4-5 「流れるような巻き込み」
「樹くんは俺が責任もって保護するから、恭也くんは玲士くんを助けてあげて」
「分かりました!」
ソウさんの後押しも受けて全速力で走り出す。玲士専用スマホはちゃんと玲士の居場所を示していて、定期的に動いてるってことは玲士がスマホを落としてたりはしないんだろう。とにかく急いで保護しようと位置情報確認しながら前へ前へと進む!
「この先っ……!」
地面普通に走るよりちょっと空走った方が早いからって理由だったけど、その結果視界がいつもより高くて視野広がってたのが幸いだった。絶対見間違えるわけない玲士の後ろ姿と、そこに迫る黒い複数の人影!
「玲士ー!」
「っきょーくん!?」
人影と玲士の間に割り込んでそのまま砂煙をイメージ!目眩ましじゃオラ大人しくしてなァ!玲士と傍にいた何かを抱えて猛ダッシュで逃げる!逃げるが勝ちって言うからな!!
ある程度離れたところで玲士と……子供を地面に下ろす。二人はちょっと砂煙で汚れてたけど怪我はなかった。いや本当に良かったよ樹頑張ったんだろな…………樹が頑張ってるのに奏さんどこ行ったんだろなぁ……。
「玲士、大丈夫?怪我ない?」
「うん。きょーくん、助けてくれてありがと」
ふわっと微笑んだその表情が何よりも至高……!数時間ぐらい噛み締めたい笑みだったけど、状況的にそれどころじゃないからとりあえず隣の子供にも話を聞く。
「えーっと、樹からコイツ迷子って聞いたんだけど」
「きょーくん樹と会ったの!?無事だった?」
「あー無事。今は安全なとこにいる」
「良かった……!この子、迷子らしいんだけど、さっきの人達がずっと追い掛けてきてて」
「ふーーーーむ……おいこど……ええと……少年!名前は?」
「フミ」
「フミか。フミ、お前、あの追っかけてきてた奴らは全然見覚えねーの?」
「……ええと」
あれ、何か変な反応してるなコイツ。ちょっとだけ玲士をみて言葉を詰まらせて……?ふるふると首を振った。
「んーーー……何か街の様子おかしいし、玲士とフミには安全な場所にいてほしいんだけど……」
「でも、フミくん迷子だし……」
迷子はともかく、安全な場所ってどっかにあるかな?取り敢えずこの結界破壊しなきゃ玲士は死ぬかもしれないっていう事実がずっと背中にのしかかってるんだけど。
「おっと恭也くんお悩みかな?」
「え、……鎮さん?」
どっから来たこの人。神出鬼没だなこの人。にこーっと笑うのは警戒心を解くためなんだろうけど、胡散臭すぎて二人に引かれてる。青藍なる人のところに行ったんじゃなかったのかよ。
「俺安全な場所、知ってるぜ?」
「マジっすか?」
「マジマジ」
おー胡散臭いけど良い人。正体現すと正気を削るヤバい人だけど。取り敢えず玲士とフミだけでも保護してもらおうかな。他の場所の進捗気になるし。
「にーちゃん。きょーやにーちゃん」
「お?」
「……ちょっと、話があんだけど」
「……!」
瞬き二回。数秒だけど確かに見えた薄い朱の瞳。リューイの関係者説は出てきたな、未所属の赤っていう可能性もあるけど。少し用事があるっていって離れてからフミが俺に視線を向ける。
「おれ、ひとをさがしてんの」
「人探し?」
「うん。緑の目をした、眼鏡かけたリューイにいるやつ」
「……!おい、そいつ今俺達と敵対してる……」
「敵対なんかしてない!あ、いや、…………あいつ、それしか知らない、から」
……どっちも訳ありっぽいなこりゃ。こいつはこいつでリューイに追われてるし、緑のやつは緑のやつで戦うことしか知らない?っぽいし。
「……その探し人に会ったら、お前止められんの?」
「止める!絶対止める!」
あーこれ玲士には絶対言えねえな。こんな子供に取引持ちかけた挙げ句危ないところに連れてくとか。ぶっちゃけ俺、玲士が無事ならもうそれで良いみたいな精神構造してるからそれ以外の選択に良識とか求める方が間違ってるよ。
「玲士、俺はフミを目的地につれてっから、鎮さんと一緒に避難して」
「わかった……二人とも、気を付けてね」
「おう!」
「うん!」
「ファイトだぜ恭也くん?」
フミと一緒に見られてる範囲内では徒歩で移動して、視界から外れてからフミを抱えて空中を駆ける。やっぱ地面走ると障害物多いからね、あと単純に視野が広くなる。




