?シリアスな状況とかそういうの苦手だからどっちかってーと有耶無耶にして笑い飛ばして―もん!そういうのは玲士の役割!どぅーゆーあんだすたん!?
「うん。……にーちゃんの言うとおりだよ。おれはおれ、それだけは確かだ」
あー取り敢えず吹っ切れたぽい……のか?表情が晴れ晴れとしてるから今のところは大丈夫っていう認識でいいんじゃねえかな。……詳しいことは良く分かんねーけど。




