3-10 「実はブラインドタッチも出来る(大きさ的には不可能)」
『余』
『余』
「あれこれえっちゃんくーちゃん……?」
非常に見覚えのある一人称が見えたんだけど。俺の知り合いで一人称余、えっちゃんくーちゃんしかいないぞ?
『生存確認』
『既読無視は許さぬ』
なんだなんだ?トークの名前悠人さんだし勝手に打ってるっていう認識でいいのか?取り敢えず返信はするけど。
『えっちゃんとくーちゃん……だよな?』
『ひかえおろー』
『年上だぞ敬えー』
ああ反応あった。……年上って悠人さんがってことだよな?悠人さんの能力だから年上なの強ち間違ってないんだろうけど。
『急にどうしたんです?』
『冗談であるぞ無礼講じゃ』
『敬語はいらぬ堅苦しい』
『どっちだよ』
思わず突っ込んじゃったじゃん。普通に返信早いんだよなあの二人……。
『ふむ、異常はなしか』
『ならばよし。ご苦労であった』
『あ、説明はない感じ?』
『詳しくは他の者に聞けい』
『今日なら大雅がおるじゃろう』
二人に説明する気はなし、と。……これ逆に考えると今日ヘレティックに悠人さんいないんだな?まだ寝てるだけかもしれないけど。
詳しいことは他の人にきけって言われたし大人しくヘレティックへ向かう。あ、本当に大雅いるじゃん、ソウさんもいる……!
「こんにちはー」
「こんにちは恭也さん」
「こんにちは恭也くん」
ソウさんいつみても”””美”””みたいな顔立ちしてるな……。呪い受けてた頃に比べると顔色が良いの、本当に良かった……恵斗と会ったときはまだ良くなったとは言えない状態だったからね。
「あの、悠人さん……というか多分えっちゃんとくーちゃんから生存確認されたんですけど……」
「ああはい。……実は今、連絡が取れない人が数人いまして」
あ、じゃあ本当に生存確認じゃんアレ。既読無視許さないっての、俺がちゃんと反応するかまで確認したってことだよな?言葉はアレだったけど有能過ぎない?
「連絡取れない人……大丈夫なんです?」
「いかんせん詳細が一切不明なので……他の人たちは捜索と情報収集で出払ってますね」
なるほど、悠人さんがいないのもそれが理由か。そこから何でえっちゃんとくーちゃんが俺に連絡飛ばしてきたのかは……正直ちょっと良く分からないけど、もしかしたら関係者全員にえっちゃんとくーちゃんが生存確認してる可能性もあるな。そりゃ説明してる暇はねーや。
「一志くんから定期報告来たよ。……やっぱり帰ってきてないって」
「そう、ですか……」
「……もしかして朱鳥とか行方不明だったりします?」
「鋭いですね。そうです」
俺が初めて会ったとき一緒にいたからっていう十割勘での質問だったけど合ってたらしい。一志、自由人ではあったけどそれはそれとして面倒見は良さそうだったんだよな。
「朱鳥くんがいないっていうのは、……やっぱり不味いよね」
「はい。……朱鳥、泣いてないと良いんですけど」
んー……朱鳥がいなくなるのがとりわけまずい、っていうの、何かしらの事情があるとみてよさそうだな。それが色彩的なサムシングなのか境遇的なサムシングなのかは分からないけど。
「朱鳥、なんかあるんすか?」
「朱鳥くん、ちょっと生まれが特殊でね。本来ならリューイからも逃がしてもらえなかった側の子なんだ」
「とある怪異の領域から見つかった両親不明の幼子、それが朱鳥です」
「怪異の領域から……」
特殊のラインが想像の斜め上だった。逃がしてもらえないってことはリューイに執着されてたってことだろうし……そりゃあ周囲は過保護になるし一志は自由かどうかを気にするようになる。




